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第6章 景雲の姉襲来編
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とりどりの物が並んでおり、何を選ぶか悩んでしまう。何より秀英は今までこういった店には来たことがなかったので、真新しい気持ちと若い女子だらけのなかに男一人という居心地の悪さとの戦いがあった。
「何がいいかしら。昨日簪は買ったみたいだから被らないほうがいいわよね」
「好みのものを聞いていないのか?」
「私も仕事で家を空けてたから。母様のほうが知ってるかも」
色々な物を手に取ってはみるが、手応えを感じるものはなく、時間だけが過ぎていた。
早くしないと夕刻になってしまう。
「なかなか決まらないな」
秀英に焦りが見られる。
晏寿はぎゅっと拳を握り、何かを決心したかのように呟く。
「こうなったら奥の手よ」
「晏寿?」
「秀英こっちよ」
晏寿は秀英を引き連れ、店を出てある場所へと向かった。
とある屋敷の門前に二人は立っていた。
「…今日は二人で逢引じゃなかったのか?」
とある屋敷とは容家本邸である。そして、二人は景雲を訪ねにやって来ていた。
秀英と景雲は何かと一緒に仕事をすることが多い。故に休みもほぼ一緒の日になっていた。
「景雲が遊びに行ってなくてよかったわ。聞きたいことがあるの」
「人の話を聞け。なんで逢引してたはずの二人が俺を訪ねてくるんだよ」
「ちゃんと買い物には行った。だが買う物が決まらなかったから、景雲の助言を聞きにきたんだ」
「はぁ?何故わざわさ俺に助言を?」
「杏歌殿への贈り物を買いたいの。でもなにが好みか全然わからなくて、弟の景雲ならわかるんじゃないかと思って」
「だから何故二人の逢引で人への贈り物を買いに行ってるんだよ…」
もはや突っ込むことに疲れた景雲は、がくっとうなだれた。
しかし晏寿と秀英は至って真面目だった。
景雲が顔を上げると、いつもの飄々とした感じではなく、いつになく真剣な表情だった。
「昨日の話なら今朝方玲峯殿から文を早馬でもらった。姉上には早々にうちに帰ってきてもらいたいのが本音だ。だがどう接していいかわからないというところもある。できるだけ早くいつもの姉上に戻ってもらいたい」
真剣に姉を思う景雲に二人は言葉もなかった。
「行こう。姉上の好みを教えたらいいんだろう?」
「景雲、ありがとう」
そして三人は城下に訪れ、景雲の助言のもと贈り物を選んだのだった。
夕刻。
柳家に三人の姿があった。
「何故俺まで。二人からでいいじゃないか」
「いいから!景雲往生際が悪い!」
「腹を括れ」
二人に急かされて、杏歌が篭っている部屋まで来た。
「杏歌殿、失礼します」
断りを入れて入る。
杏歌は窓際の椅子に腰掛けていた。景雲の姿を見るなり、目を見開く。
「景雲?どうして?」
「俺のことはどうでもいい。ほら、これ二人から」
どこかぶっきらぼうに細長い箱を渡す。
杏歌はそれを受け取り、ゆっくりと包みを開けた。
その中には扇子が入っており、扇子を開くと藤の花が描かれていた。
「藤の花…」
「杏歌殿に贈り物がしたかったんですけど、好みがわからなくて景雲に聞いたんです。そしたら景雲がすぐにそれを選んでくれて」
「晏寿、余計なことを言うな!」
ばつが悪そうに、顔を歪める。
それを隠すように、景雲はわざとらしく言う。
「姉上は華美な格好をする割に、小物は地味な藤の花のものばかりだな」
「…あら、気づいていないの?」
「は?」
「藤の花が綺麗に咲いていた日に、景雲が生まれたのよ。私にとって唯一の弟よ」
その日のことを思い出したのか、杏歌はふわりとした笑みを浮かべる。
そして景雲は耳まで赤くするのだった。
「何がいいかしら。昨日簪は買ったみたいだから被らないほうがいいわよね」
「好みのものを聞いていないのか?」
「私も仕事で家を空けてたから。母様のほうが知ってるかも」
色々な物を手に取ってはみるが、手応えを感じるものはなく、時間だけが過ぎていた。
早くしないと夕刻になってしまう。
「なかなか決まらないな」
秀英に焦りが見られる。
晏寿はぎゅっと拳を握り、何かを決心したかのように呟く。
「こうなったら奥の手よ」
「晏寿?」
「秀英こっちよ」
晏寿は秀英を引き連れ、店を出てある場所へと向かった。
とある屋敷の門前に二人は立っていた。
「…今日は二人で逢引じゃなかったのか?」
とある屋敷とは容家本邸である。そして、二人は景雲を訪ねにやって来ていた。
秀英と景雲は何かと一緒に仕事をすることが多い。故に休みもほぼ一緒の日になっていた。
「景雲が遊びに行ってなくてよかったわ。聞きたいことがあるの」
「人の話を聞け。なんで逢引してたはずの二人が俺を訪ねてくるんだよ」
「ちゃんと買い物には行った。だが買う物が決まらなかったから、景雲の助言を聞きにきたんだ」
「はぁ?何故わざわさ俺に助言を?」
「杏歌殿への贈り物を買いたいの。でもなにが好みか全然わからなくて、弟の景雲ならわかるんじゃないかと思って」
「だから何故二人の逢引で人への贈り物を買いに行ってるんだよ…」
もはや突っ込むことに疲れた景雲は、がくっとうなだれた。
しかし晏寿と秀英は至って真面目だった。
景雲が顔を上げると、いつもの飄々とした感じではなく、いつになく真剣な表情だった。
「昨日の話なら今朝方玲峯殿から文を早馬でもらった。姉上には早々にうちに帰ってきてもらいたいのが本音だ。だがどう接していいかわからないというところもある。できるだけ早くいつもの姉上に戻ってもらいたい」
真剣に姉を思う景雲に二人は言葉もなかった。
「行こう。姉上の好みを教えたらいいんだろう?」
「景雲、ありがとう」
そして三人は城下に訪れ、景雲の助言のもと贈り物を選んだのだった。
夕刻。
柳家に三人の姿があった。
「何故俺まで。二人からでいいじゃないか」
「いいから!景雲往生際が悪い!」
「腹を括れ」
二人に急かされて、杏歌が篭っている部屋まで来た。
「杏歌殿、失礼します」
断りを入れて入る。
杏歌は窓際の椅子に腰掛けていた。景雲の姿を見るなり、目を見開く。
「景雲?どうして?」
「俺のことはどうでもいい。ほら、これ二人から」
どこかぶっきらぼうに細長い箱を渡す。
杏歌はそれを受け取り、ゆっくりと包みを開けた。
その中には扇子が入っており、扇子を開くと藤の花が描かれていた。
「藤の花…」
「杏歌殿に贈り物がしたかったんですけど、好みがわからなくて景雲に聞いたんです。そしたら景雲がすぐにそれを選んでくれて」
「晏寿、余計なことを言うな!」
ばつが悪そうに、顔を歪める。
それを隠すように、景雲はわざとらしく言う。
「姉上は華美な格好をする割に、小物は地味な藤の花のものばかりだな」
「…あら、気づいていないの?」
「は?」
「藤の花が綺麗に咲いていた日に、景雲が生まれたのよ。私にとって唯一の弟よ」
その日のことを思い出したのか、杏歌はふわりとした笑みを浮かべる。
そして景雲は耳まで赤くするのだった。
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