お願いです!ワンナイトのつもりでした!

郁律華

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番外編

はた目から見ると(※R18)

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休日の晴れた昼下がり。
家でコーヒーを飲みながら、私と琢磨はお茶をしていた。
琢磨は深刻そうな顔をして私に頭を下げてこう言った。
「ごめん。」

仕事も一段落し、琢磨も異動の辞令が出て、こちらに来て早数週間。
お互いの家を行ったり来たりしながら、なんやかんやうまく過ごしていた。
琢磨は大学生のときから変わらず、簡単な男飯(スーパーで売られている炒めるだけのお肉など)とかコンビニ飯で済ませようとするので、気が向いたときに作り置きなどをタッパーにいれて冷蔵庫に押し込んでおいたりなどした。
一人暮らしだと消費しきれない食材なども出てくるため、有効活用である。
自炊で浮いたお金は円盤とグッズの費用に消えた。
ちなみに、その作り置きは食べ終わるとタッパー類は洗われ、冷蔵庫にありがとうメモが毎回律儀に貼られている。
感謝は嬉しいので、また作ってやるかということでループしている。

数日前に季節のフルーツフェアが始まり、お菓子屋では新作ケーキのオンパレードとなっていた。仕事帰りに買って帰ろうかと思ったものの琢磨も食べるかどうかと迷って、相談してからかなと買わずに帰ると、琢磨が私の見ていたケーキを買ってきていた。
都合よく、次の日にお互いが休みだったため、お茶をするときに食べようということになった。
そして冒頭の会話である。

頭を下げられて、これは別れ話か?と一瞬思ったが、昨日の夜に散々抱かれ、まだ腰が痛い身である。
湿布を作ってくれている人に感謝してます。
別れ話ならそんなことは無いだろう。
いや、まさかのセフレになっていたのか?
だってはた目から見たら別れ話の流れでもおかしくない。
また、マッチングアプリをインストールするべきなのだろうか?
とりあえず、色々と確認しよう。
「琢磨?」
「本当にごめん!」
「いや、えっと…?何?え、私の荷物片付けなきゃとか?持ち出す?」
「は?なんでそうなる?あ、いや、俺もまだ説明してないのも悪いけど…というか、別れないからな。」
あ、やべ、地雷踏んだ。

「あ、いやー、とりあえず説明お願いします。」
話の矛先を変えよう。
あわよくば流されて地雷は無かったことになれ。
「あー…実は仕事で今度、キャバクラに接待で行かなきゃいけなくて…断ったんだけど、無理で…」
「あー、そういう。」
律儀だった。行く前の申告だった。
むしろ、彼女や奥さんに内緒でキャバクラ通いしてた男たちを知ってるから、言ってくれるんだってなった。
「本当にごめん。」
「いや、仕事なら仕方ないって。接待でしょ?むしろキレイなお姉さんの写真とってきて。同士との集いでの参考にするから。」
「まさかの返し。」
女性はキャバクラに行けないものなのだ。
行けるかもしれないけどハードルが高い。
キレイなお姉さんとキャッキャしたいけど、できないんだよ。
参考資料くれたっていいじゃないか。
私の発言で琢磨が肩を落とす。
ごめんな、変人な彼女で。
でも、まあ…。
「事前に言ってくれたのは嬉しかったよ。後から知るよりいいし。仕事なんだろうし。ま、ご接待相手に嫌がらせとかしないようにね?」
むしろそちらの心配してしまった。
琢磨、そういうお店に行くの聞いたことなかったからなぁ。
女性は黙ってれば、優しそうなイケメンってことでほいほい寄ってくるだろうし、行く必要も無かったのかもしれない。
うーん、イケメンはお得だ。

「清香は、俺がそういうお店行くの嫌?もちろん俺は行きたくないんだけど。」
「き、聞くねー」
そこの確認作業はいらないんだよ。
あれか?私が感情を出してないって思われてるのか?
うーん…言わないでおこうと思ったんだけどな…。
「まあ、正直いい気はしない。でも、仕事なら仕方ないだろうし、私も接待で取引先にご飯とか連れていってもらったりするし、仕事ってそういうものでしょ?相手が良かれと思ってしてるんだろうから。…精々、キレイなお姉さんに酔わされて連れていかれないようにね。」
こ、これで精一杯です。
可愛らしい女の子ならば、行っちゃやだー!とか言われるんでしょうが、こちとらある程度社会の荒波に揉まれちまったんだ。
ご接待の重要性も踏まえてますとも。ええ!
しかも、やだとか素面で言える性格ではないんだ。
あー、もう!アルコールください!

