ネコハラ

たらこ飴

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7匹のいない家

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 昼過ぎに家に帰り外猫たちにご飯をあげ、仔猫たちと遊んでいたとき保護猫ボランティアの酒井さんから連絡が来た。

「ああ、凪砂ちゃん! どうも~真琴です! 例の盛岡の先生と連絡とれたのね。で、今家にいる猫ちゃんたちだけ先に手術しようと思うんだけど、どう?」

 廊下で道子さんがぶつぶつ文句を言いながら片付けをしていたので、ドア越しに聞いてみたら「いいんじゃない? 早くやっちゃったほうが」と返事が来た。

「善二さんには確認取らなくていいでしょうか?」

「ジジイは今ワカメ仕事中だから声かけないほうがいいよ、あいつ仕事中はピリピリしてるから」

「いつもピリピリしてる気が……」

「反対はしないでしょ、こんな沢山タマが……いや、猫がいるんだから、一気にやるより小分けにしたほうがいいわよ」

 というわけで、家にいるサンコ+仔猫たちとクリームツインズのみひと足先に避妊去勢手術をすることになった。

 翌朝何も知らない仔猫4匹+サンコ+パステルツインズの2匹を、道子さんと善二さんと三人で手分けをして別々にキャリーに入れた。大半の子はちゅーるに釣られてあっさりはいってくれるが、抱っこなれしていないあさやけだけは唸って抵抗し逃げ回り、なかなか捕まらなかった。

「洗濯ネットに入れますか」

「ジジイはそんな繊細なものもってないから、家から持ってくるわ」

 道子さんが大急ぎで洗濯ネットを持ってきてくれ、道子さんが本棚に上ったあさやけの身体をガシッと掴み、固定しているうちに素早くネットの中に入れた。あさやけはびゃ~、びゃ~と鳴いてばたついている。

 あさやけをキャリーに入れ、猫たちの入ったキャリーを一階の居間に移動させる。仔猫たちとさんこはあまり重くないが、雄たちは重いし、キャリー内部で動くため階段を下りながら運ぶのが大変だ。

 居間に移動させ少しして、真琴さんが迎えに来た。私と道子さん、善二さんの三人で、大声で鳴く猫たちをバケツリレーのように手渡しして車に乗せた。

「手術が失敗することはあるのか。つまり、死んでしまうようなことは?」

 善二さんが神妙な顔で尋ねると、真琴さんは言葉を選びながら答えた。

「中には、麻酔が身体に合わないなどの理由で死んでしまう子もいますが、ごくわずかな確率です。少なくとも、盛岡の獣医さんに預けた子たちは皆無事に帰ってきていますよ」

「そうか……分かった。手間をかけてすまんが、よろしく頼む」

 善二さんが頭を下げるのに合わせて、私たちも礼をした。善二さんが渡したお礼の入った封筒を真琴さんは最初受け取らなかったが、善二さんの強引さに負け申し訳なさそうに受け取った。

 やがて7匹の乗った車は遠ざかって見えなくなった。
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