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あなたはおしまい
しおりを挟む『お前、自分にまともな価値があると思っているのか! あぁん!?』
「………………」
初めて会った時は、ひどく気弱な人だと思っていた。
付き合ってみてから本性を現したのは、わたし以外の視線が無い状態。
つまり、家で二人っきりでいるときだ。
横暴で身勝手過ぎる内弁慶。
態度がまるで奴隷に鞭打つ主人のよう。
酷い時には難癖つけられてストレス解消目的で魔法で痛めつけられたこともある。
それが心底嫌になって、結局は婚約を破棄することにした。
彼は、外で面と向かって話す時は妙に弱気で周りの視線を気にしている。
オドオド、キョロキョロ。
臆病な野ネズミみたいに超神経質。
そして今は、電話で妙に超強気。
家の中だけだと思っていたけど、電話でもそうなのね。
最初にそれを気付かされたときは、心の底からうんざりと軽蔑をブレンドした憂鬱めいた溜息をたっぷりと吐き出した。
…………だって、心底いらない発見だったもの。
まだモチョベリゲ貝の血液が赤いって雑学の方が何億倍も有意義な知識よ。
(…………あっ、でもこれは内弁慶というよりは電話弁慶になるのかしら)
『おいっ! お前!! ちゃんと話を聞いているのかよっ!?』
「あらっ、ごめんなさい(時間の無駄だから現実逃避してて)よく聞こえなかったの。……ええっと……それで……なんだったっけ……?」
『ったく、どうせ無駄にボーッとして阿呆面かまして突っ立ってたんだろ! そんな有様だから役立たずだって言われてるんだよ! この愚図!!』
(……ふ~ん、あっそ。お生憎様、役立たず呼ばわりしているのは貴方だけよ)
怒ることが偉いとでも思っているのか。
ただただ不快な感情と単語をわたしに一方的にぶつけ続けている。
この会話…………いや、コミニケーションを放棄しているなら違うか。
もうコレじゃあ、ただの一方的な罵倒だもんね。
……まあ、とにかく今までのやりとりが魔法のアイテムで録音されてるって知ったら、一体どんな顔をするかしら。
肝っ玉の小さい男だから、驚愕のあまり精神的ショックが強すぎて心臓が止まっちゃったりして。
いくらなんでも、それは考え過ぎかしら。
まぁ、いいわ。
(出費は痛かったけど、本当に買って良かったわ。これでみんながコイツの本性を知ることが出来るんだもの)
次に会った時が、楽しみね。
『おい、ちゃんと聞いているんだろうなっ!?』
「はい、しっかり聞いてますよ」
はいはい、そんなに怒鳴り散らさなくたって、しっかりばっちり聞いて記憶していますよ。
──────わたしじゃなくてアイテムが、ね。
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