15 / 15
第2章
1.
しおりを挟む
私、ラウツィーリカ・ツェーイリアス・アルフィアは一様とはいえ、れっきとした一国の王女である。
びっくりするくらい放置されてるけどね。
私はアルフィア王国の第12王女。
母は、優しくてとても聡明な人だったけれど数多くいる側室の一人で身分も低かった。
―――そうしてあっけなく私を置いて死んでしまった。
だから、私は誰にも期待されていなかった。
誰も見向きもしなかった。
後ろ盾のない小娘など誰も気にしない。
むしろ覚えてすらいないと思う。……父も含めて。
だからといって、愛されることを期待していなかった私はずっと書庫に閉じこもり続けた。
文字という世界が私のすべて。
誰も、私に注意を払っていないのが心地よかった。いくらでも文字という世界の中にいられたから。
そんな日々は終わりを告げる。婚約者が、出来たのだ。
「私に、婚約者、ですか?」
「そうだ」
父に呼び出され婚約者が決まったと告げられた時、この人私のこと覚えてたんだ。とバカみたいなことを思ってそれから一拍して、何言ってんだこいつ?と思った。
とはいえ、後ろ盾のない王女などどうなるかはたかが知れている。王女の使い道など、決まっている。
―――誰にでもバカにだって思いつくような簡単なこと。
‘‘婚姻を結ぶ’’
王子ならばまだともかく、王女ともなればそれしかない。少なくともアルフィア王国ではそうだった。
ただ、本にあるような燃え上がるような恋でなくていい。だけれど尊敬できる相手であってほしいと思った。
だから。初めてあったときにあんまりいいうわさがない人で内心怯えていて、精神安定を図るために本を抱えていた私を見て彼が
『本がすきなのかい?わが国には、大陸一の蔵書量を誇る図書館があるよ。今度おいで』
そういったときにとても。とても、本当に嬉しかったのだ。
びっくりするくらい放置されてるけどね。
私はアルフィア王国の第12王女。
母は、優しくてとても聡明な人だったけれど数多くいる側室の一人で身分も低かった。
―――そうしてあっけなく私を置いて死んでしまった。
だから、私は誰にも期待されていなかった。
誰も見向きもしなかった。
後ろ盾のない小娘など誰も気にしない。
むしろ覚えてすらいないと思う。……父も含めて。
だからといって、愛されることを期待していなかった私はずっと書庫に閉じこもり続けた。
文字という世界が私のすべて。
誰も、私に注意を払っていないのが心地よかった。いくらでも文字という世界の中にいられたから。
そんな日々は終わりを告げる。婚約者が、出来たのだ。
「私に、婚約者、ですか?」
「そうだ」
父に呼び出され婚約者が決まったと告げられた時、この人私のこと覚えてたんだ。とバカみたいなことを思ってそれから一拍して、何言ってんだこいつ?と思った。
とはいえ、後ろ盾のない王女などどうなるかはたかが知れている。王女の使い道など、決まっている。
―――誰にでもバカにだって思いつくような簡単なこと。
‘‘婚姻を結ぶ’’
王子ならばまだともかく、王女ともなればそれしかない。少なくともアルフィア王国ではそうだった。
ただ、本にあるような燃え上がるような恋でなくていい。だけれど尊敬できる相手であってほしいと思った。
だから。初めてあったときにあんまりいいうわさがない人で内心怯えていて、精神安定を図るために本を抱えていた私を見て彼が
『本がすきなのかい?わが国には、大陸一の蔵書量を誇る図書館があるよ。今度おいで』
そういったときにとても。とても、本当に嬉しかったのだ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
【完結】辺境の魔法使い この世界に翻弄される
秋.水
ファンタジー
記憶を無くした主人公は魔法使い。しかし目立つ事や面倒な事が嫌い。それでも次々増える家族を守るため、必死にトラブルを回避して、目立たないようにあの手この手を使っているうちに、自分がかなりヤバい立場に立たされている事を知ってしまう。しかも異種族ハーレムの主人公なのにDTでEDだったりして大変な生活が続いていく。最後には世界が・・・・。まったり系異種族ハーレムもの?です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる