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第二章 絵麻
35.カフェ・モンパルナス
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いくら事件に居合わせたとは言え、直接対面するというのはまた別問題だ。
不安に思いながらも、見舞いに行かせてもらえないか聞いてみると、拍子抜けするほど喜んでくれて、是非にと快諾してくれた。
まだ殴られた跡が腫れているため、すぐというわけにはいかないが、と返ってきたので、ならば翌週の水曜日はどうかと提案し、オーケーをもらった。あまり遅くなると説得が難しくなると考えて、なるべく早いうちにとの思惑だ。
なにか見舞い品を持参したいからと希望を聞くと、固辞されたものの、何かしら持参しなければ気がすまないと訴え、それならばと注文していたコーヒー豆の受け取りを頼まれた。
そしてとうとう翌週の水曜日になり、レオとともに『カフェ・モンパルナス』へと向かった。
店舗には駐車場はないそうで、近くの有料駐車場に車を停めた。
「行ってまいります」
受け取りを頼んでいたため、レオは車から降りて取りに行った。絵麻は待機だ。
早苗のお気に入りの店だと聞いて興味はあったものの、早苗にとうとう会えるという日に、悠長にコーヒーなど飲んでいられない。
10分ほど後部座席でスマホを眺めて待っていると、コンコンとウィンドウが叩かれた。レオが顔を覗かせている。
「なに?」
戻ってきたのなら運転席に乗ればいいのに。
「絵麻様にお話したいという方がいらっしゃいました」
「は? なんで? 誰よ」
「桐谷俊介という男性です」
「知らない。なんなの?」
「柏木さんをご存知だそうで、彼女のことを伺いたいとおっしゃっておりました。お断りしたのですが、頑として聞き入れていただけません」
「は?」
「すみません」
遠くから男性の声がして、レオはその声のほうへ振り返り、「あ……」とつぶやいた。
「その方が近づいてます」
判断を仰ぐように囁かれる。
そう言われても、誰なのか何の用件なのか見当がつかない。
考えている間もなく、桐谷という男性が近寄り、頭を軽く下げて話しかけてきた。
「私はSHINE_Pというアカウントで、サカ☆カササギさんのツイキャスを聞いていた者です」
最初何を言われたのかわからなかった。
しかしシャインとPの文字を頭に浮かべて思い当たった。
「ああ!」
それはサカのツイキャスの常連ユーザーのアカウント名だった。
その名を見たのはメールをし始める少し前のことで、早苗はすぐにツイキャスをやめてしまったから、目にする機会はごくわずかだった。しかしその短い期間でもコメントを多くしていて存在感があり、数少ないサカのポストにもリプライしていたから記憶に残っていた。
なんたる偶然か。ネットの向こうの人物に二人も現実世界で出会うとは。
「とりあえず豆を買ってきます」
レオは絵麻の反応を見て、それならばと場を離れようとした。
「まだ買ってないの?」
呆れた声を返すと、レオは数秒ほど含みのある目をくれたが、何も言わずに店への道を戻っていった。
不審人物と二人きりになるなと言ったのはレオなのに、取り残していくな。
「あの……」
桐谷はおずおずと立ちすくんでいる。
絵麻はしばし迷ったが「お話を伺いましょう」と言って、桐谷と連れ立ちレオの後を追った。
「いかがされたのですか?」
店へ入るとレオに驚かれた。
車内と外で立ち話をしろと言うのか。いくらなんでも、そんな真似はできないだろう。
オーナーらしき初老の男性にコーヒーを注文して、テーブル席に場所を定めた。
「私はEMA522です。進藤絵麻と申します」
相手の本名もアカウント名も聞いたのだからと、桐谷が座ったタイミングで絵麻も名乗った。
すると桐谷は「やっぱり」と言って少年のように華やいだ顔になった。
