異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH

文字の大きさ
109 / 188
学園編 3.5章

第109話 主人公⑩ (リリス視点)

しおりを挟む
[さて、それでは早速、わらわの能力について説明をしようか]

目の前に二体も精霊王がいるという現実に頭が追いつけない私。

そんな私の気持ちはお構いなしに話を進めるフィーン。

[妾は水の精霊王。基本的に水を操ることができる。難しそうに見えて実はシンプル!それが妾の精霊術さ]

話は続く。

[水の精霊術は、イメージとかは必要ない。ただシンプルに唱えればいいだけなのだ。どうだ、魅力的だろ?]

私はそれを聞いて質問する。

「イメージとか必要ないなら、じゃあ、どうやって発動するんですか?」

精霊術と魔法との共通点に、”イメージ”というものがある。

一般的には魔法は詠唱が大切とか、展開される魔法陣が大切とか言われたりする。だが、恐らくそれは違う。

現に、ルイくんはイメージを大切にしている。

イメージできるからこそ、頭の中から門まですぐさま変換が伝わり魔力が魔法になる。

だから、無詠唱を成功させたのだろう。

精霊術も同じ。イメージを重視する。

例えば私が使える【ストップ】

これは精霊術では難しい部類に入る。

“時間を止める”ということは”時間の流れ”を想像しなければならない。

想像やイメージができないもの、例えば、私には全世界の時の流れを止めることも出来ないし、学園でさえ全てを止めるなんて不可能だ。

だから私が戦う時は、対戦相手も含む周囲の時間の流れと私の時間との間に差をつけている。

私の方では周囲から認識されないほど早い時間が、他方、外では私がいるにも関わらず認識されないほど相対的に遅い時間が流れる。

そもそも時間の流れは一つではなく多層的であり、種や生物によってもそれは異なる。ゾウの時間とネズミの時間が異なるように、複数の時間の流れをイメージし、相互の時間の流れを変化させる。

だから周囲からは私があたかも消えた、かのように見える。

【グラビティー】も似た感じ。

特定の場所の重力を変えることで使える。

重力という世界の中へと引き込まれる力を変えるのだからより大きなイメージが必要。

時間の流れと同様に重力に関しても、宇宙空間や惑星によってそれが多様であることは、みんな知っている。だけど、無重力状態や逆に何倍もの重力負荷をイメージすることは案外難しい。

だから私は特定の場所を何かの物と捉えて、それを軽くするか重くするか、というイメージをしている。

結構簡単なイメージ方法に思えるけれど、慣れるのに時間がかかる。

最後に【ライツ】

これは比較的簡単であった。

風魔法のようなものだから、風(実際は空気)が出るイメージをする。

イメージはそのモノによって色々と変わってくるが、精霊術にイメージが必要ないものは、私の知る限りほとんど無い。

[リリスの言うことはもっともだけど、水の精霊術にはイメージはほとんど必要ない。何でだと思う?]

フィーンに質問され、私は考える。

火、土、風、雷・・・

全てと異なる点、はいくつもある。

・・・・・・駄目だ、分からない。

[リリスは人間の体に水分がどれだけあるか知っている?]

私は首を振る。

[少なくとも半分以上は水分で占めているのよ]

え、そんなに!!!でも、それがどう繋がるの?

[イメージをするにあたって、”感じる”という要素も重要だよね?]

!あ、確かにそうだ。

時間、空気、重力。

全て、感じることができるからこそ、イメージもできる。

[水って一番身近にあるものじゃない?この時代の文明は妾はほとんど知らないけれど、みんな水は飲むでしょ?体も水で洗うでしょ?それよ!]

言われて納得する。

精霊の五属性、その他の属性。

水以外はそれほど身近に感じることは、実はあんまりないかも。

空気だって普段は感じることは無いし、火なんて触ったこともない。

土だって気にしたことは無いし、風だって肌には感じるけど身近と言えるものではない。

それに比べて水は身近に感じる。

体を洗う、料理をする、飲む・・・

生活において必ず感じる身近なモノ。

更に水は体の中の半分を占めている。

ということは、体の内側でも当たり前のように感じることができるモノ。

「身近に感じている。だからイメージしなくても自然と放てるのね!?」

私の答えに満足そうに、フィーンは球体をプルプルさせた。

[そういうこと!もちろん最初はイメージしないと出来ないと思うけど、慣れれば他の精霊術と違って唱えずに打てる]

つまり唱える時間(一秒)が無くなる。

それはもの凄く画期的。

短縮された分、早く発動できる。

[どれだけ凄いか分かったでしょ?]
「はい!」
[じゃ、次は実戦に行こうか!]



[お宅の姉さんはどうしてあんなに元気なの?]
[姉さんは水こそ世界一と考えているのです。だ、だからいつも以上に張り切っているんです]
[そうか、リリスも大変だなぁ]
[ウチの姉がご迷惑をおかけして、すいません!]

遠目からリリスとフィーンを見守るクロとタルルだった。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【流血】とある冒険者ギルドの会議がカオスだった件【沙汰】

一樹
ファンタジー
とある冒険者ギルド。 その建物内にある一室、【会議室】にてとある話し合いが行われた。 それは、とある人物を役立たずだからと追放したい者達と、当該人物達との話し合いの場だった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...