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2 手も声も届かないから
しおりを挟むバレンタインの為に素材も包装も何もかも、全てをこだわりぬいた。
やるだけのことはやったのだ、頑張ろうと思っていた。
彼は凄くモテる。
今日という日は、ほぼ四六時中異性に囲まれ続けていた。
引っ込み思案を自覚しているわたしは、話し掛けようと小さな一歩を踏み出した。
「……あ……あの……」
沸騰しそうな頭は、いつもと違って思考がうまく働かない。
喉からなんとか絞り出したけ言葉は、自然と声量が小さくなって、蚊の鳴くような声になっていく。
だから当然、誰にも届かず気付かれない。
わたしには、大声を張り上げる度胸も、相手を押し退けてでも渡す勇気も無かった。
出来たことといえば、胸のドキドキを抱え込んだまま、離れていく彼を見詰めるだけだった。
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