3 / 188
少年編 1章
第3話 この世界
しおりを挟む
五歳児の僕は一生懸命勉強をしている。
前世では勉強嫌いだったが、それを押さえつけて頑張っている。
前世のように無能と言われないよう。
最初に僕は地理と歴史を勉強した。
この世界の前提として三つ。
まずは大陸は三つあり、それぞれが三角の形をしている。
一つの大陸を上としてその他二つがその左右下にあり、何処から見ても同じ形に見える。三つ鱗紋と同じ感じだ。
次はいくつかの種族がいること。
人族、エルフ族、ドワーフ族、など。数十はあるとされている。
最後に魔法と呼ばれる存在があること。
詠唱を唱え、空気中の魔力を上手く扱うことで使えるものだ。
俺が生まれたのは第三大陸の北部から西部、中央部をかけて領土を持つ大きな帝国だ。
500年前に誕生した国家であり、この世界でもトップクラスの歴史を誇る。
転生した先、ブルボン公爵家は帝国の歴史と共にあるぐらいの名門家。
血筋としても皇家と縁戚関係にあり、僕自身もそんな血を受け継いでいる。
ブルボン公爵家の領地は北西部のアークヤク地方一帯。
農作地帯で鉱山も保有し、大きな漁港もある。
公都は帝都の次に大きな街で、商業の中心地。
公爵領は非常に栄えているところなのだ。
そんな公都の中心に大きな屋敷が構えられていた。
端から端まで歩いて二十分もかかるほどの大邸宅に僕は住んでいる。
前世のあの家よりも大きいこの家で、優雅に暮らしていた。
「ルイ坊ちゃま。当主様、奥方様とのお食事のお時間です」
「わかった。すぐに行くと言っておいて」
「分かりました、直ぐにお伝えします」
言伝をしに部屋に入ってきたメイドを下がらせる。
読んでいた本を閉じ、服を着替える。
「セバス、行くぞ」
側に控えていた執事を呼ぶ。
「はっ」
大きな屋敷を歩き進む。
白と銀、金の色を綺麗に配色しており、素人から見ても豪華だと分かる。
赤いカーペットの上を歩きながら、目的の部屋につく。
「どうぞ」
セバスが扉を開け、僕は入る。
「おお、来たかルイ!」
「待っていたわ」
広々とした部屋の中央に大きなテーブル。そこに座る二人の大人。
この世界の両親だ。
父は、ラノルド・デ・ブルボン。母がヨーハナ・デ・ブルボン。
ガッチリとした体格で金髪をオールバックにしたイケイケ男が父。
スレンダーで水色の長髪の豊満な胸部の美人が母。
歳は二人共二十四で、若々しい。そのため問題もある。
父はとにかく女好きでチャラい人だが、家族思いな人物だ。
母は優しく、領地経営にも携わる頭の良い人だが、怒り出すと歯止めがかからない。
そんな二人の息子として僕は生まれた。
「今日も勉強してたんだな」
「はい」
「フフフ。貴方はきっと良い領主になるのね」
母が笑顔で言う。
「勉強は何を今やっているの?」
「今は帝国の歴史を勉強しています」
「そうなのね」
そんな会話をしていると料理が運ばれてくる。
ヨーロッパなどではよくある、前菜、スープ、メイン、デザートの順で豪勢な料理が運ばれてくる。
五歳児の僕には結構な量だが、何とか食べきる。
デザートを食べながら家族で団欒。
少しして僕は、両親にお願いをした。
「お父様、お母様。僕は魔法が学びたいです」
そう言うと、二人は難しい顔をする。
「ルイ、父さんも母さんも教えたいんだが・・・」
「年齢的にまだ教えるわけにはイケないの。危険が伴うし」
「ですが・・・」
俺が俯くと二人は唸りだす。
「・・・ヨーハナ、まあ私としてはもう良いんじゃないかと思うんだよ」
「ですがあなた。もしルイに何かあれば」
「大丈夫です!怪我無くやります!」
すかさず僕が言うと、最後まで渋っていた母が諦めた。
「分かったわ。怪我無くやりなさい」
「はい、お母様!ありがとうございます!」
椅子を降り、抱きつき行くと「もう~、この子ったら~」と嬉しそうに言って抱き返してくる。
我慢できなかったのか父もこの輪に入って抱きついてくる。
これが、家族の温もりか。
前世では勉強嫌いだったが、それを押さえつけて頑張っている。
前世のように無能と言われないよう。
最初に僕は地理と歴史を勉強した。
この世界の前提として三つ。
まずは大陸は三つあり、それぞれが三角の形をしている。
一つの大陸を上としてその他二つがその左右下にあり、何処から見ても同じ形に見える。三つ鱗紋と同じ感じだ。
次はいくつかの種族がいること。
人族、エルフ族、ドワーフ族、など。数十はあるとされている。
最後に魔法と呼ばれる存在があること。
詠唱を唱え、空気中の魔力を上手く扱うことで使えるものだ。
俺が生まれたのは第三大陸の北部から西部、中央部をかけて領土を持つ大きな帝国だ。
500年前に誕生した国家であり、この世界でもトップクラスの歴史を誇る。
転生した先、ブルボン公爵家は帝国の歴史と共にあるぐらいの名門家。
