愛しているとは言わないけれど

谷川ベルノー

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愛しているとは言わないけれど

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 私の彼氏は『愛してる』とは言ってくれない。

 言われなくたって、私のことが好きだってことは態度でなんとなく分かる。
 けど、気持ちだけでなく言葉も欲しい。

 無口で無愛想だけど、とっても優しい彼に常日頃から、そう思っていた。


 この思いは、わがまま?
 それとも、不満?
 ううん、違う。
 不安なんだと思う。
 …………私なんて、ただなんとなくで付き合っているだけの存在。
 いつかは、遊び飽きた玩具みたいに捨てられちゃうんじゃないのかって。


「…………」

 そう思い続けていたある日、彼は死んだ。
 苦しみ悶えることなく、ベッドの上で眠るように静かに。
 今は、墓の下で眠っている。

 不思議なことに墓石は、数週間前から予約されていた。
 どうも自身の死期が近いのだと本人は確信していたようだ。


 ────あぁ、そうか。
 好きという気持ちを終ぞ口にしなかったのは、私の悲しみを少しでも減らしたかったのか。
 道理で言ってくれない筈だ。


「……それでも、私は言ってほしかったのよ……」

 『愛している』と。

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