ネコハラ

たらこ飴

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猫ハウス

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 猫ハウスは順調にリフォームが進んでいた。これもどうせだから記録に残したいと、道子さんと一緒に動画撮影がてら見学に行った。猫ハウスはガラス戸の張られた玄関に続く三段の階段があるが、高齢の善二さんや道子さんが楽に登れるように手すりがついている。

 玄関に入ると、新しい木の匂いがして心地よかった。善二さんと道子さんと前もって相談し、二部屋あるので持病持ちで餌の違うゆうやけとその兄弟のあさやけの2匹を小部屋に入れ、大部屋にはようかんとあずき、タビとちゃちゃとみそしる、ごましおとごはんの7匹を入れることになった。

 二部屋のうちの大部屋の様子を見て息を呑んだ。壁に張り巡らされたキャットウォークのその途中、木の小さな船が取り付けられ猫たちが休憩したり眠れるようになっている。窓際にも板が付けられ外が見られるようになっていた。キャットウォークも猫たちが無理なくのぼれるよう、壁の下から上まで階段のようになっている。実のところ外猫のようかんが歩くのが上手くなく、後ろ脚のふらつきがきになっていた。よく庭でふらついて転ぶのを見かけていて、瑛二さんにぽつりとキャットウォークで遊んでいて落下して怪我しないか心配だと話したことがあったのだ。だから瑛二さんはようかんのことを考えて、この安全な作りにしてくれたのかもしれない。

 ちなみにようかんに病気や障害はないと一月前の病院の検査で判明している。確かにあずきと追いかけっこをしている様子を見ると、全力で走る動作については問題ないようだ。たまに歩いていてふらつくのは平衡感覚の障害などでもないらしい。善二さん曰く、稀に外股だったりして歩くのが苦手な猫がいるが、前脚のふんばる力があればあまり心配しなくていいと先生が言っていたという。

 壁際には二段ベッドがあり、人間が眠れるようになっている。これは元々ついていたらしいのだが、古くなっていたのを修理してくれたらしい。これで祖母が来たとき泊めることができる。

「こりゃあすごいわ、さすが瑛ちゃんやるね」

 道子さんが拍手で絶賛した。

「本当に素敵なお家になりましたね、もうほとんど完成ですか?」

 そう訊ねると作業をしていた瑛二さんは汗を拭って、「もう一息ってとこかな」と答えた。

「猫の目線で家を作るって初めてでさ。これがあれば楽しいんじゃないかとか、これは危険だなとか、どうやったら猫たちが居心地よく暮らせるかっていつも頭を悩ませてる。でも同じくらい楽しいんだ。もし作ってほしいものがあったら今のうちに言ってくれよ」

「引き出しが一つほしいんですが……猫たちの餌やおやつや道具を入れる用の」

「引き出しか。了解」
 
 瑛二さんはあっさりOKしてくれ、その日の夜までには部屋は完成し、一緒に四段の木の引き出しもできた。
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