3 / 17
第3話
しおりを挟む私が、お父様とお母様と王宮へお見舞いに行くと、父だけがエヴァルト王子の部屋へと通され、私とお母様は近くの部屋でお父様の帰りを待っていた。
ああ……、エヴァルト王子。すぐに良くなるようならいいのだけど……。
私は落ち着かず部屋の窓辺に行くと、エヴァルト王子の部屋の扉が見えた。しばらくすると、見舞いを終えたお父様が神妙な面持ちで出てくるのが見えて、私は部屋の扉の前で待ち構えていた。
「どうやら、毒を盛られたようだ……。あらゆる解毒を試したが、効果がないらしい。こんな毒は初めてだと、医師も嘆いていた。後は本人の気力に任せるしかないと……」
戻ってきたお父様は、苦渋の表情でそう告げた。
「そんな……」
毒ってどういう事!?ゲームではあと5年は生きていたから、この毒では死なないと言う事なの!?ああ、でもゲームじゃ、ホステラーノ王国側の事が主だから、カルヴァ王国で起こった詳細な出来事なんて分からないもの。もしかしたら、この毒が引き金でエヴァルト王子はずっと臥せってしまうのかもしれないし、それどころか最悪の事態だって……。
ああ……、何か、助ける方法はないの!?
目の前が真っ暗になる感覚がして、私はよろけながらエヴァルト王子の部屋の扉が見える窓辺に向かった。
すると、エヴァルト王子の部屋の前で一人ポツンと青い顔をして泣きそうなレオン王子がいた。
幼い王子が不安でいるのに、侍女の1人も寄り添ってあげていないなんて……。
ルイーザは部屋を出てレオンの側に行くと、声をかけた。
「レオン王子……」
しかし、レオン王子には私の声が届いていないのか、こちらに、気づかない。それどころか、顔色は一層悪くガタガタと震え始めた。
「レオン王子!」
私は側に行くと、レオンの手を握った。
すると驚いて、ルイーザを見たレオンは、初めてルイーザがいる事に気付いたようだった。
「レオン王子……、少し座りませんか?とても顔色が悪いし、震えています」
「君は……、ああ、この間僕を見て倒れた子だよね?どうして、僕の手を握るの?」
「……レオン王子が、とても辛そうだから」
すると、レオン王子の目に溜まっていた涙がボロボロと流れ落ちてきた。
「ひっく……、お、お兄様が……ぼ、僕のせい……で、死んじゃっ……、たら、ど、どうしよう……」
レオン王子は泣きじゃくりながらそう言った。
「レオン王子のせいって、どういう事ですか!?」
エヴァルト王子は毒を盛られたって言ってたけど、まさか何かレオン王子が関係してるの!?
「お兄様が……、飲んだのは……僕が、古代の魔術書を見て作ったやつで……、ほ、んとうは自分で飲むつもりでつくっ……たのに、どうしてか、お兄様が……」
「何ですって!?」
レオン王子……、いや、もし悪の帝王の毒と同じなら、もしかして……!?
「レオン王子!エヴァルト王子を助ける事が出来るかもしれないわ!」
「……え?」
泣きじゃくっていたレオン王子は、驚きの表情で私を見た。
ルイーザには、一つ思い当たる節があった。
それは、ゲームでもバシリオ王子が悪の帝王の毒に侵されて、普通の解毒薬が効かなくて、生きるか死ぬかの危機を迎えるというシーンがあったからだ。
これは、ホステラーノ王国の北の大地の山脈の頂上にだけ生えるという解毒草を、バシリオ王子の為に取って来る、というイベントであった――
「ホステラーノ王国の北の大地の山脈の頂上に、解毒草があるの!それなら、エヴァルト王子の毒に効くかもしれないわ!」
「そ、そうなの!?」
「ええ!でも、子供が行けるような所じゃないから、誰か大人の手助けを……」
と言いながら、私はエヴァルト王子の部屋の扉をノックした。
すると、レオン王子が慌てた様子で私の手を引っ張っる。
「な、何してるの!?お兄様の部屋に行ったりしたら怒られちゃうよ!」
「でも、大人の助けが必要だもの。国王様と王妃様にお話して、力を借りるのが……」
すると、レオン王子は私の手をグイグイ引いて人気のない庭園の奥へ連れて行った。
「あの、さっきの話って本当なんだよね?」
不安そうにレオン王子が私を見てくる。
「本当よ!だってそれでゲーム……、じゃなくて、本にその解毒草で治った人がいるって見た事があるの!」
「分かった。じゃあ、僕と一緒に取りに行ってくれる?」
「え?それは、もちろん。でも、子供達だけじゃあ移動も出来ないし……」
私がそう言うと、レオン王子は空に向けて指笛を吹いた。
ん?ま、待って……、レオンが指笛を吹いて呼ぶものっていったら……――
すると、空の上に黒い影が旋回したと思ったら、その黒い影は徐々に大きくなり、そしてレオンの横におりたった――
「ド、ドラゴン!?」
ってあの、悪の帝王の使い魔だよね!?
