• 『社交界の華は、影に咲く毒。〜私を捨てた世界、すべてお返しいたします〜』

ヨォコ

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第一章:黄金の瞳の令嬢

   後半

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鏡の中に映る自分は、日に日に幽霊のように透き通っていった。
 頬はこけ、手足は枝のように細くなり、大好きだったドレスはどれもぶかぶかで肩からずり落ちる。
「……お腹、すいた……」
 お父様がいる夕食の席。目の前には、亡き母が好きだった香ばしいローストビーフや、湯気を立てるスープが並んでいる。
 けれど、私の皿に盛られているのは、継母が「消化に良いから」と微笑みながら差し出す、味のしない薄いお粥がほんの数口分だけ。
「エレーナ、本当にそれでいいのか? もっと肉を食べなさい」
「……はい、お父様。でも……」
 言いかけた私の足の下で、継母の靴先が、私の細い足首をギリリと踏みつけた。
 声にならない悲鳴が喉で止まる。
「あらあなた、無理をさせてはダメですよ。エレーナさんは最近、亡きお母様を思い出して悲しにくれているみたいで、食欲もないみたいで、食べてと言っても中々食べてくれませんの。無理に食べて戻してしまっては大変ですわ!」
「そうなのか……? それは心配だ!体だけは大切にしないといけない!けど無理して食べて欲しいが、、、あとで医者を呼びなさい。」
「あとでみてもらうことにしますわ。」
 お父様は継母の話を真面目に信じてしまい、話は終わってしまった。
 実際には、お父様がいない時間は一滴のスープすら許されず、台所の残り物を漁ろうとすれば、継母のメイドたちに「化け物の分際で」と汚水をかけられる毎日だというのに。
 能力を使えば、継母の頭の中にある『このまま衰弱死すれば、病死として処理できる。そうすればこの家の財産はすべて私と娘のものよ』という、おぞましい思考が黄金の瞳に流れ込んでくる。
 視える。視えてしまうのに、救いがない。
 空腹と絶望で、視界がチカチカと火花を散らす。
「(助けて……誰か、お父様……お腹がすいて、死んじゃうよ……)」
 ついには自力で歩く体力も失い、部屋の隅で丸まる私を、継母はゴミを見るような目で見下ろして言い放った。
「そんなにその目が不気味に光るなら、いっそ一生眠っていなさい。化け物にふさわしい、冷たい場所でね」
 そして、お父様がひと月の長期遠征に出発したその夜。
 私はついに、薄い部屋着一枚のまま、吹雪の舞う馬車へと放り込まれた――。
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