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4章:仕置
第29話 連絡係(2)
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「……先生、質問が」
『……なんだ?』
ぼっちゃんが、手を上げました。
「お客さんから何か、要望はありますか? 無いなら背景の説明を」
『特に聞いてはいないが……分かった』
以前は、手駒に依頼の背景を語るなんて、先生はなさらなかったんでありやすがね。
ぼっちゃんが「仕事のお客さん満足度を上げたいから、依頼背景の情報が欲しい」って言い出しやして。
そこから、毎回こうですわ。
しょうがないな、という風に語りだしやした。先生。
それはそれは、おぞましい話でありやした。
旦那と相思相愛の人妻である依頼人に横恋慕したマトの男・根鳥が、依頼人を手に入れようと依頼人の旦那と、その愛の結晶たる子供を殺し。
ぬけぬけとお悔やみにまで訪れて、気が変になってる依頼人をまんまと抱き、後日それら全てを偶然依頼人に知られて今回の依頼に至った、と。
「ふーん……そっか。香澄さんの家のご不幸、事故じゃ無かったんだぁ……」
聞き終えたお嬢ちゃんが、底冷えする声を出していやした。
何か思うところがあるのでしょうな。
知ってる方のようですし。
「ねぇ、あやと」
お嬢ちゃんの声が、急に明るくなりやす。
前傾姿勢を取って、媚びるような感じでお隣のぼっちゃんに話しかけます。
「ベルゼブブ、アタシ一人でやらせてくれないかな? 根鳥の方は任せるから」
「……相手は一応異能持ちだ。僕もついていく。そこまではいいか?」
消極的許可ってところでしょうかね。
ぼっちゃん、お嬢ちゃんを見つめながら、彼女の提案を受け入れやしたよ。
ついていくけど、基本お前のやりたいようにさせてやる、って。
「やったあ! さっすがあやと! 話分かる!! 超大好き!! 愛してる!!」
満面の笑みで、胸の前で合掌するように手を組んで、その場でぴょんぴょん跳び跳ねながら、自分一人での殺人許可を出してもらって喜ぶ少女。
なかなか、狂った構図でありやすね。
「はいはい」
ため息をつくように。
女の子に愛してると言われても、全くの無反応。
社交辞令としてももうちょっと、あっても良さそうな感じではありやせんかね? ぼっちゃん。
まぁ、何か考えがあってそうなさっておいでなのかもしれやせんが……。
「あぁ~良かった~」
お嬢ちゃんは、胸を撫で下ろしたようでやした。
「アタシに出来るのは、自分が強いと思ってる相手の心をへし折るくらいだもんね」
自分の手を撫でながら。
今から素手でマトを八つ裂きにする愉悦を予感していらっしゃるんですかね?
「アタシが根鳥やったら……多分、一瞬で殺しちゃいそうだもん」
お嬢ちゃんの口角が上がりやす。
そのまま、ぼっちゃんの方を向きやした。
「根鳥は任せる……というか、期待してるから。あやと、得意だもんねー……ご・う・も・ん」
今はどんな顔をされてるんでやすかね?
ここからは良く見えないのですけど。
まぁ、多分、笑ってらっしゃるんでしょう。
お二人の前に、パイプ机があり。
その上に、畳まれた黒い学生服、黒いセーラー服が置かれていやす。
お二人の仕事着です。
お二人は、全く躊躇いなくブレザーを脱ぎ捨て。
ぼっちゃんは研ぎ澄まされた肉体を。
お嬢ちゃんは女神のような肉体を。
それぞれ惜しげもなく晒しやした。
そして、ぼっちゃんは学生服。お嬢ちゃんはセーラー服を身に纏いやす。
「おじさん」
仕事着を着用したお嬢ちゃんが、一緒に置かれていた黒いヘルメット……正式名称・仕事用多目的電子兜……をあっしに投げ渡しやした。
「最初にベルゼブブやるから、それまで預かっといて」
邪魔になっちゃうから。
そう言いつつ。
……ああ、そういうわけですか。
お嬢ちゃん、全力を出されるんでやすね?
