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未熟な農家さん
あたたかな夜
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ー午前6時
「さて今日も…頑張らなきゃね…。」
ベッドから身を起こし、寝巻きから着替える。
「なんだか今日は…ちょっと元気がないかも…昨日のこと…引きずってるのかな…あとは…あぁ…お腹すいた…。」
そういえば昨日は夕食になにも食べてなかった…。
「とりあえず…お仕事したら…ご飯食べに行こう…。」
ー午前7時
水撒きを終えてどうぶつ小屋へ。
「タマ~…モモちゃん~…おはよう…。」
みんなは僕の顔を見て一瞬固まったようになって近づいてきた。
「こここけこっ!こけこっ!」
「モゥ…モッモ…。」
「ん~…?大丈夫大丈夫…このあとご飯食べに行くから…。」
「こけ…。」
「あ、そうだ…!モモちゃん、ミルクくれるんだよね…。」
「モー!」
「ありがとう…。でも今はまだ飲まないよ…大切に…しなきゃ…。」
「モゥ…。」
「じゃあお外にいこうね…。」
みんなを外に出した。
ー午後9時
牧場を見回っていた。
「ん…いい天気…いい天気すぎて…あれ……?」
なんだか目の前が時々暗くなる。
「ちょっと…まずい…かも…?」
僕はなんだか体をうまく動かせなくなってきた。
「はっ…はぁ…っ…。ん…なに…っ…これ…。」
まぶたが重くなっていき…足は体を支えられなくなった。
「どうしよ…ちょっと寝たら…よくなる…かな…。」
僕は地面にうつ伏せになり、そのまま意識が遠のいていった…。
ー午後1時
「う…うぅん…。」
懐中時計を開く。
「え…もうこんな時間…寝過ぎたかな…。あいたた…身体が…。」
少し眠りすぎて身体が痛い。でもさっきより気分はスッキリしていた…。
「と…とりあえず何か食べないと…。」
僕は身体を引きずりながらハングリーラビットへ向かった。
からんからん
「こんにちは…。」
「あらどうしたの!」
「いえ…その…昨日からなにも食べてなくて…。」
「ちょっとちょっと!働き盛りがそんなんじゃ倒れるわよ!」
「倒れたんです…。」
「なにやってんのよ!さぁさぁ早く座んなさい!今すぐ作ってあげるからね!」
「ありがとう…プティンさん…。」
「はいお待ち!」
プティンさんはすぐに料理を持ってきてくれた。
「うぅ…おなかすいた…!」
僕は急いでご飯を平らげた。
「まったく、そんなになるまでなにやってんのよ…。…やっぱり昨日のことかい…?」
「……はい…。」
「はぁ…若いってのはいいけど、あんまり無茶したら青春なんて言ってられないんだからね!気をつけな!」
「……はい…。」
「はい!じゃあそれ食べたら今日はもう寝なさい!いいね!」
「……はい…。」
僕は料理を食べ終えて帰路に着いた。
ー午後3時
「こんな早くにしまっちゃってごめんね…。でも今日はもう…寝ます…。」
タマとモモちゃんを小屋に入れて僕は寝ることにした。
かなり疲れてる…明日に疲れが残らないようにも…今日はもう…おやすみなさい…。
ー午後7時
「アルくん…いる…?」
「ん…。」
ドアの向こうから声が聞こえた。
「この声…アミィかな…。」
「あ、いるの?アルくん!」
「ごめんね…ちょっと体調悪くて…。」
僕はゆっくりとドアに向かい鍵を開けた。
「アルくん!話はプティンさんから聞いたよ!昨日のあの時から食べてないって…。」
「うん…なんか…いづらくなっちゃって…。」
「あれは…仕方ないよ…。ボクだって…色々聞いちゃった気がするし…。」
「悪いのは…ミカ…気にしないで…。」
「でもでも、ボクも悪いと思って…これ持ってきたの!」
アミィはマントの懐からなんだか不思議な色の液体の入った小瓶を取り出した。
「えぇと…それは…。」
「名付けて!アミィエール!」
「アミィエール…。」
