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マスクメロン

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テスト

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「中央時守高校は異能に特化した学校であり、この学校には授業はあるもののテストというものはなく全て能力で判定されるという規則がある。この規則に従い本校は月に一度大規模な能力テストを行うことを義務づけている。それではこれよりSクラスから順に能力判定、及び体力テストを行う。いいか!」

「はい!」

この合図とともに俺たち時守高校1年はテストを行うこととなった。まずは体力テストらしい。

「Sクラス3位、透子さん。前に出て来てください。」

「それでは、わたくしはいって参りますわ。空様、とくとご覧あれ!」

透子の記録はすさまじく女子だけであれば学年2位のレベルだった。

「1年女子。記録一位、Bクラス本城明子!」

「な、Bクラスのやつが一位?!一体どんな運動神経してたらあんな動きできるんだよ!」

明子がなぜ物を増やすという扱いにくい能力でデビルズチルドレンと言われるほどの戦闘力を持ったか。理由は1つ、その恐ろしいまでの身体能力である。柔軟性や瞬発力だけであれば3人のデビルズチルレン、いや、学年でも右に出るものはいないと思われるほどのものである。

「もしかして、あの子もデビルズチルドレンですか?」

吉城は驚きを隠せないほど興奮しているらしく目をパッチリと開いて空に問いかける。

はいそうです。と空が答えると向こうの方から明子が空を呼ぶ声が聞こえた。

「そーらくーん!やったよ!わたしいっちばーん!!あとで褒めてね♡」

「見てたよ、おめでとう。あとでみんなでお祝いしようね。」

空がそう言うと明子は喜んで何処かへ飛んで行った。

「なんですのあの方わ。私の身体能力を凌駕するほどの実力だなんて...一体どんな教育を受けて来たのかしら!」

「あれ?透子さん俺のことは知ってたのにあきちゃんのことは知らないんだ。
彼女は本田明子。僕と同じデビルズチルドレンの子さ。知らない、かな?」

「あら、あの子が例のデビルズチルドレン唯一の女性でしたの?それはわたくしには勝てないわけですわ。」

「まぁこの学校のクラス分けは戦闘にいかに特化している異能かっていう先生が直接決めるものですからね。あの方がBクラスにいるのも仕方のないことかもしれません。」

そう、いかに戦闘に特化した身体能力だからといっても能力自体が戦闘に不向きと判断されればクラスは良くてBかC。そんな理不尽なクラス分けでも1つだけクラス、階級を上げる方法がある。それがこの体力、能力テストなのだ。

「次、男子!Sクラス2位の吉城!こちらへ来い!」

結論から言うと吉城の身体能力は一位と100点以上の差をつけられ3位...と言う結果だった。

「体力テスト一位、Sクラス弥生空!Aクラス一位八重秋夜!」

この2人の能力テスト中、みな一つ思っていたことがあった。それは、

「こんなバケモノたちにかないっこない。」

いくら八重がAクラスだからといってそれはあくまでも能力の上でAクラスという理由でありその実力は実に恐ろしいものだった。
短距離、持久走は二学年を合わせても学年一位であり誰一人として追いつけぬほどであった。さらに筋力、柔軟性は男子学年2位であった。
空は持久走、短距離学年2位。そして筋力と柔軟は圧倒的な差をつけ一位だった。

「やはり今年の新入生は期待できそうですね。」

「はい、やはりデビルズチルドレンの存在は大きいかと...圧倒的すぎる力。この記録は本校始まって以来だそうです。」

「そりゃあそうでしょうね。なにせあの3人は特別な訓練を幼い頃から受けていたそうですから。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

体力テストが終了し今日の授業は終わりだと告げられ俺たちは自分のクラスへ戻った。

「やはりデビルズチルドレンの3人方は恐ろしい実力の持ち主ですね。とても僕たちではかないませんよ」

苦笑を浮かべながらやれやれといった様子でそう語る吉城には明らかに疲れが見えていた。

「うーん、まぁ俺たちは3歳から色んな訓練を毎日受けてたからなぁ。逆にこれが普通っていうかなんていうか...」

「まぁ!3歳からですの?それは驚きましたわ。よければ、その空様のこともっと詳しく教えていただきたいなぁなんて」

透子がそう言っているとドアの方から透子と秋夜の姿が見えた。

「そーらー!一緒に帰ろー!!」

「な、なんですのいきなり!わたくしはまだ空様とお話しが!」

透子は話を遮られたうえにその遮った本人が自分を打ち負かしたBクラスの本田明子だと知り相当腹にきたらしい。

「いいですの本田様!明日わたくしと空様をかけて勝負いたしましょう!」

「え、いやちょっと透子さん?何言ってるんですか?!あ、あきちゃん、もちろん断る..よね?」

「え?なになに?勝負すんの?いいよー!私が勝ったらそらは私のものだからね!」


はぁ、と空は深いため息をつきその場にヘタレ込んだ。

「青春ってこんな感じなのか?」

こうして無事(?)入学1日目を終了し空たちは明日の異能テストへ備え家へと帰った。
だが次の日の異能テスト当日、一年生の間でとてつもない事件が起きることをこの時の空たちは知る由もなかった。


To be continued...
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