レオンが子供の時から使い魔だったのね!!
ドラゴンは悪の帝王の使い魔で登場シーンでは、レオンは黒いドラゴンに乗っている事が多かった。
「コイツ、何でか俺に懐いてて……」
とドラゴンの首を撫でると、ドラゴンはレオンに甘えるように頭を寄せた。
ゲームで見た時は、恐ろしいドラゴンだったけど、レオンに懐いてる所を見ると可愛く見えるから不思議ね。
「背中に乗って」
「う、うん」
レオンに手を引かれて、ドラゴンの背中に恐る恐る乗ってみた。
あ、思ってたよりも乗り心地悪くないわね。
なんて、考えているとレオンはドラゴンに話し掛けていた。
「ホステラーノ王国の北の大地にある山脈の頂きの解毒草を取りに行きたいんだけど、ムブル場所分かる?」
ムブルって……、ドラゴンの名前初めて知ったわ。
するとムブルは「グルグルル……」と鳴き声で返事をする。
へえ、人間の言葉を理解できるんだ。凄い。
「分かるって」
レオンもムブルの言葉を理解した様子で答えた。
「凄い!レオン王子もドラゴンの言葉がわかるのね」
「ああ、魔力があればムブルと会話出来るよ」
そうなんだ。私は魔力がないからさっぱりだわ。せっかく転生するなら魔法とか使ってみたかったなぁ。
「じゃあ、出発するからしっかり掴まってて」
とレオンが私の手を自身の腰に回すから、ちょっとドキッとしてしまった。
そして、ムブルはぐわっと浮き上がると、上空へ上っていった――
10
あなたにおすすめの小説
転生公爵令嬢は2度目の人生を穏やかに送りたい〰️なぜか宿敵王子に溺愛されています〰️
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リリーはクラフト王子殿下が好きだったが
クラフト王子殿下には聖女マリナが寄り添っていた
そして殿下にリリーは殺される?
転生して2度目の人生ではクラフト王子殿下に関わらないようにするが
何故か関わってしまいその上溺愛されてしまう
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
「ご褒美ください」とわんこ系義弟が離れない
橋本彩里(Ayari)
恋愛
六歳の時に伯爵家の養子として引き取られたイーサンは、年頃になっても一つ上の義理の姉のミラが大好きだとじゃれてくる。
そんななか、投資に失敗した父の借金の代わりにとミラに見合いの話が浮上し、義姉が大好きなわんこ系義弟が「ご褒美ください」と迫ってきて……。
1~2万文字の短編予定→中編に変更します。
いつもながらの溺愛執着ものです。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤
凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。
幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。
でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです!
ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?
前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
死に戻りの元王妃なので婚約破棄して穏やかな生活を――って、なぜか帝国の第二王子に求愛されています!?
神崎 ルナ
恋愛
アレクシアはこの一国の王妃である。だが伴侶であるはずの王には執務を全て押し付けられ、王妃としてのパーティ参加もほとんど側妃のオリビアに任されていた。
(私って一体何なの)
朝から食事を摂っていないアレクシアが厨房へ向かおうとした昼下がり、その日の内に起きた革命に巻き込まれ、『王政を傾けた怠け者の王妃』として処刑されてしまう。
そして――
「ここにいたのか」
目の前には記憶より若い伴侶の姿。
(……もしかして巻き戻った?)
今度こそ間違えません!! 私は王妃にはなりませんからっ!!
だが二度目の生では不可思議なことばかりが起きる。
学生時代に戻ったが、そこにはまだ会うはずのないオリビアが生徒として在籍していた。
そして居るはずのない人物がもう一人。
……帝国の第二王子殿下?
彼とは外交で数回顔を会わせたくらいなのになぜか親し気に話しかけて来る。
一体何が起こっているの!?
婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた
鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。
幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。
焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。
このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。
エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。
「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」
「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」
「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」
ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。
※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。
※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる