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OLが聖女!? 無理なので、定食屋でもしようかと思います
しおりを挟む普通にお給料がもらえれば良かったのに、入った会社はサービス残業・終電帰りが当たり前のブラックで。
それでも親も頼れる親族もない身としては、お金のために毎日必死に働いていたのに、不況でまさかの予告なし倒産。
お先真っ暗で、フラフラしながら帰路についたのは覚えてるんだけど…
気付いたら異世界にいました!!!
え?何で??どうしたらそうなるの???
穴に落ちてないし、空に引っ張られてもないし、魔方陣とか、眩しい光とかすらなかったよ!?
ほんと足下見ながらとぼとぼ歩いてたら、いきなりコンクリートが草だらけになって、ビックリして顔上げたら森の中にいたんだって!!!
街から森の中にワープ(?)するのもおかしな話だけどさ、
普通の森だし「私、ショックで記憶とんでる?」って自分を疑いつつ、パニックになりながら、ケータイ取り出して位置情報を確認するもなぜか電波がなくて。
え!?そんな山奥なの!?と半泣きになりながら周りを見渡しても木 木 木…。
獣道はあるけど、服装はスーツのピンヒール、鞄には水のみ食料なし。
ほんとどうしよ…と呆然としていると、ラッキーな事に偶然人が通りかかったの!
その人の髪がピンクで、目が赤で、耳が長かったから、あ、こりゃ地球じゃないわってすぐに思えたよ。
私を助けてくれたのがエルフのリールさん。
なぜか言葉は通じたので(明らかに日本語じゃないのに、翻訳されて耳に入ってくる感じ。話すときは日本語なのに、相手には自動翻訳されて聞こえてるみたい)、
パニクりながらも事情を説明し、村まで連れて帰ってもらった。
リールさんは薬草を摘みに行っていて、人気のない森で私の声が聞こえたから、わざわざ様子を見に来てくれたんだって!
ほんと命の恩人です…!
その後も、彼女の薬草店で住み込みで働きながら、この世界の常識や情勢などの基礎知識を教えてもらい、
3ヵ月後にはこの世界で一人で生きていけるまでになりました!
よし!旅に出よう!!この国を離れよう!!!
…ってのもね、本当に信じられない話なんだけど、どうやら私はこの国が召喚した聖女ってやつらしいのです。
リールさんの話によると、この国は魔物の国と接していて、ピンチになると異界から勇者を召喚する歴史があるんだって。
んで今回も国境で魔物が増えてきた!ピンチだ!って事で王都で勇者召喚の儀式が行われ、勇者が来たみたい。
それなら私、関係なくない?って思うんだけど、どうやら過去に複数人召喚した事もあるらしく、その全員が強い力を持っていて。
その時から「男の異界人=勇者」「女の異界人=聖女」と呼んで、異界人は手厚く歓迎を受けながらも、魔物退治を余儀なくされてたみたい。
まあ所謂チート的な能力らしいから、討伐も簡単で、嫌がる人がいなかっただけなのかもしれないけど。
で、私が逃げる理由なんだけど、勇者召喚が3ヵ月前。
私がリールさんに救われたのも同じく3ヵ月前。
こりゃあどう考えても勇者召喚のタイミングと一緒だよね。巻き込まれた?的な??
しかも不幸はまだあって、王都に召喚される過程でチート能力がつくようで、正式な召喚じゃない私はチート能力がないらしい(リールさんが言うには、私には魔力?能力?が感じられないんだってさ)。
本来は聖女が魔物退治をしないなんてありえないんだけど、
リールさんがこのまま国に進言しても、戦う力のない私はすぐに死んじゃうだろうと心配してくれて、バレないうちに逃げる手筈を整えてくれたんだ!
本当に命の恩人です!!
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リールさんの知り合いが暮らす、隣国の地方都市。
この国でも黒髪黒目は珍しくて目立つんだけど、
一般の人は勇者召喚の歴史を知らないから、海の向こうの遠い国から来たと思われてるみたい。
私だって最初は地球に帰りたい…!と思ってたんだけど、方法を知ってるのは王都の魔術師達だけ。
しかも聖女と名乗り出ていない以上、帰してもらえる訳もなくて。
ただ外見が異界人だし、一緒に召喚されたはずの勇者とやらに事情を話して助けてもらうことも考えたけど、力のないオマケを帰してくれるか疑問だし、
最悪捕まって無理やり魔物討伐隊に組み込まれたら一巻の終わりだな…と考えて、帰る事は諦めた。
第一、帰っても親兄弟や恋人はいないし、仕事もない。
友達…は、数人いたけど、ブラック会社のせいでここ最近は交流してなかったし、向こうに対する未練はほとんどないのも幸いだった。
じゃあこの異世界で骨を埋めるか!と腹を括ったものの、
最初に悩んだのが職業。
リールさんと何が出来るか考えたけど、もちろん電化製品のない異世界では家事もまともに出来なくて。(魔道具はあるけど、魔力がなくて使えない)
そんな中、唯一出来て、更にこの国の水準より上だったのが料理だった。
こっちの料理は時短一番で基本焼くだけ。
食べる前に各自好みで塩や香辛料(種類は多い)的なものをかけるぐらい。そりゃ味も染みてないし、美味しくないよね。
焚き火でじっくり煮込んで、軽く味を整えただけのスープをリールさんに出した時は、ビックリされたなぁ。
煮込んだ方が野菜も甘くて美味しいの、知らなかったんだよね。
これは料理人になるしかない!って二人一致で即決。
むしろこれ以外出来る物がなかった…というのは悲しいから言わないでおこう。うん。
問題は火を付ける道具、現代でいうライターやコンロ的な道具も、全て魔道具だったこと。
こっちの世界が時短料理ばっかりなのも、火を灯す間はずっと魔力を消費するから、魔力量の少ない一般人には当然の事で。他の生活魔道具にも魔力が必要だしね。
それに魔力が高い人は騎士団や魔術師になって稼ぐのが当たり前だから、非戦闘職を選ぶ高~中魔力持ちは王族や貴族の使用人として引っ張りだこで、街中の食堂ですら低魔力持ちしかいないみたい。
それでも人数揃えれば、簡単な煮物とかは提供出来るみたいだけどね。
つまり、くったくたに煮込む角煮とか、味しみしみおでんとか、王族レベルの人しか食べられないワケだ!
…出汁の概念がない世界で、おでんがあるとは思えないけど。
でもどうして焚き火とか、魔力を使わない方法で火を灯し続けないの?って思ったら、この世界では本物の火は火事になる、とても危ないものと認識されていて、野宿の焚き火ですら長く使うのはタブーなんだって。
うーん、竈とか暖炉とか、家の中で火を使うのは難しいのかな?
他所の国から来た見慣れぬ人が街中で火を使うのはマズイから、街から歩いて30分程離れた湖畔の街道沿いに、新たに小屋を建てる事になった。
っても、もちろん私が建てられるわけもなく…
その辺はリールさんとご友人におんぶにだっこ。
リールさんは「いち早く国を出た方がいいから、私が立て替えるわ。出世払いでお願いね?」って、ポーンって大金出してくれて。
ご友人様もきっと街の偉い方なんだろうなぁ、火を使う食堂の出店許可を、すぐに取ってくれたんだよね。
でも竈は小屋の外、テーブルも外の方がお客さんが安心するだろうから、大きめのテラスを作ってそこに並べる事になった。
湖の畔なんだけど、それだけ火に対する恐怖があるんだろうね。
まぁ私も「雷のパワーを家で溜めてます」って言われたら恐怖だもんな。そんな感じなのかな。
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湖畔の小屋はこぢんまりとした見た目ながらも、1階が厨房と、雨の日用にカウンター5席と2人掛けのテーブルが2つ。
2階が私のプライベート空間で、リビングと小さめの部屋が2つもあり、意外としっかりしていた。
っても一人暮らしだし、ご飯は店で食べるし、寝室しか必要ないんだけど。
肝心の火は厨房から繋がる扉の外で、少し使い勝手は悪いけどこの世界ではこれが精一杯かな。仕方ないね。
でも嬉しい事に、この火の隣に風呂場を作ってもらった!
