俺の彼女は、キスができない

第四章

ゆっちゃんと神様

独りになった私。
正確には、私が別れようって言ったんだけど。


私、奥原柚子。
ついに、独りになりました。



日替わり。
君が隣にいない日々は、寂しかった。

「ねぇ、ゆずー。聞いてるー？」
「え？あ、ごめん。全然、聞いてなかった」
最近、考え事が多くなった。
友達の話を聞き逃すことも、多くなった。
ずっと頭の中は、ゆっくんのことばかり。
怒ったよね。嫌いになったよね。
なんてことを、ずっと考えてる。
それに、食欲も減った。食べる量も、減った。

最近の私は、可笑しくなった。
君がいなくなったことで。
どうしちゃったんだろう。私から、別れようって言ったのに。

私、バカだ。
別れようって言ったの、私なのに。
今さら、戻れるわけ、ないのに。
バカ柚子。
全部、病気のせいなのに。
どうしても、溢れる思いが、止まらない。



そもそも、私が病気になったのは、ゆっくんが、私の彼氏になる数ヶ月前だった。
あのときは、まだ初期の病状で、日を重ねていく度に、酷くなった。
見た目は、普通の虫歯。
だけど、これは恐ろしい呪い。
私を縛っている呪い。
私に、
「キスしちゃダメだって」
そう訴えてる。
酷いときには、
「恋をするな」
って、言ってる。
怖い。恐ろしい。
こんな病気、かかりたくなかった！
もっと自由に恋愛をして、キスをするつもりだった！
なのに！なんで！


神様は、不公平で。
酷いヤツで、最低で。
私は、そんな神様が。
ただ、憎かった。