27 / 188
少年編 2章
第27話 主人公② (リリス視点)
しおりを挟む
「ほれ、温かいスープだ」
「あ、ありが、・・とう、ござい、ます」
路地裏で倒れていた私は背負われて女性の家に連れてかれた。
家に入ると、私を席に座らせ温かいスープを出してくれる。
久しぶりのご飯をゆっくりと飲む。
温かいスープが口から体に入ると、全身の血が活性化するように暖かくなる。
部屋も暖炉のおかげか暖かく、冷たかった足や手の感覚が戻る。
「はぁ~~」
安堵からか長いため息がこぼれた。
「どうだ、話せるか」
私を助けてくれた女性が顔を覗き込んでくる。
「あ、はい。すいません」
「何を謝る。君は今日からわれの弟子になるんだから」
「で、し?」
「言っただろう。精霊術を今日から君は習ってもらう」
私は言っている意味がよく分からなかった。
「精霊術って、おとぎ話の中にしか無いのはないですか?」
「確かにそう勘違いしている奴が大多数だが・・ほんの僅かだが精霊を操る精霊術士が存在する」
「そう何ですか」
「ああ。彼らは魔法が使えない無能者として蔑まれてきた人達ばかりだった。そして、君にもその素質がある」
私に?精霊術が?
「戸惑うだろうけど、君にも見えているんだろう。精霊が」
私に精霊なんて・・・
「はぁー、気づいてないのか。見えているだろう、そこら辺を舞っている色とりどり光が」
そう言われて私は思わず席を立ち上がる。
「あ、貴方にも見えるんですか!」
「そうとも。会話だって出来る」
私とおんなじ人がいたなんて。
思わず涙が溢れる。
「おいおい、泣くほどのことか?」
「だって、このことは誰にも、誰にも信じてもらえなかったんです。嘘つき、気持ち悪いと言われてきて・・・」
私は嗚咽をしながら、これまでのことを女性に話した。
知らない人、不思議な人。
でも、私の辛さを分かってくれる人。
女性は口を挟むこと無く、私の話を聞いてくれた。
「収まったか?」
「は、はい。すいません。私の話を聞かせてしまって」
「良いってことよ。それより君の名前は教えてもらっていないな」
そう言われてお互い自己紹介もしていないことに気がついた。
「私はリリスと言います。名字は・・・もうありません」
「そうか。われはアランディーナ。まあ、気軽に師匠と呼んでくれ」
「分かりました!」
師匠。私がこれから教わる人!
「さて、話の続きだったな。え~っと、精霊術についてか」
「はい。そもそも精霊術って」
「そこからか」
そう呟き、師匠は手のひらを開ける。
そして何やら呟くと突然手のひらから火が出る。
「それは、下級魔法の【マジック・フレイ】!」
「ははは。確かにそう見えるかも知れないけどよく見てみな」
そう言われて私はその火をよく見てみる。
目を凝らして中心を見ると何やら赤い物が燃え盛っていた。
「これは、」
「そう、これが精霊。この世界には君が見てきた精霊たちが多く存在する。ただ、普通の人たちの目には見えない」
「そうなんですか」
「魔法を詠唱するときだって、詠文で精霊という言葉を使う。魔法も一部精霊に頼っているところもある」
言われて確かに詠唱する時、精霊あるいは~民と使う。
「精霊というのは神の分体とも呼ばれている。神秘的で美しい存在なのだよ」
師匠がそう言うと周りの精霊たちが嬉しそうに動く。
「意志を持ち、人を助ける存在。そんな精霊を操ることができる存在を精霊術士という。私も一応そうなのだよ」
「へぇ~凄いです!・・・でも、どうしてそんな存在を私達は知らないんですか。私の記憶ではおとぎ話でしか聞いたことがなくて」
そう問いかけると悔しそうな表情を浮かべて答えてくれる。
「この世界にとって魔法は絶対。それと並ぶものはあってはならない。だから認められないんだ。常に迫害を受け、魔法師たちから嫌われる。その為、表に出れないんだよ」
唇を噛み、鋭い形相をする。
「そう、何ですか」
「君は過酷な道のりだろう。だからもう一度聞く。それでも精霊術士になるか?」
私は問われる。
どう返答すればいいか。私は少し考える。
「難しい選択だと思う。未来は知れるものではない。だが、精霊術士になれば君のしたいことが出来るかも知れない。未来を明るくすることが出来る。今のままでいいか?」
私は大きく首を振る。
このまま人生を終わらせるなんて嫌。
もっと生きたい。
世界を見返したい。
だから、
「私を弟子にしてください!私は精霊術士になりたいです!」
私の苦難の道が始まった。
「あ、ありが、・・とう、ござい、ます」
路地裏で倒れていた私は背負われて女性の家に連れてかれた。
家に入ると、私を席に座らせ温かいスープを出してくれる。
久しぶりのご飯をゆっくりと飲む。
温かいスープが口から体に入ると、全身の血が活性化するように暖かくなる。
部屋も暖炉のおかげか暖かく、冷たかった足や手の感覚が戻る。
「はぁ~~」
安堵からか長いため息がこぼれた。
「どうだ、話せるか」
私を助けてくれた女性が顔を覗き込んでくる。
「あ、はい。すいません」
「何を謝る。君は今日からわれの弟子になるんだから」
「で、し?」
「言っただろう。精霊術を今日から君は習ってもらう」
私は言っている意味がよく分からなかった。
「精霊術って、おとぎ話の中にしか無いのはないですか?」
「確かにそう勘違いしている奴が大多数だが・・ほんの僅かだが精霊を操る精霊術士が存在する」
「そう何ですか」
「ああ。彼らは魔法が使えない無能者として蔑まれてきた人達ばかりだった。そして、君にもその素質がある」
私に?精霊術が?
「戸惑うだろうけど、君にも見えているんだろう。精霊が」
私に精霊なんて・・・
「はぁー、気づいてないのか。見えているだろう、そこら辺を舞っている色とりどり光が」
そう言われて私は思わず席を立ち上がる。
「あ、貴方にも見えるんですか!」
「そうとも。会話だって出来る」
私とおんなじ人がいたなんて。
思わず涙が溢れる。
「おいおい、泣くほどのことか?」
「だって、このことは誰にも、誰にも信じてもらえなかったんです。嘘つき、気持ち悪いと言われてきて・・・」
私は嗚咽をしながら、これまでのことを女性に話した。
知らない人、不思議な人。
でも、私の辛さを分かってくれる人。
女性は口を挟むこと無く、私の話を聞いてくれた。
「収まったか?」
「は、はい。すいません。私の話を聞かせてしまって」
「良いってことよ。それより君の名前は教えてもらっていないな」
そう言われてお互い自己紹介もしていないことに気がついた。
「私はリリスと言います。名字は・・・もうありません」
「そうか。われはアランディーナ。まあ、気軽に師匠と呼んでくれ」
「分かりました!」
師匠。私がこれから教わる人!
「さて、話の続きだったな。え~っと、精霊術についてか」
「はい。そもそも精霊術って」
「そこからか」
そう呟き、師匠は手のひらを開ける。
そして何やら呟くと突然手のひらから火が出る。
「それは、下級魔法の【マジック・フレイ】!」
「ははは。確かにそう見えるかも知れないけどよく見てみな」
そう言われて私はその火をよく見てみる。
目を凝らして中心を見ると何やら赤い物が燃え盛っていた。
「これは、」
「そう、これが精霊。この世界には君が見てきた精霊たちが多く存在する。ただ、普通の人たちの目には見えない」
「そうなんですか」
「魔法を詠唱するときだって、詠文で精霊という言葉を使う。魔法も一部精霊に頼っているところもある」
言われて確かに詠唱する時、精霊あるいは~民と使う。
「精霊というのは神の分体とも呼ばれている。神秘的で美しい存在なのだよ」
師匠がそう言うと周りの精霊たちが嬉しそうに動く。
「意志を持ち、人を助ける存在。そんな精霊を操ることができる存在を精霊術士という。私も一応そうなのだよ」
「へぇ~凄いです!・・・でも、どうしてそんな存在を私達は知らないんですか。私の記憶ではおとぎ話でしか聞いたことがなくて」
そう問いかけると悔しそうな表情を浮かべて答えてくれる。
「この世界にとって魔法は絶対。それと並ぶものはあってはならない。だから認められないんだ。常に迫害を受け、魔法師たちから嫌われる。その為、表に出れないんだよ」
唇を噛み、鋭い形相をする。
「そう、何ですか」
「君は過酷な道のりだろう。だからもう一度聞く。それでも精霊術士になるか?」
私は問われる。
どう返答すればいいか。私は少し考える。
「難しい選択だと思う。未来は知れるものではない。だが、精霊術士になれば君のしたいことが出来るかも知れない。未来を明るくすることが出来る。今のままでいいか?」
私は大きく首を振る。
このまま人生を終わらせるなんて嫌。
もっと生きたい。
世界を見返したい。
だから、
「私を弟子にしてください!私は精霊術士になりたいです!」
私の苦難の道が始まった。
14
あなたにおすすめの小説
【流血】とある冒険者ギルドの会議がカオスだった件【沙汰】
一樹
ファンタジー
とある冒険者ギルド。
その建物内にある一室、【会議室】にてとある話し合いが行われた。
それは、とある人物を役立たずだからと追放したい者達と、当該人物達との話し合いの場だった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ハーレムキング
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。
効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。
日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。
青年は今日も女の子を口説き回る。
「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」
「変な人!」
※2025/6/6 完結。
チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました
Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である!
主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない!
旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む!
基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。
王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる