柔よく剛を制す

薬袋 藍(ミナイ ラン)

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第9章 怜峯の縁談編

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瑚蘭の行動の速さに驚愕した数日後、晏寿が杏歌に面会することは決行された。

晏寿は容邸宅を訪れ、客室に通される。
そこにまず景雲が現れた。


「わざわざ悪いな。姉はもうすぐ来る」
「ううん、こちらこそ母が先走ってしまって…杏歌殿の様子は?」
「なんと言えばいいか…形容し難いな」

視線をそらす景雲を見て、それもそうかと晏寿は黙認する。
すると部屋の外から足音が聞こえ、誰かが近づいてくる気配がした。
晏寿も景雲も杏歌が来たのだと思っていた。

しかし、現れたのは別人だった。

「杏姉様のお相手の妹君が来られているって本当!?」
「桃珂、大きな声を出してはしたなくてよ」
「でもでも!桜姉様も気になってらっしゃるから来られたのでしょう?」
「もちろん。気にしないほうが無理ね」


「え、と」
「すまない、喧しい姉達で…」

晏寿が戸惑っていると景雲がげんなりとした顔で謝ってくる。

「景雲、早く私達を紹介してちょうだいな」
「そうよ!早く早く!」

景雲の姉達(らしい)が催促する。それを景雲は煩わしそうな表情をとったあと、諦めた様子で晏寿に向き合った。

「俺の姉達で容家の長女、桜可おうかと三女、桃珂とうかだ」
「長女の容 桜可と申します」
「三女の容 桃珂ですわ」
「初めまして、柳 晏寿と申します」

桜可、桃珂の挨拶のあと、晏寿も慌てて頭を下げる。
景雲が続ける。

「この二人の間に杏歌がいて、容家は三姉妹だ」
「そして弟に景雲がいるのね」
「ああ」

容家は女児が生まれることが多く、男児が生まれることが稀のため、女系で繋がってきた背景がある。
故に現在の容家の当主も景雲の母が勤めている。

「しかし姉上、嫁いでいるにも関わらずわざわざ何をしに」
「あら、先程も言いましたわ。杏歌のお相手の妹君が気になるからです」
「しかも景雲と知り合いだなんて!会わないわけにはいかないわ」
「野次馬か」
「景雲うるさい」

口の回る景雲を一蹴するのを見ていると、流石景雲の姉達という雰囲気である。

姉弟のやりとりに圧倒されていると、扉がバンっと大きな音を立てて開かれた。

「何を騒いでいる。客人の前で」

「母上」
「母様!」
「一番厄介なのが来た…」

そこには姉弟の上に君臨する母、季蝶が仁王立ちしていたのだった。

つかつかと季蝶は入ってきて、景雲達を一瞥する。

「桜可、桃珂。何故ここに?」
「杏歌の心配にござりまする。妹の心配をするのも姉の務めかと」

季蝶の問いに桜可が答える。
それにならうように、桃珂が
「私も杏姉様の心配を!」
と付け加えた。
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みんなの感想(1件)

lemon
2019.08.17 lemon

初めまして。
偶然この作品に出会い、一気読みさせて頂きました。
すごくすごくすごく面白いです!
今まで知らなかったのが勿体ないくらい…。
主人公は一本筋が通っていてとても好感が持てます。周りの人々も素敵で情景がありありと目に浮かびます。淡い恋愛も萌えます。
もう続きは書かれないのでしょうか?
是非是非読みたいです。
完結まで追いかけたいので、楽しみにお待ちしています。

解除

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