初夢を見たい!

谷川ベルノー

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なんてこったい! 眠れない!!

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「……あぁ、眠りたい……」

 カチコチ鳴り続けている置き時計の時間は12時。
 虎の模様のパジャマに着替えて布団に入ったのは9時なので、3時間は眠れないまま寝転がっている計算になる。

 コーヒーを飲んだ訳でもないのに、どうしても眠ることが出来ないでいる。

(……何で……?)

 別に自分が不眠症であるという訳ではない。
 だって、いつもだったら直ぐに寝てしまう。
 どうしてかは不明だが、今日に限って妙に目が冴えてしまっていたのだ。

 枕の下には縁起物の写真。
 準備はバッチリ。


 だから私は、何が何でも寝てやるんだと頑張ってみることにした。


 ホットミルクを飲んでみたり。
 動画でお経やヒーリングミュージックを聞いたり。
 辞書を読んでみたり。
 だけど、作戦は尽く失敗続き。


 そして、今は最終手段の運動の真っ最中。
 身体を疲れさせることで、眠気を誘うのだ。


 走る、走る。
 ひたすら走る。
 夢中でする理由は、初夢の為に快眠をしたいから。


 結構長く走っていたようで、ランニングを終えた頃には太陽が登りきっていた。
 自分以外にも、ちらほら人が道を歩いている。

 不思議なことに、身体はちっとも疲れていない。


 ……なんで……なんで……。

「どうして、眠れないのよおおおおぉぉぉ──────!!」


 周りから浴びせられるであろう奇異の視線もなんのその。
 頭を抱え、涙を滝のように流し心の底から叫び声を上げた。



「──────ハッ!?」


 気付けば、自分はパジャマに着替えて布団に包まれていた。

「……」

 雀のチュンチュンという鳴き声を聞きながら起き上がるなりベランダへと向かい、無言のままカーテンを開けた。
 窓の外では太陽がおはようを告げんばかりに明るく輝き。
 私の全身に余すことなく日光を照らし続けている。

 ………………今、完全に理解した。

「あれが初夢だったの!?」

 眩しい朝日を浴びながら、そんなツッコミをした。

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