「そう!これを飲むとー…元気が湧いてくるの!さながらボクのエールを受けたように!」
「自分で…言う…?」
「あ…うぅ…とにかくっ!これを飲みなさいっ!」
アミィは顔を赤くしながら僕にアミィエールを押しつけてきた。
……黒…?緑…?なんか…やだ…。
「良薬は口に苦し!っていうんだよ!ちょーっと苦いけど…きっと元気!」
「飲まなきゃ…だめ…?」
「いや…そんなに嫌なら…いいよ…。ボク…アルくんが少しでも元気になってくれればと思って…勝手に持ってきちゃっただけだから…。」
「あ…うぅん…飲む…飲むよ…。」
「え…いいの…?」
「うん…。絶対元気になりそうだもん…。」
「信じてくれたんだ!じゃあ飲んで飲んで!」
僕はアミィエールをゆっくりと口に近づける。
小瓶の縁からはなんだか緑色の湯気が立っているようだ。苦い香りがする…。
「う…っ!うん…。」
僕はアミィエールを一気に飲み干した。
「わ~すごいすごい!流石アルくん!いい飲みっぷり!」
「あ…あっ…!」
急に身体中が熱くなる。
「お…はじまったね…。」
どんどん身体が熱くなっていき、汗が大量に吹き出してくる。
「は…はっ…はっ…。」
「アルくん…ちょっとベッドに横になってようか…。」
アミィに支えられながらベッドに向かう。
「な…なんなの…これは…。」
「今はね…代謝を活発にしてるの!身体の中の悪いものを出してるってとこかな!安心して!悪いことはおきないから!」
「アミィがそういうなら…。」
「うんうん。しっかり休んで!」
少し経つと、急に身体が軽くなった。
「あれっ?なんだかすごく…いい感じに…。」
「終わったかな?うん!これでキミは元気だ!」
「すごい…やっぱりすごいよアミィは!」
「えへへ~!アミィちゃんになんでもお任せ!」
「ありがと…疑ってごめんね…。」
「いいよいいよ!見た目と飲みはじめの怖さがあってあんまり進んで飲む人はいないと思うから…。」
「うん…あんなになると知ってたら…色以外でも飲みたくなくなるかも…。」
「そうだ!アルくんいっぱい汗かいちゃったからまた冷えちゃうよ!お風呂入ってきたら?」
「あ…確かに…びしょ濡れ…かも…。」
「ボクはここで待ってるから!」
「え…帰っても…いいよ…?」
「ううん!待ってる!」
「そ…そう…。」
「うん!」
「じゃあ…入ってくるね…。」
「うん!」
お風呂に入ることにした…。
「ふっふっふ~…アルくん…おどろくぞ~…。」
アルが風呂に入っている最中に、アミィは料理をすることにした。
「あっでもその前に~…ちょっとベッドも直してあげよう。」
汗で濡れてしまったベッド。
「あ…すごい汗…。やっぱりあのクスリやばいかなぁ…。」
アミィはシーツを替え始めた。
「あ…アルくんの汗……はっ!ボ…ボクなにを!きょ…今日はそういう目的できたんじゃないでしょ!」
頬を叩きながら真面目にシーツを替えた。
「よしっ!じゃあお料理を~…。」
アミィはカバンの中から食材を取り出し、料理を始めた。
「ふぅっ…すっかりいいお湯…。」
お風呂から出てきた。
「あ…アルくん!」
「あ…そういえばアミィがいたんだった…。」
寝巻きを着ていない状態で出てきてしまった…。
「えぇっと…その…そこの棚の…寝巻きを…取ってもらって…いい…?」
「う、うん!いいよいいよ!は、ははい!」
アミィはちょっと目が泳いでた。
「ありがと…。」
「なんか、こういうのって…はじめてかも…。」
「え?」
「お風呂って…基本ひとりだから…着替え渡したりとか…聞こえてくる鼻唄に合わせて歌ったり…さ。」
「アミィ…。って…鼻唄…聞こえてたんだ…。」
「ふふふっ!アルくん、お歌歌う時は、おっきい声なんだねっ!」
「や…やめてよ…忘れて…。」
「忘れられな~い!」
「もう…。…ん…?」
「あ、気づいた?この香り!」
「なんだかとっても…美味しそう…。」
「ふっふっふ~!アミィちゃん特製お料理だよ!」
「あの…アミィの料理…?!」
「そう!しかも今度はできたて!どう?!」
「…最高…だよ…!」
「わ~!嬉しい!じゃあ食べようよ!」
「うん…!」
アミィが作ってくれた料理を食べながら二人で楽しい時間を過ごした。
ー午後9時
「あの…ほんとに…いいの…?」
「うん…。」
「僕もう多分…大丈夫だよ…?」
「そ、そんなことない!アミィエールでちょっと良くなりすぎたように感じてるだけさ!」
「でも…アミィだって大変じゃ…。」
「ボクはいいの!お風呂も入れさせてもらっちゃったし!あとは帰って寝るだけ!だから大丈夫!さあさ!アルくんは横になって!」
僕はアミィにベッドに寝かされた。
「…じゃあ…はじめるね…。」
「…うん…。」
アミィはベッドの横に腰掛けて、僕の瞳をそっと閉じた。
ゆっくり…ゆっくりと…僕の頭を撫でる。
「……。」
「……。」
沈黙のなかで、アミィの手と僕の髪が擦れる音だけがしている。
はじめはドキドキしたけど…なんだかとっても落ち着いて…眠たく……。
ー午前1時
「ん…。」
気がつくと、アミィの姿はない…。流石に…帰ったのかな…。
「あれ…?なんか…くるし…。」
腰のあたりに何かが巻きついてる…。
寝返りを打とうとしても動けない。
「か…金縛り…?」
なんとか動こうともぞもぞしていると、ようやく身体を回転させることができた。
「わっ…!」
「すぅ…。」
…アミィだ…。
「ちょ…ちょっと…アミィ…なにやってるの…。は…な…して…。」
急に胸がドキドキしだして焦ってしまう。もがいてももがいてもアミィの腕はほどけない。
「えへへ~ん~…。」
…よく寝てる…。
「ん~あ~。」
アミィが腕の力を強めて僕を引き寄せた。
「えっちょっ…。」
「あむぅ…。」
アミィが首筋に噛み付いてきた。
「ひゃっ…あ…っ!」
「もぐもぐ…。」
歯は当たらないのだが逆にそれがゾクゾクして…うぅ…起きて…。
「ア…アミィ…!や…やだ…やめて…!」
「えっへっへ~…ん~…。」
しばらくアミィは起きなかった。
「はっ!……ん~?ここは…おうちじゃない…?」
寝ぼけた様子でアミィが喋り出した。
「あっ!アミィ!起きた…!」
「ほえっ…今の声…あれ…?ぬいぐるみから声が……ん…あれ…昨日…あ…あぁ…。」
「お…おはよぉ…。」
「あ…あぁアルくん?!」
「…こういうのは…だめだよ…アミィ…。」
首筋はよだれでべちゃべちゃになっている…。
「んぇえ!ちっちがう!ちがくて!その!ね…寝ちゃってた…ボク…ぅう…ご…ごめん!すぐ出てく!」
アミィは途端に慌て出した。
「まぁいいよ…わざとじゃないんでしょ…?それに…こんなふうに誰かと寝たこと…あんまりないでしょ…?」
「う…うん…。」
「じゃあ今日は…許してあげる…。眠たかったら…一緒に…寝る…?」
「い…いいの…っ?!」
「子どもの時に…ミカと寝てたみたいな気分になって…ちょっとだけ…懐かしかったの…。今日は倒れちゃって不安だったし…正直…すごく安心した…。」
「じゃ…じゃあ~…お言葉に…甘えちゃおっかなぁ~…。べっ別に変な気持ちはないよ?!あの…その…とっ…とっても…その…眠いな…って…。」
「うん…こっち…おいで…。」
「はぁ…アルくん…。」
なんだかミカの時とは違ってドキドキしたけど、隣に誰かいて眠りにつくのはやっぱり安心した…。
アミィもきっと…こんな夜を夢見てたんだろな…。ずっと1人…僕には考えられない…。
「あの…アミィ…。」
「んっ?!なっなにっ?!」
「もし…アミィがよかったら…いつでも頼ってね…。」
「え…っ!そっそれって…どういう…。」
「……すぅ…。」
「あ…アルくん…?」
「………。」
「…寝ちゃった…?」
「………。」
「……うん…頼りにしてる。キミみたいな人、ほかにいないもの…。」
「……おや…す…み…ね…。」
「…あ…聞いてた…?聞こえてない…かな…?寝ぼけてるみたい…ふふ…おやすみ…アルくん…。」
