悪を狩る獣たち(1次小説版)

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4章:仕置

第34話 佛野徹子(7)

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 ……ちなみに。
 これまでのアタシたちの会話。

 全部ボイスチェンジャーをかけている。

 依頼人に声バレするとまずいので。
 これもヘルメットの機能。

「ちなみに、そのアナタの拘束具。全部親友の死体を材料にしてるから」

 これは本当。
 命を無くして死体になれば、生きていない以上無生物扱いにできてしまうので、文人の異能でこういうことが可能になっちゃう。

 死体の処分が出来て、道具も作れる。
 まさに一石二鳥。

「よかったねー。親友と一緒よ。……地獄まで」

「そんな! どうやってそんな真似を!?」

 あら、そこに今気になりますか? 

「相方、やってみせてあげて。その三流以下の生首を使って、さ」

「了解」

 文人は、生首に手を当てて、念じたそぶりもなく、事も無げに、分解、錬成。

 一瞬後、彼の手には植木ばさみが握られていた。

「……こんな感じだ。親友の生首を素材にした植木ばさみで……ちょっと、耳でも切ってみるか?」

 はさみを近づける。

「ひぃ!!」

「……もう一度いう。口の利き方に気をつけろ」

「わ、分かりました!!」

「……この空間で、一番偉いのは僕たちの雇い主である山本香澄さん。お前のごとき蛆虫が、さんづけで呼んでいい相手じゃ無いんだよ」

 ずい、と顔を近づけて。

「……分かったか?」

「わ、わかりました……」

 怯えるマトに

「次からは山本様と呼べ。自分のことは俺ではなく、蛆虫と言うんだな。破れば、耳を刻む」

 文人の事前通告。
 すると

「そんな……」

 ……え?
 何か文句あるのかな?

 文人は

「不服か?」

 そう、穏やかにその辺を確認。
 そしたら

「い、いえ……」

 マト、黙る。

 もう、涙でマトの顔はグチャグチャだった。
 よっぽど、怖かったんだね。

 でも、こんなの序の口ですら無いんだけどね。
 本当の地獄はまだまだ先。

 マトが分不相応な抗議を引っ込めたので文人は

「じゃあ、まずさっきの暴言を取り消して、誠心誠意謝罪しろ」

 植木ばさみの刃をマトの目玉に近づけながら、礼儀作法の徹底を命じる。

 じゃきん、じゃきん。

 はさみを開閉させながら。

 マトは、唾を飲み込んで、ボツボツと言い始めた

「……先ほどの暴言を取り消します。山本様……この蛆虫があなた様の幸せを壊したことを、心からお詫び致します……」

 びくびく震えながら。情けない感じで。

『……そう。分かればいいのよ』

 謝罪を受けた香澄さんは、穏やかに笑った。

『じゃあ、殺し屋さん。すみませんけど、そこの蛆虫の股間からぶら下がってる汚らしい肉の棒を、その植木ばさみで細かく切り刻んでいただけますか? ついでに去勢もお願いします』

 ニコニコと。

「……!! 何でだ!? 約束が違うぞ山本さ……!!」

 じゃきん!! 

 すかさず文人のはさみが入って、マトの左耳が半分無くなった。

「あぎゃああああああ!!」

「言ったろ。お前は言いつけも守れないのか?」

 文人は溜息をついている。馬鹿なの? アホなの? って感じで。

「すっご~い! 相方! ドS! ステキ! 抱かれた~い」

 アタシは彼の相方として。
 すぐに自分の体を抱いて、身をくねらせて茶化した。
 こういうのが大事なんだよ。

 モニタの香澄さんは心底嬉しそうだった。
 そして躊躇いなく言ったんだ。

『約束? そんなことした覚えありませんけど?』

「キミには人情というものが……」

 じゃきん! 

「うぎゃあああ!!」

 あ、左耳全部無くなっちゃった。

「口の利き方」

 嘆息交じりに、文人。

「ねえ相方。耳が無くなったら次はどこを刻むの?」

 興味本位、という風で聞いてみる。

「指を落とす。その場合は、のこぎりでも用意するか」

 にぎにぎ、と植木ばさみを開閉しつつ。
 その場合、これを錬成しなおすってことね。

「まぁ、耳は残ってるわけだしさ。とりあえず、お客さんのご要望に応えようよ」

「そうだな」

 文人は、はさみを片手にマトの足の間に座り込む。

「ま、待て! キミは男だろう!? 男なのに、それをやるのか!? 痛みが分からないのか!?」

「いやあ、僕に言われても」

 全く無視で、陰茎を手に取って。
 亀頭の先端を、植木ばさみで切り取った。

「あぎいいいいいいいいいいい!!」

 じゃきん、じゃきん、じゃきん

 うぎいいい!! るぎいいいいい!! へぎいいいいいい!! 

 すっごい悲鳴。

「あーらら、どんどんちんちん短くなってるねぇ」
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