1 / 1
その婚約は破棄で
しおりを挟む「…………君を愛してる。だから、結婚しようじゃないか」
「…………その申し出、喜んで受け入れますわ」
将来を誓いあった男女は、ゆっくりと。
だが確実に近付いていく。
そして、互いの吐息を間近に感じる距離になった瞬間、二人は愛を確かめ合うかのように口付けを交わ──────
「死にさらせえぇえぇえぇええぇえぇえぇええぇぇぇぇぇっ────────!この下衆がああぁあぁあぁあぁ────────っ!!」
「ぎゃあああぁぁ──────────!?」
「きゃあああぁぁ──────────!?!?」
────────し合う前に、男は突然あらわれた謎の女性の魔法によってブッ飛ばされてしまった。
「──────フゥッ。ちゃんと手加減できてるなんて、流石わたくし。殺意のあまり、ついうっかりきっちり殺っちゃところでしたわ」
「…………ちょっ! …………ちょっ!? …………ちょっと!! アナタ一体」
「突然でごめんなさいね。緊急事態でしたので…………コホン。では、改めまして自己紹介しますわね。わたくしは魔法警察官。あなたを助けに参りましたの」
「………………………………はいっ?」
突如現れ物騒なことと魔法警察官だと言った女性が魔力を込めた指を弾いて、パチンッと音を鳴らす。
その瞬間、少女の胸に宿っていた恋の熱が急激に冷え切ってしまった。
「──────えっ?」
「貴方は、使用が禁止されている魔法によって強制的に魅了されていたの。可哀想に、今まで酷い扱いをされていたのでしょう?」
「…………えっ? …………いや…………そん…………な…………」
デートでは、常に高額な物を貢がされていた。
共に行く食事は常に高級料理店。
代金はいつも自分が支払うことになっていた。
将来は二人の愛の巣になるのだと言われた家では使用人の如く毎日こき使われている。
機嫌が悪い時には、ぶたれることがあった。
──────偽物の愛で曇らされていた思考がまともに戻れば、自分が奴隷以下の扱いでいいように使われていただけという真実に辿り着くことが出来た。
「────────許さないわ」
今までの出来事が思い出され、熱が冷めきっていた胸からふつふつと恋とは異なる火が灯る。
それは、怒りという名の強烈な炎。
火柱のごとき業火へと燃え上がるのに、数分と掛からない。
「…………うっ、うぅ…………一体…………何…………が…………?」
地面へ倒れていた男が片手で頭を押さえながら、ふらふらとしながら立ち上がる。
「──────ねぇ」
「………………?」
「貴方との婚約、破棄しますわね」
「………………へっ?」
──────それから数分後。
少女は、魔法で攻撃されたことによって顔がボコボコに腫れ上がった意識のない男を引き摺りながら魔法警察官の元へと戻っていった。
「あら、お見事」
「どういたしまして」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
その言葉、今さらですか?あなたが落ちぶれても、もう助けてあげる理由はありません
阿里
恋愛
「君は、地味すぎるんだ」――そう言って、辺境伯子息の婚約者はわたしを捨てた。
彼が選んだのは、華やかで社交界の華と謳われる侯爵令嬢。
絶望の淵にいたわたしは、道で倒れていた旅人を助ける。
彼の正体は、なんと隣国の皇帝だった。
「君の優しさに心を奪われた」優しく微笑む彼に求婚され、わたしは皇妃として新たな人生を歩み始める。
一方、元婚約者は選んだ姫に裏切られ、すべてを失う。
助けを乞う彼に、わたしは冷たく言い放つ。
「あなたを助ける義理はありません」。
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
妹を選んで婚約破棄した婚約者は、平民になる現実を理解していなかったようです
藤原遊
恋愛
跡継ぎとして育てられた私には、将来を約束された婚約者がいた。
――けれど彼は、私ではなく「妹」を選んだ。
妹は父の愛人の子。
身分も立場も分かったうえでの選択だと思っていたのに、
彼はどうやら、何も理解していなかったらしい。
婚約を破棄し、妹と結ばれた彼は、
当然のように貴族の立場を失い、平民として生きることになる。
一方で、妹は覚悟を決めて現実に向き合っていく。
だが彼だけが、最後まで「元に戻れる」と信じ続けていた。
これは、誰かが罰した物語ではない。
ただ、選んだ道の先にあった現実の話。
覚悟のなかった婚約者が、
自分の選択と向き合うまでを描いた、静かなざまぁ物語。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
真実の愛は水晶の中に
立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。
しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。
※AIイラスト使用
※「なろう」にも重複投稿しています。
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる