1 / 1
逆司法制度
しおりを挟む
20XX年。第三次世界大戦が起きたのだが、この戦争は、政治・宗教・人種ではなく、司法の世界での戦争だ。日本ではこの司法戦争に勝つために司法制度を新しく改革した。逆指名制度の導入である。犯人を名乗り出れば賞金を出し~、というものだ。具体的には、本来犯人は警察により捜査され指名手配をされるが、「逆指名制度」とは、ある事件に対して自ら犯人を名乗り出て捜査される。もちろん罪を持たぬものが、罪を被り、あたかも罪を犯した容疑者であるかのように振る舞ってもよい。一見、罪をかぶることになんの価値を持つか、わからぬ人間も多いだろう。しかし、この頃の世界では、様々なものや仕事がAIにとって代わり、人間の持つ価値が見直され、AIには真似できない「犯罪経験」という特殊な経験や人生の歩み方に価値がもたらされるようになっていた。これらは、暴論に他ならないと思うだろうが、この突拍子もない逆指名制度の導入は「事件」や「容疑者」という事柄や犯罪経験を、価値のあるお金と同等のものとして扱う初の試みである。
故に、日本に古くからある「犯罪をしてはいけません」「よそ様に迷惑をかけてはいけません」「暴力はいけません」などの常識や良識は事実上意味をなさなくなった。誰でも犯罪を犯しても良い。そして「捕まること」。この事柄が嘘であれ、既成事実となれば日本では、検挙数が上がり事件の母数が上がる。母数の増加により、統計データが増え見かけ上の精密度が上がる。これにより、この膨大な司法データを元に人間の生きた証を後世に残す。神話や伝承ではない人間の生きた痕跡を「司法」という一種の形式でもって分類化して、書き残す。いわば、日本の新しい歴史の刻み方といえよう。
故に、日本に古くからある「犯罪をしてはいけません」「よそ様に迷惑をかけてはいけません」「暴力はいけません」などの常識や良識は事実上意味をなさなくなった。誰でも犯罪を犯しても良い。そして「捕まること」。この事柄が嘘であれ、既成事実となれば日本では、検挙数が上がり事件の母数が上がる。母数の増加により、統計データが増え見かけ上の精密度が上がる。これにより、この膨大な司法データを元に人間の生きた証を後世に残す。神話や伝承ではない人間の生きた痕跡を「司法」という一種の形式でもって分類化して、書き残す。いわば、日本の新しい歴史の刻み方といえよう。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる