異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH

文字の大きさ
144 / 188
学園編 6章

第144話 簡単!

しおりを挟む
「ちょっと、ルイ!これはどういうことよ!」
「ゴフッ!!」

久しぶりの家でのんびりしていると、突然部屋に母ヨーハナが侵入してきた。

紅茶を楽しんでいた僕はびっくりして思わずむせてしまう。

「は、母上!急にどうされたのですか!?」
「どうされたじゃないわよ!留学させられるって本当なの?!」

母の目が怖い。

「もし無理やりだったらちゃんと言ってね。私がしっかりその話は潰しておいてあげるから」

目が怖い。

そしてこの母ならやりかねないし、やるだろう。

「父上から事情を聞いたのではないのですか?」
「聞いたわ。でも本当にするとは思わなかったわ。しかも、あのアメルダ民主国に行かされるなんて!あの人、絶対許さないわ」

・・・父上、早くお逃げください。

しかし、母の説得を父に任せて正解だった。

お陰でこちらには矛先が向かなくて済んだ。

その後、何故か僕への説教も始まったがすぐ終わり、部屋から出ていった。

「おい、アルス。何故隠れている」

僕は部屋の隅の方に目線を向ける。

しばらくして、紅茶のカップを持ったアルスが姿を現す。

「お前、母上が入ってくると分かっていたな」
「まあ、奥方様が帰ってきたことは掴んでいたので」
「・・・何故教えなかった」

首をすくめるアルス。

「まあ、いい。それより買収は着々と進んでいるか?」
「ええ、まあ」

アメルダ民主国に行くうえで大事なことは、政府高官や経済界の重鎮を買収することだ。

「すでに、大物政治家と呼ばれている数人は買収し終えました。経済界の方もいくつかの大手商会トップを取り込みました」
「ご苦労」

こいつらを引き込むなんて簡単だ。

金で釣るか、弱みを握れば良い。

前世でも多くの国の要人や政財界の大物たちとも会ってきた。

その経験が多く活きている。

その僕の経験によれば、金で買収するのは手っ取り早いが、同じ金額を使って相手の弱みや秘密を握る方がより使える。

いつも何処ら辺で誰と飲んでいるか、不倫していないか、違法なことや危ないことに手を出していないか・・・身辺の情報収集にお金を支払う。

自分の持てる情報収集力を存分に活かして、僕には全てお見通しだ。

世界やイデオロギーが変わろうが、こういう権力を握っている連中の行動パターンは大して変わらない。

「ルイ兄様は本当にすごいですね。別の国の人にもかかわらず行動を把握できるなんて」
「そんなのは簡単だ」

本当に簡単だ。

「ところでレーナは何をやっている?」
「学園での後処理とナータリへの指導です」

指導?ああ、ナータリがナーレに変身するためのか。

「さて、こちらも出発準備を始めなくてはならないな」
「はい、そうですね」


留学に行くメンバーは四人。

僕、アルス、レーナ、セバス。

セバスは「左遷」という形だ。僕に対する「監督不行き届き」という理由で。

アメルダへの道のりはまあまあある。

まず馬車で港まで約五日間。

そこから船で約十日間かけて向かう。

アメルダ民主国の首都、ラウシルトンに着いた僕らは早速市街を馬車で進む。

帝都とはまた違った別の賑わいがあり、人がワンサカといる。

露店で商売している店は少なく、どこも店舗を構えそれぞれ店内で商売を行っている。

「どこか別世界に来た感じがしますね」

アルスの呟きに、何故だかドキッとする。

「活気はありますが・・・正直に申しますと、どこも高級商店街のような雰囲気を醸し出している感じがします」

言われてみれば確かにその通りだ。

帝国の普通の露店はどこも素っ気なく、露店であるがゆえにわざわざお洒落してまで行きたいとは思わない良くも悪くも庶民的・大衆的であった。

だが、この国の商店街の店は豪華とまでは言えないが、どの店舗も小綺麗にしてお洒落で品のある店ばかりが立ち並んでいた。

ここら辺は前世の僕のいた国とよく似ている。

前世で海外に赴いた際、自国と異国の街並みの違いに関して今回とは真逆ではあるが、同じような印象を抱いたことがある。

「そうだ、これから入学するところは何処なんだ?」
「この国では最高峰のスタンフォルス高等というところです。本来は競争倍率の高い入学試験を受ける必要があります。ですが、普通科コースには金持ちが多くいると聞いて、もしやと思い裏情報も調べてみたところ、やはり賄賂で入学した生徒が多くいることが分かりました」
「そんなに倍率高いのか?」
「ええ、普通科も進学科も高いです。普通科で私たちの学園のおよそ十倍、進学科はさらにその十倍あります」

百倍かよ!

いやぁ、賄賂って偉大だな!

「僕たちは、新学期から二年生として入学か?」
「はい、そうです」

僕を殺した前世と似ている国、アメルダ民主国。

そこで、家柄がどれだけ正義なのか。

目にもの見せてやる!


ーーー

次回、学園編最終話!
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【流血】とある冒険者ギルドの会議がカオスだった件【沙汰】

一樹
ファンタジー
とある冒険者ギルド。 その建物内にある一室、【会議室】にてとある話し合いが行われた。 それは、とある人物を役立たずだからと追放したい者達と、当該人物達との話し合いの場だった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...