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本当の別れは近い
しおりを挟む恋は盲目。
その言葉はわたしには無縁だと思っていたが、まさか痛感する日が来るなんて思わなかった。
夫になる筈だった男は、真実の愛だとか今までの日々は紛いものだったとかふざけた戯言ぬかして浮気。
「どういうこと! 意味が分からないわよっ!?」
そう何度も叫ぶわたしに背を向けたまま、何処かへと去ってしまった。
後には一人残された自分だけ。
当然だが、婚約は破棄になった。
悔しくて悔しくて、腕利きの探偵に調べてもらった。
そうして分かったことは、どうも過去にも色々やらかしていたことが発覚。
叩けば叩くだけ最低という名の埃がボロボロ溢れまくっていくぐらいに酷い奴だったのだ。
「…………中には、ショックのあまり自殺してしまった方もいまして…………」
「────あぁ、だからだったのね」
「えっ?」
依頼人がポツリとこぼした呟きに、探偵は首を傾げて小さく疑問の声を掛ける。
「いえ、もうなんでもないんですよ…………うん、本当に」
「…………?」
野良犬にでも噛まれたと思い、新しい恋を探すことにした。
新しい生活をして、心の傷を少しでも癒すのだ。
騙された仕返しは、去っていく夫の跡をつけていた殺意のこもった眼差しの人達がしてくれるだろうから。
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