そして男と一匹は去って行った

谷川ベルノー

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3 えっ・・・?

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 そういえば、メッキョラが急に鳴かなくなったなと感じてていたら、いつの間にかメェメェ寝言を言いながら呑気に寝ていた。

 えっ、ちょっと前まで起きてたのにもう寝てるのか。
自由きままっぷりと図太いを飛び越した豪胆で主人と違う意味でなんなんだコイツ。

「オイオイ、どいつを可愛がるかなんて、そんなのは自分の勝手だろう?そう言うなら、お前さんの連れているのもそうなるんじゃあないか?」

 そう言われてしまうと何も言い返せない。
確かに、何が好きかなんてのは本人の自由だ。

「……す、すみません……」
「兎に角、この会場を胸張って出て行きたきゃ、俺様とメッキョラを超えてみせるんだな。それすら出来そうもねえなら、とっとと家に帰ったほうがいいぜ」

 殺気(仮)も加わって、どうあっても言い負かされてしまう。

 ……それにしても、どうしてこんなにも自信に満ち溢れているのだろうか。まるで、歴戦の猛者のようだ。

「あんた、一体……?」
「クククッ、俺様かい?俺様は────」

 妙に勿体ぶった相手の言葉の途中でハッとする。

 ま、まさか。実は連戦連勝の強者なのか!?それとも、ここじゃない国で過去に何度も優勝した大物だとか言い出すのか!?

 やべぇ、正体が凄く気になって、ワクワクしてきたぞ!!


「────ありとあらゆる国のモンスター品評会を初戦敗退し続けている。ただのチャレンジャーさ」
「…………えっ?今まで勝ち続けてきた優勝者とかじゃないんですか?あんなに自信満々だったからてっきり…………」
「おいおい、そんな有名人なら、アンタは俺様のことを知らないなんておかしいと思わないか?」

 た、確かにそうだけど……。でも、あんな尊大な態度だったのに!?
 俺様が会場に来た時点で優勝はもう決定してるんだぜ!! みたいな心の余裕っぷりが溢れ出てたんですけど!?
 うわ、勘違い凄い恥ずかしい……。


「勝っていたら、コレを持っちゃいないぜ」

そう言って、ポケットから複数の何かを取り出した。

「そ、それは!各国の残念賞メダル!?国ごとにデザインが違う!!」

 いや待て、何で今それを持ってる。まさか、常に携帯してるのか……?

「お前は俺様を今まで勝ち続けてきた優勝者じゃないかと勘違いしていたようだが、世の中には勝つだけじゃ分からねえ、負け続けているからこそ、分かることもあるのさ。だから、俺様は堂々と胸を張れるんだぜ。
……もうそろそろ出番だから行くぜ。じゃあな坊主、
精々精進しろよ。起きろメッキョラ」
「めっ!」

 主の声に起きてトコトコ歩く夢魔のメッキョラ。歩幅を合わせて去る男。その歩みは遅い。魔物にすげぇ優しい。


「…………頑張ろうな」
「カァ…………」


 ──────あ、名前を聞くの忘れてた。


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