柔よく剛を制す

薬袋 藍(ミナイ ラン)

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第7章 晏寿の奮闘編

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「あの、私今まで女ということで話を聞いてさえももらえないことが多かったんですけど、どうして私の話をきちんと聞いてくれたんですか?」
「え?ああ…俺には妹がいるんだが、君のことを尊敬してて自分も官吏を受けるって言い出したんだ。だから君が頑張っていると妹が頑張っているように見えて密かに君のことを応援してたんだ」

文官は照れくさそうに笑って答えた。
まさか誰かに影響を与えているとは思ってもみなかった晏寿は目を見開く。

「ありがとうございます。私柳 晏寿と言います。妹さんに頑張ってと伝えてもらえますか?」
「ああ、こちらこそありがとう。俺は澤 誠真たく せいしん。妹が官吏になったらよろしく頼むよ」
「はい!」

澤 誠真の背中を押され、より頑張ろうと誓う晏寿であった。


李大臣の部署へと戻った晏寿は凱と甜丈に明日の食材仕入れの変更をするよう伝えた。
食材の一覧を凱と甜丈は見ながら、おずおずと聞いてきた。

「勝手に変更して大丈夫でしょうか?」
「そもそも金額に対して量が少ないんですもの。文句を言われる筋合いはないわ」

しかし、明朝に事件が起きた。
調理場担当の男達三人が晏寿のところに押し掛けてきたのだ。

「勝手なことしやがって!」
「俺達のことを馬鹿にしているのか!?」

激昂する男達に晏寿は毅然と立ち向かう。

「勝手なこととは?私は金額に見合った食材を仕入れるようにしただけです」
「それが勝手なことだって言うんだ!女のくせに出しゃばりやがって、どうせ調理場のこと何にも分かってないお貴族の出身だろうが!」
「包丁も握ったこともない、野菜も洗ったことのない奴が何がわかるって言うんだ!数字と紙切れだけで話を進めるんじゃねぇ!」

言わせておけば…と晏寿はため息を吐きたくなるが、ここで晏寿まで冷静さを失うわけにはいかないと、ぐっと堪える。

「何とか言ったらどうなんだ!それとも図星で何も言えないのか!」

黙っていることが癇に障ったのであろう。男の一人が晏寿に詰め寄り、胸ぐらを掴もうとした。
その腕を避けようとして、晏寿は体がぐらつき後ろに倒れそうになる。

「そろそろ我慢ならない」

そう言って倒れかけた晏寿を支え、男の腕を掴んだのは秀英だった。

「憶測で話すのはやめてもらえないだろうか。こちらは数字と武官達の声を元に進めている。仕入れの一覧と金額に不可解な点が多いのも調べている。
また女だからと言っているが、ここにいる者は誰も晏寿のことを性別だけでは判断していない。実力でこの場にいる。そちらも何も疑いがないということを示してくれれば今回のことは謝罪しよう」

秀英は淡々と話してはいたが、近くにいた晏寿には秀英の怒りを感じていた。男達も秀英の放つ威圧感に圧倒され、先程の勢いは無くなっていた。
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