アミィと一緒の温かいふとんの中で、ゆっくりゆっくりと意識は溶けていった…。
「さて今日も…頑張らなきゃね…。」
ベッドから身を起こし、寝巻きから着替える。
「なんだか今日は…ちょっと元気がないかも…昨日のこと…引きずってるのかな…あとは…あぁ…お腹すいた…。」
そういえば昨日は夕食になにも食べてなかった…。
「とりあえず…お仕事したら…ご飯食べに行こう…。」
ー午前7時
水撒きを終えてどうぶつ小屋へ。
「タマ~…モモちゃん~…おはよう…。」
みんなは僕の顔を見て一瞬固まったようになって近づいてきた。
「こここけこっ!こけこっ!」
「モゥ…モッモ…。」
「ん~…?大丈夫大丈夫…このあとご飯食べに行くから…。」
「こけ…。」
「あ、そうだ…!モモちゃん、ミルクくれるんだよね…。」
「モー!」
「ありがとう…。でも今はまだ飲まないよ…大切に…しなきゃ…。」
「モゥ…。」
「じゃあお外にいこうね…。」
みんなを外に出した。
ー午後9時
牧場を見回っていた。
「ん…いい天気…いい天気すぎて…あれ……?」
なんだか目の前が時々暗くなる。
「ちょっと…まずい…かも…?」
僕はなんだか体をうまく動かせなくなってきた。
「はっ…はぁ…っ…。ん…なに…っ…これ…。」
まぶたが重くなっていき…足は体を支えられなくなった。
「どうしよ…ちょっと寝たら…よくなる…かな…。」
僕は地面にうつ伏せになり、そのまま意識が遠のいていった…。
ー午後1時
「う…うぅん…。」
懐中時計を開く。
「え…もうこんな時間…寝過ぎたかな…。あいたた…身体が…。」
少し眠りすぎて身体が痛い。でもさっきより気分はスッキリしていた…。
「と…とりあえず何か食べないと…。」
僕は身体を引きずりながらハングリーラビットへ向かった。
からんからん
「こんにちは…。」
「あらどうしたの!」
「いえ…その…昨日からなにも食べてなくて…。」
「ちょっとちょっと!働き盛りがそんなんじゃ倒れるわよ!」
「倒れたんです…。」
「なにやってんのよ!さぁさぁ早く座んなさい!今すぐ作ってあげるからね!」
「ありがとう…プティンさん…。」
「はいお待ち!」
プティンさんはすぐに料理を持ってきてくれた。
「うぅ…おなかすいた…!」
僕は急いでご飯を平らげた。
「まったく、そんなになるまでなにやってんのよ…。…やっぱり昨日のことかい…?」
「……はい…。」
「はぁ…若いってのはいいけど、あんまり無茶したら青春なんて言ってられないんだからね!気をつけな!」
「……はい…。」
「はい!じゃあそれ食べたら今日はもう寝なさい!いいね!」
「……はい…。」
僕は料理を食べ終えて帰路に着いた。
ー午後3時
「こんな早くにしまっちゃってごめんね…。でも今日はもう…寝ます…。」
タマとモモちゃんを小屋に入れて僕は寝ることにした。
かなり疲れてる…明日に疲れが残らないようにも…今日はもう…おやすみなさい…。
ー午後7時
「アルくん…いる…?」
「ん…。」
ドアの向こうから声が聞こえた。
「この声…アミィかな…。」
「あ、いるの?アルくん!」
「ごめんね…ちょっと体調悪くて…。」
僕はゆっくりとドアに向かい鍵を開けた。
「アルくん!話はプティンさんから聞いたよ!昨日のあの時から食べてないって…。」
「うん…なんか…いづらくなっちゃって…。」
「あれは…仕方ないよ…。ボクだって…色々聞いちゃった気がするし…。」
「悪いのは…ミカ…気にしないで…。」
「でもでも、ボクも悪いと思って…これ持ってきたの!」
アミィはマントの懐からなんだか不思議な色の液体の入った小瓶を取り出した。
「えぇと…それは…。」
「名付けて!アミィエール!」
「アミィエール…。」
「そう!これを飲むとー…元気が湧いてくるの!さながらボクのエールを受けたように!」
「自分で…言う…?」
「あ…うぅ…とにかくっ!これを飲みなさいっ!」
アミィは顔を赤くしながら僕にアミィエールを押しつけてきた。
