世界図書館のラウ・ツェーイ

結月彩夜

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第2章

1.

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私、ラウツィーリカ・ツェーイリアス・アルフィアは一様とはいえ、れっきとした一国の王女である。
びっくりするくらい放置されてるけどね。
私はアルフィア王国の第12王女。
母は、優しくてとても聡明な人だったけれど数多くいる側室の一人で身分も低かった。
―――そうしてあっけなく私を置いて死んでしまった。
だから、私は誰にも期待されていなかった。
誰も見向きもしなかった。
後ろ盾のない小娘など誰も気にしない。
むしろ覚えてすらいないと思う。……父も含めて。
だからといって、愛されることを期待していなかった私はずっと書庫に閉じこもり続けた。
文字という世界が私のすべて。
誰も、私に注意を払っていないのが心地よかった。いくらでも文字という世界の中にいられたから。
そんな日々は終わりを告げる。婚約者が、出来たのだ。
「私に、婚約者、ですか?」
「そうだ」
父に呼び出され婚約者が決まったと告げられた時、この人私のこと覚えてたんだ。とバカみたいなことを思ってそれから一拍して、何言ってんだこいつ?と思った。

とはいえ、後ろ盾のない王女などどうなるかはたかが知れている。王女の使い道など、決まっている。
―――誰にでもバカにだって思いつくような簡単なこと。
‘‘婚姻を結ぶ’’
王子ならばまだともかく、王女ともなればそれしかない。少なくともアルフィア王国我が国ではそうだった。

ただ、本にあるような燃え上がるような恋でなくていい。だけれど尊敬できる相手であってほしいと思った。
だから。初めてあったときにあんまりいいうわさがない人で内心怯えていて、精神安定を図るために本を抱えていた私を見て彼が
『本がすきなのかい?わが国には、大陸一の蔵書量を誇る図書館があるよ。今度おいで』
そういったときにとても。とても、本当に嬉しかったのだ。


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