これでお湯が沸かせるから、魔道具が使えない私にはありがたくて!食堂だし、清潔さは本当に大事!
でもその分、薪が大量に必要なんだよな…。
一度火が消えてしまうと、魔道具が使えない私は火を起こすのも一苦労だし。
(そんな時は街道を通る人にお金を払って、ライターに火を灯けてもらう。皆怪訝な顔をするけど「魔力切れで…」って言うと、大抵の人は同情しながら引き受けてくれるから助かった。)
最初の数日は普通に生活するだけで、全身筋肉痛でほとんど動けなかった。
異世界の魔力なしの一人暮らしを舐めてました…。
老後どうしようかな。こっちで暮らすの早まったかなと思ったけど、とりあえず今を必死に生きるしかない。
そんなこんなで開店日。
でも初日は客入りは見込めないかな。
街道を使う旅人の休憩地としては近すぎるし、かといって街からわざわざ食べに来るとは思えないし。
もちろん街道を頻繁に使う商人は、急に建てられたこの食堂の存在を知っているけど、いきなり火を使う店に来るかなぁ?
まぁ1人でも来てくれれば、そのうち口コミで繁盛するでしょ。
なんたって料理の知識はチート級なんだし。
初日は安く仕入れて、匂いで釣る戦法で。
固くて家畜のエサになる部位の肉(何の肉かは深く考えてないけど、煮込めば牛のようにやわらかく解れたからOK)を肉屋から格安で譲ってもらって、野菜と一緒に長時間煮込んだ香草シンプルスープ。
これならクセがなく、お客さんが自分で好みの香辛料かけても合うと思うのよね。長年の習慣って直らないからね。
付け合わせはこっちの世界に馴染みのあるサラダに、ナンのような簡単なパン。
釜がないからふわふわのパンがないんだよね。
主食は小麦粉(みたいな粉)だから、ぺったんこで固めのパンか、水で練って湯がいたすいとんのようなものだけ。
そのうち酵母とか作ってパンの種類増やしたり、麺類も作りたいし、何より日本人としてはお米とか醤油とか味噌とか思っちゃうんだけど、それはお店が軌道に乗ってからで。
きっと時間はいっぱいあるし。
今後のレシピを頭で考えながら鍋を混ぜると、肉と野菜の甘い香りと、香草の食欲をそそる匂いが街道に広がる。
「嬢ちゃん!もう開いてるか?」
声をかけてくれてのは、この街道を毎日のように通る商人さん。
私が試作品を作ってる時から、匂いが気になってたんだって。
他の商人が敬遠してる中、リスクがあっても珍しい物に飛び付くのが成功する商人だ!って言いながら、お客様第一号になってくれた。
「なんだこれ!?優しい味なのに、旨味がすげぇ!!」
最初は何もかけないで下さいね?って差し出したスープを飲んだ一言目。
これを近くでこっそり聞いていた商人仲間が、先を越されてはたまらないと次々と押し寄せた。
街道に商人さん達の驚きの声が響きわたり、テラス席では足りず、街道沿いに腰を下ろして食べる人まで現れる始末。
閑古鳥が鳴く…と予想していたのとは裏腹に、昼前にはスープが無くなってしまった。
皆さん、恐怖の対象である火を使った料理が気になっていたのね。
もちろん物珍しさというブーストがあったのは承知で、それでもこの売り上げは滑り出し上々!!
さて、明日は何を作ろうかな~?