血筋としても皇家と縁戚関係にあり、僕自身もそんな血を受け継いでいる。
ブルボン公爵家の領地は北西部のアークヤク地方一帯。
農作地帯で鉱山も保有し、大きな漁港もある。
公都は帝都の次に大きな街で、商業の中心地。
公爵領は非常に栄えているところなのだ。
そんな公都の中心に大きな屋敷が構えられていた。
端から端まで歩いて二十分もかかるほどの大邸宅に僕は住んでいる。
前世のあの家よりも大きいこの家で、優雅に暮らしていた。
「ルイ坊ちゃま。当主様、奥方様とのお食事のお時間です」
「わかった。すぐに行くと言っておいて」
「分かりました、直ぐにお伝えします」
言伝をしに部屋に入ってきたメイドを下がらせる。
読んでいた本を閉じ、服を着替える。
「セバス、行くぞ」
側に控えていた執事を呼ぶ。
「はっ」
大きな屋敷を歩き進む。
白と銀、金の色を綺麗に配色しており、素人から見ても豪華だと分かる。
赤いカーペットの上を歩きながら、目的の部屋につく。
「どうぞ」
セバスが扉を開け、僕は入る。
「おお、来たかルイ!」
「待っていたわ」
広々とした部屋の中央に大きなテーブル。そこに座る二人の大人。
この世界の両親だ。
父は、ラノルド・デ・ブルボン。母がヨーハナ・デ・ブルボン。
ガッチリとした体格で金髪をオールバックにしたイケイケ男が父。
スレンダーで水色の長髪の豊満な胸部の美人が母。
歳は二人共二十四で、若々しい。そのため問題もある。
父はとにかく女好きでチャラい人だが、家族思いな人物だ。
母は優しく、領地経営にも携わる頭の良い人だが、怒り出すと歯止めがかからない。
そんな二人の息子として僕は生まれた。
「今日も勉強してたんだな」
「はい」
「フフフ。貴方はきっと良い領主になるのね」
母が笑顔で言う。
「勉強は何を今やっているの?」
「今は帝国の歴史を勉強しています」
「そうなのね」
そんな会話をしていると料理が運ばれてくる。
ヨーロッパなどではよくある、前菜、スープ、メイン、デザートの順で豪勢な料理が運ばれてくる。
五歳児の僕には結構な量だが、何とか食べきる。
デザートを食べながら家族で団欒。
少しして僕は、両親にお願いをした。
「お父様、お母様。僕は魔法が学びたいです」
そう言うと、二人は難しい顔をする。
「ルイ、父さんも母さんも教えたいんだが・・・」
「年齢的にまだ教えるわけにはイケないの。危険が伴うし」
「ですが・・・」
俺が俯くと二人は唸りだす。
「・・・ヨーハナ、まあ私としてはもう良いんじゃないかと思うんだよ」
「ですがあなた。もしルイに何かあれば」
「大丈夫です!怪我無くやります!」
すかさず僕が言うと、最後まで渋っていた母が諦めた。
「分かったわ。怪我無くやりなさい」
「はい、お母様!ありがとうございます!」
椅子を降り、抱きつき行くと「もう~、この子ったら~」と嬉しそうに言って抱き返してくる。
我慢できなかったのか父もこの輪に入って抱きついてくる。
これが、家族の温もりか。
31
あなたにおすすめの小説
【流血】とある冒険者ギルドの会議がカオスだった件【沙汰】
一樹
ファンタジー
とある冒険者ギルド。
その建物内にある一室、【会議室】にてとある話し合いが行われた。
それは、とある人物を役立たずだからと追放したい者達と、当該人物達との話し合いの場だった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ハーレムキング
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。
効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。
日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。
青年は今日も女の子を口説き回る。
「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」
「変な人!」
※2025/6/6 完結。
チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました
Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である!
主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない!
旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む!
基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。
王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる