白薔薇の紋章

サクラ

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第4章 生贄

第3話

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「ごめんね急に話しかけて。びっくりしたでしょ?」

「えっと、まあ…」

「となり座っていい?」

「は、はい…」

そう言って彼女が私の隣に座る。
陽の光に照らされて金色の髪が輝いて見える。


「えっと…マリーさん」


「マリーでいいわよ。さんづけって慣れていないし。私も珠姫って呼んでいい?」

「は、はい!どうぞ」

「敬語もなしでいいわよ。私転校してきて間もなくてまだ友達がいないの。仲良くしてくれるとうれしいわ」

「わ、私も転校してきたばっかりなんです!こちらこそよろしくお願いします!」

「だから敬語はいいってば」


くすくすと笑うしぐさがとても上品だ。
それに戒さんがいう色気?もある。
戒さんはこういう人が好きなのかな。
あ、いやどうでもいいんだけど。あの人の好みなんか。


「次の時間移動だからもう行くわ。またね珠姫」

「う、うん!またね!」


はあ…後ろ姿もキレイだ。
人種が違うだけであんなに違う?
いや、マリーが特別キレイなんだ。きっと。


「あれ?おまえまたここにいんの?」

マリーと入れ替わるように戒さんが屋上に入ってきた。
手には大量のメロンパンが入った袋を提げている。
この顔でメロンパン!?
思わず噴出してしまった。


「何笑ってんだよ!っていうかあいつ、誰?」


「転校生みたいですよ?戒さんと同じ2年生ですって?違うクラスなのかな…知らないってことは」


あれだけ美人だったら目立つと思うんだけどな。
戒さん好きでしょ?色気色気ってうるさいもんね。


「ま、どうでもいいか」

そう言って私の横に座って
袋の中からメロンパンを出してほお張る。
キャラに似合わずメロンパンが好きなんだ。
そのギャップちょっと面白いかも。

「お前、何笑ってんの?」

「いえ、別に?」

「オレがメロンパン食ってるの変なわけ?」

「そんなことないですよ?」


自覚あるのかな、メロンパンが似合ってないって
あぁ、だめだ!似合わないにもほどがある
しかもそんなものをこんな大量に買うなんて。


「だめだ!やっぱりおかしい!!メロンパンだって!かわいい~!似合わない!」


「てめ!やっぱり笑ってるじゃねーか!うるせー!俺は好きなんだよ、コレが!」


「でも似合わない!」


授業開始のチャイムが鳴るまで笑いっぱなしだった。
この村に来て、笑ったのは
コレが始めてかもしれない。


あぁ、いいもの見せてもらった。
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