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第一章 イカダ一つと王子一人の国家
古い大砲の残骸
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しばらく進んだところで、霧がかった一帯を発見した。
その先に島……というか突き出た山のようなところがあった。
普通なら偶然発見しても、上陸ができないために通り過ぎてしまうだろう。
ムルが上空から発見して、山の天辺に何かあると言わなければノアクルでもそうしていた。
「さすがだな、ムル。ついでに天辺にあるという物を持ってきてくれないか?」
「りょ~かい~」
飛び立ったムルはすぐに戻ってきた。
その両足にぶら下げられていたのは壊れた大型の筒のようだ。
「なんだこれは……何か現代のゴミとは雰囲気が違うような」
「ほう、これは古代文明の大砲じゃな。バーンと弾を撃ちだして攻撃するものじゃ。昔のことはあまり覚えとらんが、たぶん」
もっと詳細なことを聞きたかったが、お年寄りであまり覚えていないのなら仕方がない。
こんなところに置き去りにされていたということは、廃棄されたゴミに違いない。
さっそく、スキル【リサイクル】を使うことにした。
【実績:初めての魔大砲(小)を作成】
「おぉ、魔大砲っていうのか……。それなら発射だ! 出ろ! 弾!」
ノアクルは何とか発射しようとしたが、うんともすんとも言わない。
不思議がって観察していると、貼られていた紙に説明が書いてあった。
「なになに……術式を大砲の中に入れて、魔力を込めると発射できる……とな? チンプンカンプンだ」
「なるほどのぉ。たぶんじゃが、杖などに込められている術式と同じようなものじゃな。これは大昔の杖という感じかものぉ」
「杖か~……」
そうノアクルが何気なく呟くと、ムルが飛び立ち、何かを拾ってきた。
「杖~。そこに流れてた~」
「ムルの索敵能力高すぎないか!?」
ノアクルは杖を受け取ると、ためしにリサイクルしてみた。
すると、木材とは別に何か取れる手応えがあった。
それを実行する。
【実績:初めての単発術式(小)を作成】
「これを魔大砲に刻みつけてっと……島に狙いを定めて……」
「お、おい……ノアクル……そんないきなりは止すんじゃ――」
「発射ー!」
爆音。
大きすぎる衝撃波で肌がビリビリ震える。
「俺の耳がああああああああああ」
キーンとする鼓膜。
気が付いたら島に風穴が開いていた。
山の部分が崩れ、抱きかかえるサイズの岩がゴロンゴロンと落ちてくる。
「うおー!? 死ぬやばい退避!!」
「お主は何をやっとるんじゃー!? いや、こういう奴じゃった……」
ノアクルは必死にオールを漕いでその場を離れた。
ケガや、イカダへの損傷は奇跡的になかった。
ぜぇはぁと乱した息を整える。
「ま、まさかこれほどの威力だとは……」
「そりゃそうじゃ。古代文明のアイテムは現在とは比較にならないくらい強力じゃからのぉ……。しかし、気を付けるのじゃ」
「つ、次からは近くの物には撃たないようにする……」
「いや、それもあるがのぉ……どうやら魔大砲は発射時に周囲の者の魔力を使う。何か疲れを感じんか?」
言われてみれば、何か疲労感があった。
死ぬほどではないが、寝不足になったときの気怠さに近い。
「たしかに連射はヤバそうだな」
「うむ、使いどころを間違えてはいかん」
「けど、これで自衛できる手段を手に入れたな! モンスターでも何でもかかってこい!」
「お主がそういうことを言うと、何かフラグとしか思えないんじゃが……」
アスピがうんざりしたように呟くと、いつの間にか空に飛び上がっていたムルが戻ってきた。
「幽霊船がこっちに近付いてきてる~」
「……」
ノアクルはもうちょっと口数を減らそうかと思った。
その先に島……というか突き出た山のようなところがあった。
普通なら偶然発見しても、上陸ができないために通り過ぎてしまうだろう。
ムルが上空から発見して、山の天辺に何かあると言わなければノアクルでもそうしていた。
「さすがだな、ムル。ついでに天辺にあるという物を持ってきてくれないか?」
「りょ~かい~」
飛び立ったムルはすぐに戻ってきた。
その両足にぶら下げられていたのは壊れた大型の筒のようだ。
「なんだこれは……何か現代のゴミとは雰囲気が違うような」
「ほう、これは古代文明の大砲じゃな。バーンと弾を撃ちだして攻撃するものじゃ。昔のことはあまり覚えとらんが、たぶん」
もっと詳細なことを聞きたかったが、お年寄りであまり覚えていないのなら仕方がない。
こんなところに置き去りにされていたということは、廃棄されたゴミに違いない。
さっそく、スキル【リサイクル】を使うことにした。
【実績:初めての魔大砲(小)を作成】
「おぉ、魔大砲っていうのか……。それなら発射だ! 出ろ! 弾!」
ノアクルは何とか発射しようとしたが、うんともすんとも言わない。
不思議がって観察していると、貼られていた紙に説明が書いてあった。
「なになに……術式を大砲の中に入れて、魔力を込めると発射できる……とな? チンプンカンプンだ」
「なるほどのぉ。たぶんじゃが、杖などに込められている術式と同じようなものじゃな。これは大昔の杖という感じかものぉ」
「杖か~……」
そうノアクルが何気なく呟くと、ムルが飛び立ち、何かを拾ってきた。
「杖~。そこに流れてた~」
「ムルの索敵能力高すぎないか!?」
ノアクルは杖を受け取ると、ためしにリサイクルしてみた。
すると、木材とは別に何か取れる手応えがあった。
それを実行する。
【実績:初めての単発術式(小)を作成】
「これを魔大砲に刻みつけてっと……島に狙いを定めて……」
「お、おい……ノアクル……そんないきなりは止すんじゃ――」
「発射ー!」
爆音。
大きすぎる衝撃波で肌がビリビリ震える。
「俺の耳がああああああああああ」
キーンとする鼓膜。
気が付いたら島に風穴が開いていた。
山の部分が崩れ、抱きかかえるサイズの岩がゴロンゴロンと落ちてくる。
「うおー!? 死ぬやばい退避!!」
「お主は何をやっとるんじゃー!? いや、こういう奴じゃった……」
ノアクルは必死にオールを漕いでその場を離れた。
ケガや、イカダへの損傷は奇跡的になかった。
ぜぇはぁと乱した息を整える。
「ま、まさかこれほどの威力だとは……」
「そりゃそうじゃ。古代文明のアイテムは現在とは比較にならないくらい強力じゃからのぉ……。しかし、気を付けるのじゃ」
「つ、次からは近くの物には撃たないようにする……」
「いや、それもあるがのぉ……どうやら魔大砲は発射時に周囲の者の魔力を使う。何か疲れを感じんか?」
言われてみれば、何か疲労感があった。
死ぬほどではないが、寝不足になったときの気怠さに近い。
「たしかに連射はヤバそうだな」
「うむ、使いどころを間違えてはいかん」
「けど、これで自衛できる手段を手に入れたな! モンスターでも何でもかかってこい!」
「お主がそういうことを言うと、何かフラグとしか思えないんじゃが……」
アスピがうんざりしたように呟くと、いつの間にか空に飛び上がっていたムルが戻ってきた。
「幽霊船がこっちに近付いてきてる~」
「……」
ノアクルはもうちょっと口数を減らそうかと思った。
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