聞くと、早苗とスマホを取り違えてしまい、そのときに中を見てツイキャスをしていることを知ったのだと言う。それまで店で見かけていて、素敵な人だなと憧れを感じていたから、ストーカー紛いの行為だと知りつつも、彼女のツイキャスを視聴していたそうだ。
しかし知った直後にピタッとやめてしまい、ポストも激減し、店にも顔を出さなくなり、彼は気落ちした。ツイキャスやポストで人柄を知り、ますます好意を募らせたのにと。
「既婚者であることはネットでも出していましたよね?」
「はい」
彼は、それが何か?とばかりにきょとんとした。
つまり、既婚だろうが関係なく好意を寄せているらしい。
「絵麻様」
レオが割って入ってきた。
「好意とは、相手の気持ちを自分に向けたいという欲とは別にあるものです」
普段は空気のごとく会話に入らず佇んでいるだけなのに珍しい。
「それで、私が柏木さんの豆を受け取るときに、声をかけてこられたのですね」
レオは早苗への見舞いの品を受け取り、絵麻の隣の席に腰を下ろしながら言った。
「はい。オーナーとされていらした会話から、柏木さんが怪我をされたと耳にして思わず声をかけてしまいました」
「それは心配になりますよね」
「気が気でありません。彼女の容態はいかがなのでしょうか?」
「それがですね──」
「桐谷さん」
たまらず今度は絵麻は割って入る。二人で会話をするなら自分を呼んだ意味がないじゃないか。
「はい?」
「なぜ私が名乗った際に、やっぱりとおっしゃられたのですか?」
聞くと桐谷は、ああと笑顔になった。
「それはEMA522さんと特にお親しくしていらっしゃったご様子でしたし、柏木さんは友人の方とは連絡を取っていらっしゃらないからです。連絡先を消されてしまったそうですし」
なぜそんなことを知っているのだろう。しかも断定口調だ。彼女が怪我をしたことは知らなかったようだから、直接連絡をとる間柄ではないと思う。それなのに絵麻ですらメールで初めて聞いたようなことを知っているとは。
「へえ」
絵麻は薄ら寒くなり、会話を続ける気を失った。
しかし、レオは気にするどころかさらに共感の目を向けて説明を再開した。
説明が終わり、驚愕した顔で震えている桐谷に言った。
「ですから、これから早苗さんのところへお見舞いへ行くんです」
絵麻は立ち上がり、店のドアへ向かおうとした。
「私もご同行してもよろしいでしょうか?」
しかし、桐谷に呼び止められる。
無理もない頼みだとは思う。このわずかな時間でも彼の早苗に対する好意は十分すぎるほど感じ取った。会いたいだろうし、心配なのだろう。
とは言え、だからこそ断りたい。
いきなりで失礼だし、不審人物とまでは言えないが、ストーカーチックで若干不気味だ。それに早苗の方も、自宅で療養している無防備な姿を、特に親しくもない相手に見せたくないだろう。
「申し訳ありませんが──」
「是非行きましょう」
断ろうとした絵麻に、レオが被せて言った。
「何言ってんのよ。早苗さんには私だけとしか伝えてないのよ」
「ええ、ですから三人で参りまして、絵麻様がその旨を柏木さんにお伝えして、許可をいただければ部屋へ行けるように車で待機しております」
「は?」
執事が主人に意見など……いや、影谷もするけど、それは教師が生徒に物事を教えるようなもので、こんなプライベートな事情に関するものではない。
「お願いします」
桐谷からも懇願の目を向けられる。
というか、そんな暇があるのか? 仕事はしていないのだろうか? 平日の昼間から喫茶店でコーヒーを飲んで、そのまま見舞いにまで行ける職種ってなんだろう。
「絵麻様」
レオが真剣な顔で立ちふさがる。
「柏木さんは弱っていらっしゃる時です。絵麻様お一人でも十分お力になられることと存じますが、柏木さんをお慕いしている方が他にもいらっしゃるとお伝えすることは、ご助力の一端になるのではないでしょうか」
それには少し気持ちが揺れた。確かにと納得させられそうだった。
しかし、だとしても勝手な真似はできない。
夫から悲惨な目に遭わされ、恋心を抱いた相手に裏切られ、それでもなお再構築してしまうほど洗脳されている彼女に、彼を引き合わせることなどできない。