……黒…?緑…?なんか…やだ…。
「良薬は口に苦し!っていうんだよ!ちょーっと苦いけど…きっと元気!」
「飲まなきゃ…だめ…?」
「いや…そんなに嫌なら…いいよ…。ボク…アルくんが少しでも元気になってくれればと思って…勝手に持ってきちゃっただけだから…。」
「あ…うぅん…飲む…飲むよ…。」
「え…いいの…?」
「うん…。絶対元気になりそうだもん…。」
「信じてくれたんだ!じゃあ飲んで飲んで!」
僕はアミィエールをゆっくりと口に近づける。
小瓶の縁からはなんだか緑色の湯気が立っているようだ。苦い香りがする…。
「う…っ!うん…。」
僕はアミィエールを一気に飲み干した。
「わ~すごいすごい!流石アルくん!いい飲みっぷり!」
「あ…あっ…!」
急に身体中が熱くなる。
「お…はじまったね…。」
どんどん身体が熱くなっていき、汗が大量に吹き出してくる。
「は…はっ…はっ…。」
「アルくん…ちょっとベッドに横になってようか…。」
アミィに支えられながらベッドに向かう。
「な…なんなの…これは…。」
「今はね…代謝を活発にしてるの!身体の中の悪いものを出してるってとこかな!安心して!悪いことはおきないから!」
「アミィがそういうなら…。」
「うんうん。しっかり休んで!」
少し経つと、急に身体が軽くなった。
「あれっ?なんだかすごく…いい感じに…。」
「終わったかな?うん!これでキミは元気だ!」
「すごい…やっぱりすごいよアミィは!」
「えへへ~!アミィちゃんになんでもお任せ!」
「ありがと…疑ってごめんね…。」
「いいよいいよ!見た目と飲みはじめの怖さがあってあんまり進んで飲む人はいないと思うから…。」
「うん…あんなになると知ってたら…色以外でも飲みたくなくなるかも…。」
「そうだ!アルくんいっぱい汗かいちゃったからまた冷えちゃうよ!お風呂入ってきたら?」
「あ…確かに…びしょ濡れ…かも…。」
「ボクはここで待ってるから!」
「え…帰っても…いいよ…?」
「ううん!待ってる!」
「そ…そう…。」
「うん!」
「じゃあ…入ってくるね…。」
「うん!」
お風呂に入ることにした…。
「ふっふっふ~…アルくん…おどろくぞ~…。」
アルが風呂に入っている最中に、アミィは料理をすることにした。
「あっでもその前に~…ちょっとベッドも直してあげよう。」
汗で濡れてしまったベッド。
「あ…すごい汗…。やっぱりあのクスリやばいかなぁ…。」
アミィはシーツを替え始めた。
「あ…アルくんの汗……はっ!ボ…ボクなにを!きょ…今日はそういう目的できたんじゃないでしょ!」
頬を叩きながら真面目にシーツを替えた。
「よしっ!じゃあお料理を~…。」
アミィはカバンの中から食材を取り出し、料理を始めた。
「ふぅっ…すっかりいいお湯…。」
お風呂から出てきた。
「あ…アルくん!」
「あ…そういえばアミィがいたんだった…。」
寝巻きを着ていない状態で出てきてしまった…。
「えぇっと…その…そこの棚の…寝巻きを…取ってもらって…いい…?」
「う、うん!いいよいいよ!は、ははい!」
アミィはちょっと目が泳いでた。
「ありがと…。」
「なんか、こういうのって…はじめてかも…。」
「え?」
「お風呂って…基本ひとりだから…着替え渡したりとか…聞こえてくる鼻唄に合わせて歌ったり…さ。」
「アミィ…。って…鼻唄…聞こえてたんだ…。」
「ふふふっ!アルくん、お歌歌う時は、おっきい声なんだねっ!」
「や…やめてよ…忘れて…。」
「忘れられな~い!」
「もう…。…ん…?」
「あ、気づいた?この香り!」
「なんだかとっても…美味しそう…。」
「ふっふっふ~!アミィちゃん特製お料理だよ!」
「あの…アミィの料理…?!」
「そう!しかも今度はできたて!どう?!」
「…最高…だよ…!」
「わ~!嬉しい!じゃあ食べようよ!」
「うん…!」
アミィが作ってくれた料理を食べながら二人で楽しい時間を過ごした。
