逆司法制度

明智風龍

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逆司法制度

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 20XX年。第三次世界大戦が起きたのだが、この戦争は、政治・宗教・人種ではなく、司法の世界での戦争だ。日本ではこの司法戦争に勝つために司法制度を新しく改革した。逆指名制度の導入である。犯人を名乗り出れば賞金を出し~、というものだ。具体的には、本来犯人は警察により捜査され指名手配をされるが、「逆指名制度」とは、ある事件に対して自ら犯人を名乗り出て捜査される。もちろん罪を持たぬものが、罪を被り、あたかも罪を犯した容疑者であるかのように振る舞ってもよい。一見、罪をかぶることになんの価値を持つか、わからぬ人間も多いだろう。しかし、この頃の世界では、様々なものや仕事がAIにとって代わり、人間の持つ価値が見直され、AIには真似できない「犯罪経験」という特殊な経験や人生の歩み方に価値がもたらされるようになっていた。これらは、暴論に他ならないと思うだろうが、この突拍子もない逆指名制度の導入は「事件」や「容疑者」という事柄や犯罪経験を、価値のあるお金と同等のものとして扱う初の試みである。

 故に、日本に古くからある「犯罪をしてはいけません」「よそ様に迷惑をかけてはいけません」「暴力はいけません」などの常識や良識は事実上意味をなさなくなった。誰でも犯罪を犯しても良い。そして「捕まること」。この事柄がであれ、既成事実となれば日本では、検挙数が上がり事件の母数が上がる。母数の増加により、統計データが増え見かけ上の精密度が上がる。これにより、この膨大な司法データを元に人間の生きた証を後世に残す。神話や伝承ではない人間の生きた痕跡を「司法」という一種の形式でもって分類化して、書き残す。いわば、日本の新しい歴史の刻み方といえよう。
 
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