ストーカー紛いの行動を取るほど彼女に惹かれ、既婚者を相手に片思いで満足するほど純粋で、早苗の夫や生田とは正反対とも言えるほど内気で、女慣れどころか他人と口を利くのも慣れていないような、こんな人物を。
不安に思いながらも、見舞いに行かせてもらえないか聞いてみると、拍子抜けするほど喜んでくれて、是非にと快諾してくれた。
まだ殴られた跡が腫れているため、すぐというわけにはいかないが、と返ってきたので、ならば翌週の水曜日はどうかと提案し、オーケーをもらった。あまり遅くなると説得が難しくなると考えて、なるべく早いうちにとの思惑だ。
なにか見舞い品を持参したいからと希望を聞くと、固辞されたものの、何かしら持参しなければ気がすまないと訴え、それならばと注文していたコーヒー豆の受け取りを頼まれた。
そしてとうとう翌週の水曜日になり、レオとともに『カフェ・モンパルナス』へと向かった。
店舗には駐車場はないそうで、近くの有料駐車場に車を停めた。
「行ってまいります」
受け取りを頼んでいたため、レオは車から降りて取りに行った。絵麻は待機だ。
早苗のお気に入りの店だと聞いて興味はあったものの、早苗にとうとう会えるという日に、悠長にコーヒーなど飲んでいられない。
10分ほど後部座席でスマホを眺めて待っていると、コンコンとウィンドウが叩かれた。レオが顔を覗かせている。
「なに?」
戻ってきたのなら運転席に乗ればいいのに。
「絵麻様にお話したいという方がいらっしゃいました」
「は? なんで? 誰よ」
「桐谷俊介という男性です」
「知らない。なんなの?」
「柏木さんをご存知だそうで、彼女のことを伺いたいとおっしゃっておりました。お断りしたのですが、頑として聞き入れていただけません」
「は?」
「すみません」
遠くから男性の声がして、レオはその声のほうへ振り返り、「あ……」とつぶやいた。
「その方が近づいてます」
判断を仰ぐように囁かれる。
そう言われても、誰なのか何の用件なのか見当がつかない。
考えている間もなく、桐谷という男性が近寄り、頭を軽く下げて話しかけてきた。
「私はSHINE_Pというアカウントで、サカ☆カササギさんのツイキャスを聞いていた者です」
最初何を言われたのかわからなかった。
しかしシャインとPの文字を頭に浮かべて思い当たった。
「ああ!」
それはサカのツイキャスの常連ユーザーのアカウント名だった。
その名を見たのはメールをし始める少し前のことで、早苗はすぐにツイキャスをやめてしまったから、目にする機会はごくわずかだった。しかしその短い期間でもコメントを多くしていて存在感があり、数少ないサカのポストにもリプライしていたから記憶に残っていた。
なんたる偶然か。ネットの向こうの人物に二人も現実世界で出会うとは。
「とりあえず豆を買ってきます」
レオは絵麻の反応を見て、それならばと場を離れようとした。
「まだ買ってないの?」
呆れた声を返すと、レオは数秒ほど含みのある目をくれたが、何も言わずに店への道を戻っていった。
不審人物と二人きりになるなと言ったのはレオなのに、取り残していくな。
「あの……」
桐谷はおずおずと立ちすくんでいる。
絵麻はしばし迷ったが「お話を伺いましょう」と言って、桐谷と連れ立ちレオの後を追った。
「いかがされたのですか?」
店へ入るとレオに驚かれた。
車内と外で立ち話をしろと言うのか。いくらなんでも、そんな真似はできないだろう。
オーナーらしき初老の男性にコーヒーを注文して、テーブル席に場所を定めた。
「私はEMA522です。進藤絵麻と申します」
相手の本名もアカウント名も聞いたのだからと、桐谷が座ったタイミングで絵麻も名乗った。
すると桐谷は「やっぱり」と言って少年のように華やいだ顔になった。
聞くと、早苗とスマホを取り違えてしまい、そのときに中を見てツイキャスをしていることを知ったのだと言う。それまで店で見かけていて、素敵な人だなと憧れを感じていたから、ストーカー紛いの行為だと知りつつも、彼女のツイキャスを視聴していたそうだ。