ー午後9時
「あの…ほんとに…いいの…?」
「うん…。」
「僕もう多分…大丈夫だよ…?」
「そ、そんなことない!アミィエールでちょっと良くなりすぎたように感じてるだけさ!」
「でも…アミィだって大変じゃ…。」
「ボクはいいの!お風呂も入れさせてもらっちゃったし!あとは帰って寝るだけ!だから大丈夫!さあさ!アルくんは横になって!」
僕はアミィにベッドに寝かされた。
「…じゃあ…はじめるね…。」
「…うん…。」
アミィはベッドの横に腰掛けて、僕の瞳をそっと閉じた。
ゆっくり…ゆっくりと…僕の頭を撫でる。
「……。」
「……。」
沈黙のなかで、アミィの手と僕の髪が擦れる音だけがしている。
はじめはドキドキしたけど…なんだかとっても落ち着いて…眠たく……。
ー午前1時
「ん…。」
気がつくと、アミィの姿はない…。流石に…帰ったのかな…。
「あれ…?なんか…くるし…。」
腰のあたりに何かが巻きついてる…。
寝返りを打とうとしても動けない。
「か…金縛り…?」
なんとか動こうともぞもぞしていると、ようやく身体を回転させることができた。
「わっ…!」
「すぅ…。」
…アミィだ…。
「ちょ…ちょっと…アミィ…なにやってるの…。は…な…して…。」
急に胸がドキドキしだして焦ってしまう。もがいてももがいてもアミィの腕はほどけない。
「えへへ~ん~…。」
…よく寝てる…。
「ん~あ~。」
アミィが腕の力を強めて僕を引き寄せた。
「えっちょっ…。」
「あむぅ…。」
アミィが首筋に噛み付いてきた。
「ひゃっ…あ…っ!」
「もぐもぐ…。」
歯は当たらないのだが逆にそれがゾクゾクして…うぅ…起きて…。
「ア…アミィ…!や…やだ…やめて…!」
「えっへっへ~…ん~…。」
しばらくアミィは起きなかった。
「はっ!……ん~?ここは…おうちじゃない…?」
寝ぼけた様子でアミィが喋り出した。
「あっ!アミィ!起きた…!」
「ほえっ…今の声…あれ…?ぬいぐるみから声が……ん…あれ…昨日…あ…あぁ…。」
「お…おはよぉ…。」
「あ…あぁアルくん?!」
「…こういうのは…だめだよ…アミィ…。」
首筋はよだれでべちゃべちゃになっている…。
「んぇえ!ちっちがう!ちがくて!その!ね…寝ちゃってた…ボク…ぅう…ご…ごめん!すぐ出てく!」
アミィは途端に慌て出した。
「まぁいいよ…わざとじゃないんでしょ…?それに…こんなふうに誰かと寝たこと…あんまりないでしょ…?」
「う…うん…。」
「じゃあ今日は…許してあげる…。眠たかったら…一緒に…寝る…?」
「い…いいの…っ?!」
「子どもの時に…ミカと寝てたみたいな気分になって…ちょっとだけ…懐かしかったの…。今日は倒れちゃって不安だったし…正直…すごく安心した…。」
「じゃ…じゃあ~…お言葉に…甘えちゃおっかなぁ~…。べっ別に変な気持ちはないよ?!あの…その…とっ…とっても…その…眠いな…って…。」
「うん…こっち…おいで…。」
「はぁ…アルくん…。」
なんだかミカの時とは違ってドキドキしたけど、隣に誰かいて眠りにつくのはやっぱり安心した…。
アミィもきっと…こんな夜を夢見てたんだろな…。ずっと1人…僕には考えられない…。
「あの…アミィ…。」
「んっ?!なっなにっ?!」
「もし…アミィがよかったら…いつでも頼ってね…。」
「え…っ!そっそれって…どういう…。」
「……すぅ…。」
「あ…アルくん…?」
「………。」
「…寝ちゃった…?」
「………。」
「……うん…頼りにしてる。キミみたいな人、ほかにいないもの…。」
「……おや…す…み…ね…。」
「…あ…聞いてた…?聞こえてない…かな…?寝ぼけてるみたい…ふふ…おやすみ…アルくん…。」
アミィと一緒の温かいふとんの中で、ゆっくりゆっくりと意識は溶けていった…。
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