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店を出して3ヵ月。
この世界に来て8ヵ月。
街道を利用する商人さん達は常連になり、街からわざわざ足を運ぶ人も現れ始めた。
焼く以外の慣れない食感や、煮込んだ香辛料の香りがダメな人もいたけれど、大半の人は「美味しい」と感じたらしく、店は順調に客足を伸ばしている。
最近は事前に大量に作った分だけでは足りなくて、でも給仕と料理の両方は無理だし、何より店が繁盛するにつれ魔道具なしの生活も時間的に辛くなってきたし、誰か住み込みで雇う事も視野に入れようかな…?と思っていた矢先。
平穏な私の生活の前に、黒髪黒目の青年はやってきた。
うちの店は「本日の定食」1つだけなんだけど、その日は香草唐揚げ(何の肉かは以下略)と、サラダと、すいとん野菜ガラ(何の肉以下略)スープで。
その青年が涙ぐんで唐揚げを頬張ってた時から、嫌な気はしていた。
「こっちで味のある料理を食べたのは初めてだ!…お前、日本人だな?」
厄介事はゴメンだし、何とかシラを切り通したかったんだけど…
この見た目にこの料理、当然無理な話だった。
「俺は、つい最近この世界に来た勇者だ。前回の召喚は約50年前と聞いている。お前の事、王都に報告していいんだな…?」って、ゴツい体で不穏な笑みを浮かべながら言われたら、いくら年下でも敵わないよね。
店を閉めた後、2階のリビングで話し合う事になった。
一応お客様だからね、厨房でお茶を入れて2階に持って行く。
リビングの2人掛けテーブルにカップを置くと、私が座るのも待たず青年が口を開いた。
「大学帰り駅に向かっていたら、うつむいて歩くOLとぶつかりかけて…避けた瞬間、気付いたらこの世界に来ていた」
すいません、そのOL、多分私です…。
きっと青年だけを召喚するはずが、私がその範囲に入っちゃって、予想外に2人喚んだんだろうなぁ…。
会社が倒産っていう前振りはあったけど、前方不注意の自分が巻き起こした事態だったのか…。
それが分かっただけでも、何だかスッキリした。
その後、彼は王都の神殿で魔術や武術の訓練をして、つい最近魔物討伐に向かったものの…トラブルがあって現在は旅の途中らしい。
近くの街にお仲間さんも待ってるんだって。
もちろん私も今までの経緯を話して…
「今日はありがとう、あなたのおかげで私の状況が少しだけ分かったわ」
「…お前は日本に帰れるかどうか、疑問に思わないのか?」
あ、すっかり帰る気無くしてたから、そんな事思い付かなかったよ。
「…日本に思い入れもないし、そもそもあなたに見つかると思ってなかったから、帰るって選択肢がなかったんだよね。でも、この世界って魔力がないと辛いからさ…。一応聞かせてもらっても…?」
青年は「帰る気がないのか…」と呟いて、思案した。
「…結論から言うと、帰る方法はある。ただ、今は無理で、更に言うとお前の協力が不可欠だ。そもそも、なぜ隣国に召喚された俺が、今この国にいるか分かるか?」
「えっ?私の協力…?ってか、帰る方法があるのね!」
老後の事を心配していたけれど、それならこっちで稼いだ分を宝石に替えて、それを持って帰れば安泰ね!
やっぱり老後はバリアフリーのオール電化で生活しなくちゃ!
帰る方法がある事を喜んでいた私に、青年が溜め息をついた。
「お前…人の話を聞いてるか?俺は一緒に召喚されたはずの「聖女」を探してここにいるんだぞ」
「…!」
「その反応は、聖女の意味を知ってるんだな」
浮かれた気持ちから一転、一気に冷や汗が出てきた。
オマケで召喚された事が、バレてない訳じゃなかったんだ。
聖女を探してるって事は、やっぱり戦わなきゃダメなんだろうか…
「でも私、魔力がないんだよ?そんなの聖女じゃないし、戦えないよね…?」
お願い!力のない聖女は用なしだって言って!