隣に座っていた琢磨が突然私を抱き締めた。
「清香!」
「おっと。」
甘えるようにぐりぐりと頭を擦り寄せられる。
「本当にごめん。お店の人には指一本触らないし、触らせても来ないから。」
「ご接待はちゃんとしてきなさいな、仕事なんだし。」
「仕事が恨めしい。」
「はいはい。じゃ、写真よろしく!」
よしよし、これで仕事も何とかなってくれれば満足である。



「でもさ、なんで別れるって思ったわけ?」

地雷が生きてたわ。忘れてくれてなかったわ。

「いや、だって謝られるとかさ…こう、普通はさ?」
「俺、そんなに信用されてないんだ?まだ自覚してないんだね?」
「いや、そんなことはございませんよ…」
だって、まだ腰が痛いんだよ!昨日の夜、ちょっと変な体勢とかしちゃったし。
「ふうん?荷物片付けなきゃとか持ち出すとか言ってくれたよね?」
「それは…早とちりというか…」
揚げ足を取らないでください。
琢磨の目が笑ってないのに口もとは弧を描いている。まずい。
「清香は別れるなら仕方がないって思ってるのか…」
「いや、あの…」
「俺は清香が好きだよ?好きでたまらないんだ。清香は違うのか?」
いい笑顔でおっしゃる。ひええ。
私を抱き締めている手が緩む気配はない。
「わ、私だってそりゃ琢磨のこと好きけど……」
「けど?」
こ、これは吐かせるまで、琢磨の腕から逃げられないやつだ。
笑顔なのに目が鋭いし、ブリザード再来だ。
「琢磨が幸せになるならって……そのために私が要らなくなるならって……」
私は私が異性として好かれることに慣れていない。
対して、琢磨は一般女性から魅力的な男性に見られているだろう。
心の片隅にいつも釣り合っているのか?なんて疑問はある。
琢磨の顔が冷たい目を保ったまま凄艶な笑みへと変わる。
「ふうん?俺の幸せか……俺は伝えてきたつもりだったけど、まだまだ清香には伝わってなかったようだね?」
琢磨が私の首もとから鎖骨辺りをするりと撫でた。
「昨日も伝えたけど、足りなかったようだから、もう一度ちゃんと伝えるよ。」
そのまま寝室に連れ込まれました。
湿布よ、君の消費が早くなりそうだ。

ベッドに押し倒されると、そのまま噛みつかれるようにキスをされ、咥内に琢磨の舌が押し入ってくる。
思わずその舌先から逃げようとするも、捕まえられて私の舌をからめとってきた。
「んん!」
琢磨のシャツを握りしめてキスに応える。
咥内で舌を使って歯列にそってなぞられ、唇を離されたかと思うと、今度は耳朶を食まれ、耳にキスをされる。
琢磨はそのまま胸元から下腹部に向かって手を滑らせ、ショーツの上から割れ目を撫でられる。そこはすでに湿気を帯びている。
「はっ……キスだけで感じた?」
琢磨は艶めいた笑顔で私を見下ろしながら笑う。
そのまま指先では割れ目を撫でながら親指で秘芽を探り当てる。
クリクリと秘芽を指先でショーツの上から引っ掻かれ、割れ目には柔らかく撫でられる。
「ふっ!んんっ…」
「かわいい。」
上下に割れ目を撫でられるだけで蜜が少しずつ溢れ、ショーツが濡れてくる。
それを見てショーツ脱がされ、いきなり私のナカに指を一本埋めてきた。
その指先が勝手を知っているかのように、私の弱いところを探し当てて撫でる。
「きゃあああ!」
腰が跳ねるのを上から押さえつけられ、そのまま鎖骨から胸元を軽くキスをしてきた。
さらに、胸先を食まれ、舌先で押し潰されたり舐められる。
「あっ!ひあああ!」
琢磨のベッドのシーツを握りしめているとその手を開かれて優しく握られた。
「清香。」
私の胸先から唇を離すと、耳元で囁かれるように呼ばれる。
その吐息が熱い。
「あっ!あんっ!ふうう!」
「清香をこんなに乱してるのは誰?」
ナカを緩急をつけながら撫でられる動きと秘芽を押す動きを同時にされる。快感を逃がすために背中が弓なりに反る。
「あっ!たく、ま!琢磨、だけ!」
「そう、俺だけ。分かっててイイコ。」
その一言と激しくなった指先で私の目蓋の裏で白い光に覆われた。
「きゃあああ!イく、イクの!」