『……なんだ?』
ぼっちゃんが、手を上げました。
「お客さんから何か、要望はありますか? 無いなら背景の説明を」
『特に聞いてはいないが……分かった』
以前は、手駒に依頼の背景を語るなんて、先生はなさらなかったんでありやすがね。
ぼっちゃんが「仕事のお客さん満足度を上げたいから、依頼背景の情報が欲しい」って言い出しやして。
そこから、毎回こうですわ。
しょうがないな、という風に語りだしやした。先生。
それはそれは、おぞましい話でありやした。
旦那と相思相愛の人妻である依頼人に横恋慕したマトの男・根鳥が、依頼人を手に入れようと依頼人の旦那と、その愛の結晶たる子供を殺し。
ぬけぬけとお悔やみにまで訪れて、気が変になってる依頼人をまんまと抱き、後日それら全てを偶然依頼人に知られて今回の依頼に至った、と。
「ふーん……そっか。香澄さんの家のご不幸、事故じゃ無かったんだぁ……」
聞き終えたお嬢ちゃんが、底冷えする声を出していやした。
何か思うところがあるのでしょうな。
知ってる方のようですし。
「ねぇ、あやと」
お嬢ちゃんの声が、急に明るくなりやす。
前傾姿勢を取って、媚びるような感じでお隣のぼっちゃんに話しかけます。
「ベルゼブブ、アタシ一人でやらせてくれないかな? 根鳥の方は任せるから」
「……相手は一応異能持ちだ。僕もついていく。そこまではいいか?」
消極的許可ってところでしょうかね。
ぼっちゃん、お嬢ちゃんを見つめながら、彼女の提案を受け入れやしたよ。
ついていくけど、基本お前のやりたいようにさせてやる、って。
「やったあ! さっすがあやと! 話分かる!! 超大好き!! 愛してる!!」
満面の笑みで、胸の前で合掌するように手を組んで、その場でぴょんぴょん跳び跳ねながら、自分一人での殺人許可を出してもらって喜ぶ少女。
なかなか、狂った構図でありやすね。
「はいはい」
ため息をつくように。
女の子に愛してると言われても、全くの無反応。
社交辞令としてももうちょっと、あっても良さそうな感じではありやせんかね? ぼっちゃん。
まぁ、何か考えがあってそうなさっておいでなのかもしれやせんが……。
「あぁ~良かった~」
お嬢ちゃんは、胸を撫で下ろしたようでやした。
「アタシに出来るのは、自分が強いと思ってる相手の心をへし折るくらいだもんね」
自分の手を撫でながら。
今から素手でマトを八つ裂きにする愉悦を予感していらっしゃるんですかね?
「アタシが根鳥やったら……多分、一瞬で殺しちゃいそうだもん」
お嬢ちゃんの口角が上がりやす。
そのまま、ぼっちゃんの方を向きやした。
「根鳥は任せる……というか、期待してるから。あやと、得意だもんねー……ご・う・も・ん」
今はどんな顔をされてるんでやすかね?
ここからは良く見えないのですけど。
まぁ、多分、笑ってらっしゃるんでしょう。
お二人の前に、パイプ机があり。
その上に、畳まれた黒い学生服、黒いセーラー服が置かれていやす。
お二人の仕事着です。
お二人は、全く躊躇いなくブレザーを脱ぎ捨て。
ぼっちゃんは研ぎ澄まされた肉体を。
お嬢ちゃんは女神のような肉体を。
それぞれ惜しげもなく晒しやした。
そして、ぼっちゃんは学生服。お嬢ちゃんはセーラー服を身に纏いやす。
「おじさん」
仕事着を着用したお嬢ちゃんが、一緒に置かれていた黒いヘルメット……正式名称・仕事用多目的電子兜……をあっしに投げ渡しやした。
「最初にベルゼブブやるから、それまで預かっといて」
邪魔になっちゃうから。
そう言いつつ。
……ああ、そういうわけですか。
お嬢ちゃん、全力を出されるんでやすね?
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