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28. ビヨン
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ビヨンは赤や黄色の煉瓦造りの店や民家の立ち並ぶ小さな街だった。街に着くと私たちはスロットをしているという父と別れ、煉瓦造りの建物が並ぶ通りを歩いた。シエルと私の後を、ロマンがついてくるのがものすごく気まずい。
途中、ロマンが香水を見たいと言ってショップに入った。私たちは隣の黄色い煉瓦造りのアクセサリーショップに足を踏み入れた。アンティークなアクセサリーがたくさんある。
「可愛いけど、オーシャンの好みではないかな」
「ロマンのとも違うわ」
店を出た後、ロマンを待つのも忘れて私たちは歩き出した。帽子や靴、バッグなどが売っている店に入り、ロマンに似合いそうなものを探したが彼女が苦手そうなフェミニンなテイストのものしかなかった。
その後、アニマル柄のグッズの売ってある雑貨屋に入った。シエルは大きな顔の二足歩行の茶虎ネコの描いてあるTシャツを見つけ、「これ良いかも」と呟いた。シエルは結局そのTシャツを買うことに決めたらしかった。私は緑色で、真ん中に小さな黒い猫の柄が一つついた財布を見つけ、それをロマン用に買うことにした。
包装を終え、外に出た時には雪が降り始めていた。
「この間、街に一緒にいたあの女の子は友達?」
道を歩きながら尋ねると、シエルは首を傾げた。彼女の肩と頭に白い雪がはらはらと落ちていく。隣の車道をゆっくりと、数台の車が通り過ぎた。店先のスピーカーから響くジングルベルの音楽と通りを歩く人々の話し声で、街は賑わっている。
「どんな子?」
「ソニアと隣町に遊びに出かけた時に、あなたが黒い髪の女の子と腕を組んで歩いているのを見かけたのよ」
「ああ、ソラのこと?」
「ソラっていうの?」
「うん。同じクラスの友達で、ヴァイオリンをやってるの」
「そうなんだ」
何故だかほっとした。もしもシエルがソラと付き合っていたとしたら、私は無意識のうちに気を遣って、シエルと距離を取るようになるに違いなかった。万が一そうなったら、少しだけ寂しい気がしたのだ。
「ソラは甘えん坊なのよ。いつも私にくっついてくるの」
「あなたのことが好きなんじゃなくて?」
「好きだとは言われるわ。私のことが大好きなんですって」
「あなたはどうなの?」
「可愛い妹みたいな感覚かな?」
その時、反対の歩道から私を呼ぶ声がした。目をやると、ロマンが手を振っていた。隣には父もいた。スロットで何かを当てたのか、父は片手に紙袋を抱えて満面の笑みを浮かべていた。
途中、ロマンが香水を見たいと言ってショップに入った。私たちは隣の黄色い煉瓦造りのアクセサリーショップに足を踏み入れた。アンティークなアクセサリーがたくさんある。
「可愛いけど、オーシャンの好みではないかな」
「ロマンのとも違うわ」
店を出た後、ロマンを待つのも忘れて私たちは歩き出した。帽子や靴、バッグなどが売っている店に入り、ロマンに似合いそうなものを探したが彼女が苦手そうなフェミニンなテイストのものしかなかった。
その後、アニマル柄のグッズの売ってある雑貨屋に入った。シエルは大きな顔の二足歩行の茶虎ネコの描いてあるTシャツを見つけ、「これ良いかも」と呟いた。シエルは結局そのTシャツを買うことに決めたらしかった。私は緑色で、真ん中に小さな黒い猫の柄が一つついた財布を見つけ、それをロマン用に買うことにした。
包装を終え、外に出た時には雪が降り始めていた。
「この間、街に一緒にいたあの女の子は友達?」
道を歩きながら尋ねると、シエルは首を傾げた。彼女の肩と頭に白い雪がはらはらと落ちていく。隣の車道をゆっくりと、数台の車が通り過ぎた。店先のスピーカーから響くジングルベルの音楽と通りを歩く人々の話し声で、街は賑わっている。
「どんな子?」
「ソニアと隣町に遊びに出かけた時に、あなたが黒い髪の女の子と腕を組んで歩いているのを見かけたのよ」
「ああ、ソラのこと?」
「ソラっていうの?」
「うん。同じクラスの友達で、ヴァイオリンをやってるの」
「そうなんだ」
何故だかほっとした。もしもシエルがソラと付き合っていたとしたら、私は無意識のうちに気を遣って、シエルと距離を取るようになるに違いなかった。万が一そうなったら、少しだけ寂しい気がしたのだ。
「ソラは甘えん坊なのよ。いつも私にくっついてくるの」
「あなたのことが好きなんじゃなくて?」
「好きだとは言われるわ。私のことが大好きなんですって」
「あなたはどうなの?」
「可愛い妹みたいな感覚かな?」
その時、反対の歩道から私を呼ぶ声がした。目をやると、ロマンが手を振っていた。隣には父もいた。スロットで何かを当てたのか、父は片手に紙袋を抱えて満面の笑みを浮かべていた。
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