体がビクリビクリと跳ねるのを宥めるように琢磨から抱き締められる。
指を私のナカから抜かれると、私の蜜で塗れた指を私に見せつけてきた。
「やらしい。」
ニヤリと笑ってその指を舐めとる琢磨。
その笑顔が色っぽいのに捕食者の顔そのものなのである。
というか、琢磨の方がやらしいわ!
思わず見とれてしまったが、慌ててその舌先を止めようとした。
「だ、だめ!汚いから!」
「清香に汚いところはないよ。ん。甘い。」
「ひえええええ!」
色気が!スゴいです!
そのまま琢磨はゴムの準備をすると一気に私のナカに押し入ってきた。
「ひあぁぁぁぁああ!」
一気に奥まで突かれたことにより、背中から一気に衝撃が駆け上る。
いつもはゆっくりなのに、今日は一気にだ。
「清香?これは清香へのお仕置き。俺のそばにいるのは誰かってことをちゃんと知っておいて。」
そう言われると息を奪われるようにキスをされた。
唇を話すと、腰を捕まれ、逃げられないようにして琢磨が自身を打ち付けてくる。
肌がぶつかり合う音がして、私のナカから溢れた蜜がグチュグチュと肌とぶつかり合う音に重なる。
「きゃ!あっ!ああ!ひい!あん!」
「ほ、ら!清香!俺だけの清香!」
覆い被され、私の首筋にチリッとした痛みが走るが、その痛みですら私の快感につながる。
「たく、ま!イイ!イイの!ひあっ!」
私の腰が快感を求めて浮くのを、容赦なく追い詰める。
「清香、好き、好きなんだ!」
いつもより性急に私の体を貪りながら、余裕のない顔をした琢磨が言った。
その一言だけでさらに熱に浮かされたようになる。
「琢磨っ…琢磨、だけ!私も琢磨しか、ほしくない!」
押し上げられる快感を逃がすために、首をふりながら私が言った。
余裕なんてどこにもない。
そのはずなのに、汗を浮かべて私を求める琢磨に嬉しくなる自分がいる。
「やっ!こわ、い…!っ…ああ!イっちゃう!」
頭がしびれてきて、背中から駆け上ってきた快感が爆ぜそうになっている。
逃さないというように琢磨が動きをさらに早くした。お互いの汗が飛び散る。
「あああ!はっ!あっ!やっ!あっ!」
「イって!清香!俺もイく!」
「琢磨!た、くま!イくうううう!」
「うっ…くっ……っ…」
目蓋の裏が真っ白になり、腰がガクガクとなって止まらない。そのまま琢磨をギュッと締め付けると薄膜越しに白濁が流れ込むのが分かった。

あの日、堕ちてしまった私には琢磨に手をのばすしかないのだ。
そして、それがいかに甘美なことであるかを身をもって教え込まれてしまったのに、離れられる訳がないのかもしれない。



「さて、まだ、足りないかな?」
「勘弁してください。」
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