じゃないと、リールさんに逃がしてもらった意味がなくなっちゃう…!
「お前に魔力がないのは初めから知っている。それに戦闘要員として探した訳ではない。それよりもっと重要な事だ」
私の願いも虚しく…
寧ろ事実はもっと残酷でした…
ショッキングなので会話の内容はあんまり覚えてないんだけど…
要約すると、
2人召喚した時点で、チート能力も魔力も召喚ゲートに2人分用意されたのに(ゲートが自動で人数をカウントして付与するらしい)、私がゲートを潜りきる前に落ちてしまった。
結果、私は能力のみが付与され、青年には能力と2人分の魔力が付与されたらしい。
私が受け取れなかった分が、彼に全部行ったって事ね。
普通の人なら魔力が増えた!って喜ぶとこなんだけど…
問題はここから。
元々チート級の魔力なのに、それが2倍となると、繊細な魔力の使い方が出来ないらしく。
魔道具はキャパオーバーで壊れるし、初歩魔法ですら上級以上の威力になって、とても国境で魔物を間引くレベルの代物じゃないらしい。
下手したら喧嘩売ってると思われて、戦争に突入だってあり得ると。
それで最初に出された案が「勇者から魔力を減らす」だったけど、普通の人が魔力枯渇を起こすような技を使ってもほとんど減らず、その他どんな方法でも一時しのぎにしかならなかった。
そして最終手段が「聖女に魔力を返す」って事らしいんだけど、その手段があり得なかった。
「俺からお前の魔力を抜く方法は2つ。死ぬか、俺に抱かれるか、だ。それ以外の方法はない」
私が死ねば、私に用意された能力も魔力も、この世界から消えるんだって。過去の召喚者で事例があるから確実らしい。
じゃあ私だけ日本に帰れば…!?と思ったんだけど、そもそも帰還の魔法を使えるのが、技を全てマスターした召喚者だけらしく、今の修行すらままならない勇者には絶対無理だそう。
「えっ!?無理無理無理無理!!会ったばっかりの年下とかマジで無理!!!大体何でそんな条件なの!?」
「この世界では、男の精子に魔力が宿り、女の腹で受け取るそうだ。逆に女からは魔力を渡す方法がないらしいから、俺が男で良かったな」
ニヤリ、と擬音がつきそうな凶悪な笑みで言い放つ。
え!?え!?ちょっと待って!?死ぬのはさすがにゴメンだけど、それも遠慮したい…!とパニクってると、いつの間にか青年が私の手を握って、
「俺を助けると思ってもいい、お前が魔力を得るためでもいい。何か理由付けて納得してくれ」
って、さっきの凶悪な顔は幻か!?と思うような誠実な顔して言ってくるから、思わず気を抜いたのがマズかった。
お互いテーブルを挟んで対面で座っていたのに、握られた手を引っ張られただけでいともたやすく私の身体が持ち上がり(きっと魔術だ!)、抵抗する間もなく青年の腕の中に閉じ込められた。
「ちょ…!」
私の抗議の声は、青年の唇に塞がれる。
いきなりの事で口を閉じる暇もなかったのを青年は見逃さず、肉厚な舌が咥内を蹂躙する。
顔を離そうと踠けば、頭を大きな掌でがっちりホールドされ、
ならば舌で押し返そうとすれば、強い接触が強い快感を生む。
「んっ…!っ…!」
噛みつかれるようなキスはとても長く、いつしか抗議の声も出なくなった。
頭に直接響く水音が、私の意識を塗り潰していくようで…
唇が解放された時には息も絶え絶えで、自分では立てなくなっていた。
「…はぁっ、はあっ…」
「キスだけで、ずいぶんと感じたようだな?まさか処女じゃないだろうな?」
その言葉で、頭にかかったモヤが晴れた。
私、キスだけで流された!?
