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いつからこの城がこの場所に建っているのか

それは今ではもう分からない



私が見つけた大賢者ザイオンの書物によれば

数千年前には既にこの城は存在していた





この世界に人が生まれた時に

神は安全策を講じた





増えすぎた人間が知恵を身に付け

世界を滅ぼしかけた時


欲に溺れた人間が

争いを繰り返した時



この城に封じた「人ならざる者達」が

人の世を滅ぼすよう仕組んだ






おそらく、この玉座に最初に座っていたのは「神」か、もしくはその「神」の仕組んだ安全策のからくりに気付いた者だろう

 

「人ならざる者達」は知能が低い


この玉座に座っている者の命令を、ある程度忠実に守る


人の世がこの者達に滅ぼされなかったのは、この玉座に座っていた者達が必死に「人に害を与えてはならない」という命令を下し続けていたからなのだろう



私がここに辿り着いた時にも、前任者が居た






彼は「ようやく自由になれる」と笑っていた


「後は任せた」と微笑み、彼は息絶えた







私は玉座に座った



人の世を脅かす「魔王」を継ぐ為、「勇者」を捨てた





人々は私を許さないだろう


私の名は、歴史に最低最悪の「裏切り者」として刻まれるのだろう



それでも、私は世界を守りたかった



例え人々の記憶から忘れ去られ、「魔王」という忌まわしき名を与えられようと





勇者よ



お前がここに辿り着いた時、私は既にこの世には居ないかもしれない



玉座に記したこの遺言を受け取ってくれたのならば、どうか


この世を守ってくれ














父が死んだという山に辿り着いた。



父が魔王を討つ為に、封じられた「伝説の剣」を取りに来た山。



父はこの山で死んだ。



私は、この剣を受け継いだ。



そして今、この剣をあの場所に戻しに来た。




もう「勇者」は居ない。





魔物を引き連れた私は、もう「勇者」ではない。





生まれた村に戻ってみると、小さな集落が出来ていた。




私は、剣を山に戻した後この場所に戻って来た。



小さな子供に、握り拳ほどの石を投げられた。



避けようと思えば避けられた。

だけど、その石が私への罰だと思うと、身体が動かなかった。



「魔王め!お前のせいで妹が死んだんだ!必ず殺してやるからな!」





「うん…必ず、殺しに来てね。」




私は、額から流れる血も拭わないまま故郷を後にした。







いつか、私を救ってくれる「勇者」は現れるだろうか。



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