異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH

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少年編 4章

第66話 決意・・・?

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「な、何なんですか!あれ、魔法ですか!」

アルスは、会場中が思っている事を代弁するように言う。

「私にも分かりません」

レーナはリリスを注視しながら答える。恐らく観察しているのだが、それだけでは精霊術を使っているかどうか分からない。

そう、この会場で今のリリスを理解できるのは僕ただ一人。
その僕自身も精霊を見ることは出来ない。

「何なんだったんだ、今のは!」
「消え、てたよな」
「何か剣がずっしりとしていない?」

周囲ではそんな会話がされる。

「あの~終わりでいいんですよね?」

会場のざわめきを他所に、リリスは何も気にしていないような声で審査員に聞く。

目の前の光景を理解できなく、審査員同士で話し合いをしていたためか、受験者への対応をし忘れていたらしい。

「え、ええ。どうぞ戻ってください」

そう言われると、リリスはそそくさと帰っていく。

「ルイ様?」

僕が真剣な顔でリリスを見つめるため、訝しんだレーナが顔を覗き込む。

僕は今、危機感を抱いている。

正直、今の聖級魔法を使える僕だったら九割勝てると思っていた。

だが、今の戦いを見て五分五分だと感じた。

僕の魔法の威力は凄いが、時間を停止され、重力で動かなくされ、風圧で押しつぶされたら終わりだ。

冗談ではない。

物語の中盤以降、そういう戦い方が増えていくのだ。

リリスはこれから他の精霊とも契約し、多くの精霊術を使うようになる。

勝てるかどうか分からない・・・


僕は席を立ち上がり、出口へと向かう。

アルスとレーナは何も言わずについてくる。

「糞」

僕は歩いている途中、呟いた。

ここに来たかいはあった。

相手の実力は分かったのだから。

ただ、同時に朝の嫌な予感は当たった。

これから学園に入学して、今以上に努力しなければならない。

対策を考え、体を鍛えておかないと負けてしまう。

面倒くさい!何故僕が頑張らなければ行けないんだ!

のんびりしたい・・・

いや、駄目だ。

僕の夢は成り上がり共を潰すこと!

血筋が、家位が。

貴族は家柄が全て、この世界は家柄が全てということを分からせなければならない!

それが、僕がこの異世界に生まれた理由なのだから!




「あ~~行きたくないよ~~」

帝都にある貴族最大の屋敷、ブルボン公爵邸。

一人の少年がのんびりと寝ていた。

「ルイ兄様、またですか?」
「ああ、行きたくない」
「いや、今日は入学式ですよ!」
「いいじゃないか。僕は公爵家の人間なんだ。そんなのにでなくても問題ないだろう」

そんな呑気な発言をアルスは一刀両断する。

「駄目に決まっています。それを言うなら、公爵家の令息が出席しないことの方が体裁が立ちませんよ」
「うぐっ」

言い負かされたルイは更にうずくまる。

「はぁ~あの日のルイ兄様の発言は嘘なのですか?」

アルスたちの実戦試験後、公爵邸に帰宅した瞬間にルイは突然意気込みを叫んだのだ。

『絶対学園で一番になってやる!!!』と。

「あ、あれはな~若気の至りだ」
「ルイ様はまだ若いです」

至極真っ当なツッコミをセバスが入れる。

「とりあえず、休みたい。やっぱ面倒くさいよ」

そんな発言をすると、セバスが突然泣き出す。

「う”う”、幼い頃のルイ様は何処に行かれたのですか・・・。毎日毎日、魔法と勉強をこなし、屋敷にいる者の期待の子であったのに。・・・まさか、私が坊っちゃま呼びを辞めたかでしょうか?」
「お、おい」
「そうです、そうに違いありません!なら、今日から坊っちゃま呼びをまたするしかありませんな!」
「おい、セバス!」
「はい、何でしょう?ルイ坊っちゃま・・・・・!」

あからさまに坊っちゃまを強調するセバス。

中身が成人しているルイにとって、子供扱いするようなその呼び方が嫌いだった。

そして、セバスもルイがこの呼び方をされるのが嫌いだと知っていた。

「お前、わざとだな!」
「何のことですか?ルイ坊っちゃま?」
「くっ」

流石にセバスに軍配が上がる。

「わかった、わかったよ?」
「何がですか?」
「ちゃんと入学式に行くよ。行くからその呼び方はまじで辞めてくれ」
「分かりました、ルイ様」

元の呼び方に戻され、ホッとするルイ。

中身が成人してようと、まだまだセバスには勝てないルイだった。
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