しかし知った直後にピタッとやめてしまい、ポストも激減し、店にも顔を出さなくなり、彼は気落ちした。ツイキャスやポストで人柄を知り、ますます好意を募らせたのにと。
「既婚者であることはネットでも出していましたよね?」
「はい」
彼は、それが何か?とばかりにきょとんとした。
つまり、既婚だろうが関係なく好意を寄せているらしい。
「絵麻様」
レオが割って入ってきた。
「好意とは、相手の気持ちを自分に向けたいという欲とは別にあるものです」
普段は空気のごとく会話に入らず佇んでいるだけなのに珍しい。
「それで、私が柏木さんの豆を受け取るときに、声をかけてこられたのですね」
レオは早苗への見舞いの品を受け取り、絵麻の隣の席に腰を下ろしながら言った。
「はい。オーナーとされていらした会話から、柏木さんが怪我をされたと耳にして思わず声をかけてしまいました」
「それは心配になりますよね」
「気が気でありません。彼女の容態はいかがなのでしょうか?」
「それがですね──」
「桐谷さん」
たまらず今度は絵麻は割って入る。二人で会話をするなら自分を呼んだ意味がないじゃないか。
「はい?」
「なぜ私が名乗った際に、やっぱりとおっしゃられたのですか?」
聞くと桐谷は、ああと笑顔になった。
「それはEMA522さんと特にお親しくしていらっしゃったご様子でしたし、柏木さんは友人の方とは連絡を取っていらっしゃらないからです。連絡先を消されてしまったそうですし」
なぜそんなことを知っているのだろう。しかも断定口調だ。彼女が怪我をしたことは知らなかったようだから、直接連絡をとる間柄ではないと思う。それなのに絵麻ですらメールで初めて聞いたようなことを知っているとは。
「へえ」
絵麻は薄ら寒くなり、会話を続ける気を失った。
しかし、レオは気にするどころかさらに共感の目を向けて説明を再開した。
説明が終わり、驚愕した顔で震えている桐谷に言った。
「ですから、これから早苗さんのところへお見舞いへ行くんです」
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しかし、桐谷に呼び止められる。
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とは言え、だからこそ断りたい。
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「申し訳ありませんが──」
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「ええ、ですから三人で参りまして、絵麻様がその旨を柏木さんにお伝えして、許可をいただければ部屋へ行けるように車で待機しております」
「は?」
執事が主人に意見など……いや、影谷もするけど、それは教師が生徒に物事を教えるようなもので、こんなプライベートな事情に関するものではない。
「お願いします」
桐谷からも懇願の目を向けられる。
というか、そんな暇があるのか? 仕事はしていないのだろうか? 平日の昼間から喫茶店でコーヒーを飲んで、そのまま見舞いにまで行ける職種ってなんだろう。
「絵麻様」
レオが真剣な顔で立ちふさがる。
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それには少し気持ちが揺れた。確かにと納得させられそうだった。
しかし、だとしても勝手な真似はできない。
夫から悲惨な目に遭わされ、恋心を抱いた相手に裏切られ、それでもなお再構築してしまうほど洗脳されている彼女に、彼を引き合わせることなどできない。
ストーカー紛いの行動を取るほど彼女に惹かれ、既婚者を相手に片思いで満足するほど純粋で、早苗の夫や生田とは正反対とも言えるほど内気で、女慣れどころか他人と口を利くのも慣れていないような、こんな人物を。
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