異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH

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学園編 5章

第135話 正体 (三人称視点)

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「あのクソガキ!」
「やめんか、テッペン。ただの負け惜しみにしか聞こえんぞ」
「すみません!会長」

フアンズはテッペンを諌める。

「お二方ぁ~~、そんなカリカリするもんじゃ無いですよぉ~~」

重苦しい空気が支配する場で、その間伸びした声が一際目立って響く。

イルナはニコニコして二人を見る。

「イルナ、お前はいいよな。気楽で」
「アリオス先生~~何を言っているのですかぁ~~」
「言ってるだろ!俺の前ではその喋り方をやめてくれ。気に障る」
「・・・分かりましたよ」

今までののんびりとした口調をやめて、普通に話し始めるイルナ。

「ていうか、何であんな喋り方をするんだ?」
「え~~、別に、気に入っているからよ」
「意味分からん」

アリオスはイルナから顔を逸らす。

ルイたちが出ていった後、部屋に残された魔法協会の四人だったが、誰もイルナの顔を見ようとはしなかった。

「・・・幸いだったのはイルナの正体がバレなかったことだな」
「ああ、そうじゃな」

思わず安堵の表情を浮かべるフアンズ。

その会話にイルナが割って入り、辛辣に言う。

「それにしても魔法協会って無能すぎない?あそこまで見抜かれているとは思いもしなかったわ」
「それについては、こちららのミスだ。まさかあそこまで調べ上げていたとはな」

イルナ以外の三人は顔をしかめる。

「しかし、どこで知ったのかしら?あのブルボン家当主でさえ、おそらく噂でしか知らないトップシークレットの情報なのに」
「そこが問題だ。どこで漏れたんだ?」

魔法協会幹部たちは頭を抱える。

「はぁ~~、これからの行動は制限されるな」
「そうね、ルイ君が学園からいなくなるとはいえ、妨害を向こうから受けるかもしれない。何よりラオスがあちら側についているわ」
「・・・それも問題だな。いっそ殺すか?」
「それはおそらく無理じゃろ。対策されると思う」

ルイ一人の行動で当初の計画が台無しになり、頭を抱える大人たち。

「駄目ね。考えれば考えるほど、何かが起きるかもしれないと疑心暗鬼になってしまうわ」
「そうだな。いい方法があまり浮かばない。これからどうすれば・・・」

アリオスは焦りからか頭をしきりに掻く。

「イルナの正体もバレていないよな?」

恐る恐るテッペンが発言すると、フアンズが答える。

「流石にそこまで尻尾は出していない」
「そうよ。私が精霊術士・・・・であることはバレていないはずよ」
「そりゃまた、ずいぶんと自信だな」
「ええ、あんたみたいに無能じゃないから」
「チッ」

フフフと不気味に笑うイルナ。

「こっちも悪いが、あの遺跡についてはそちらの責任では?」
「あら、私のせいとでも?」
「そこまでは言わないが、事前に止めることも可能だったろ?」
「さあ、どうでしょうねー」

イルナにはぐらかされ、三人はため息をつく。

彼女と組んでからは、常にこんな感じである。

はぐらかされる事もよくあり、一体何を考えているんたか、正体をいまだ掴めていない。

しかし、だからと言って強く出れる相手でもないので、やむを得ずこちらも気を遣いながら接している。

「とりあえずリリスの監視はそなたたちに任せる」
「はぁ~~い」
「分かりました」

イルナとアリオスが返事をする。

「こちらからはもう下手に動かない。またボロが出るかもしれないからな」
「それが妥当なところね。ところで、第一皇子との関係はどうするの?このまま続けるの?」

フアンズはしばし考えて答えた。

「いや、事情をある程度向こうに伝えた上で少し距離を取ろう。バレてはまずいからな」
「第二皇子とは?」
「そちらも同様、距離を取っておく。今はとにかく情報収集が優先だ」
「賢明な判断ね」

彼らとしては、ルイとコトを構えた時間を早く取り戻さなければならない。

そのためにも派閥同士の争いから、一旦手を引くと決めた。

「!そうだ、イルナ。ルイからもらったあの石版。何が書かれていたんだ?」

石版とは、ルイがダンジョンで見つけた文字の書かれたものだ。

「ん?ああ、あの石版ね。後で分析してみるわ。少し汚れていて読みにくいから」
「そうか。この中であれを読めるのはお前だけだからな」
「うん」

イルナはニヤリと笑う。

しばらくして話は終わり、イルナ以外の全員は部屋から出ていった。


残されたイルナは誰もいないのを確認して机の上に横になる。

「はぁ~~、ルイ君は凄いねー。まさかあそこまで知り尽くしているなんて」

クツクツと笑い出す。

「でも、流石に私の正体までは見破れなかったわね。まぁ、一番の秘密だからなー 」

イルナはふと真顔になる。

「それにしてもあの子、本当に不思議な子よね。あそこまで魔法の才能を開花させて、しかも大人顔負けの交渉までするなんて。本当の大人みたい。まさか・・・いや、そんなはずないわ。あれは大昔の話だし・・・」

一人でぶつぶつ言いながら考える。

「まあ、考えても仕方ないわ。とにかく今は、私はリリスちゃんをしっかり監視いくせいしなくちゃいけないわ」

イルナもまた魔法協会とは別の目的で動いている。

「もっと彼女には成長してもらわないと。でなくちゃ、私達の希望の星になんかなれないもの・・・」

イルナは立ち上がった。

「よぉ~し。ま~~た、いつものぉ~~喋り方に~~戻すかぁ~~」
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