「ちょっ…!離しなさいよ!いきなり何するのよ!!」
小柄な私が暴れたところで、青年はびくともしない。
むしろ余裕で私の腰を撫でながら、耳元で「処女か?」なんて聞いてくるから、抵抗するのが虚しくなってくる。
「…お前には悪いと思ってる。だが魔物はもうそこまで迫ってきていて、猶予がない。お前の存在は王都のやつらも知っているから、問答無用で殺されるかもしれない」
そう言えば、勇者の仲間はすぐそこの街に待機してるって言ってた。
つまり、勇者の魔力が減らないまま街に帰れば、仲間達が私を殺しに来るって事ね…。
「…私達、この世界にいきなり喚ばれた被害者だよね?」
「…ああ、そうだな」
「被害者なのに、追い討ちかけすぎじゃない?」
「それは…まぁ、そうだな」
「あなたはそれで納得してるの?その、私を抱くとか…」
「…悪いが、この世界で魔力を吐き出すために、何人も抱いた。まぁ役得ってやつだな」
真面目な話をしていたつもりなのに、またニヤリと笑みを浮かべた青年を見て、完全に気が抜けてしまった。
「…ははっ!何よ!あなたばっかり良い思いしてるじゃん!」
「そんな事はない。訓練は厳しいし、何よりもし俺が女だったなら、俺が殺されてお前の魔力を取り出すしか方法がなかった」
確かに、女は魔力を渡せないって言ってたもんね。
魔力を持ってるのが男、受け取るのが女、これしか二人が生き残る方法はなかったんだね。
「…もうっ!私だって死にたくないし、この世界を楽しみたいんだからね!それに処女じゃないし!」
「くくっ、それは悪かったな、お姉さま。じゃあ心置きなく楽しもうぜ」
そう言うと、私を抱き上げて寝室に向かう。
最初からそのつもりで、勝手に部屋を覗いたな!
ベットに降ろされると、シングルの脚がギシッと軋む。
壊れないだろうか…とか、緊張して他の事ばっかり考えちゃう。
と、意識を違う方に向けてる間に、いつの間にかブラウスのボタンが外されていた。
大きな手がゆっくりと、下着の上から胸のラインをなぞる。
この世界の下着は薄いので、時々胸の頂を掠めるのがもどかしい。思わず声が出てしまう。
「…んっ、ふっ…」
私の反応を確かめてから、青年は下着の中に手を入れ、掌で包み込むようにやわやわと胸を揉む。
大きな暖かい手はとても気持ちイイ…が、中途半端にしか触ってもらえていない尖端が、疼いて立ち上がってしまう。
「…はあっんっ」
「脱がせていいか?」
直接触って欲しいと思っていたので、間髪入れず頷く。
初対面なのにはしたない…と思いながらも、どうせ抱かれるなら楽しまなきゃ損!かな、とか。
私がノッてきたのを感じたのか、胸を揉む手付きに遠慮がなくなった。でも痛いぐらいに主張している尖端は放置されたままで…
「…っもう、触って…!」
もどかしくて、思わず懇願してしまう。
「声、我慢するなよ?」
そう言うと、右の桜色の尖端にかぶりついた。
「ああああっ!?」
右は舌で転がされ、左は指で摘ままれ、
やわやわと表面を撫でたかと思えば、ギュッと強く挟まれたり引っ張られたり、吸い付かれたり、声を我慢するなんてムリ。
強い快感に下腹部がキュンとなる。
「あっ、はぁぁっ!」
「随分と気持ち良さそうだな」
唾液で濡れた右乳首を指で摘まみながら、もう一方の手でスカートをめくり、太ももをなぞる。
噛みつかれるようなキスをしながら、太ももの手は下着越しの秘部へ到達する。
咥内から出るくちゅくちゅと濡れた音が脳を焼き、舌先で上顎を愛撫されると身体が震えるほど快楽に染まる。キスってこんなに気持ちイイものだっけ…。
「はぁっ、んんっ、」
愛液は下着に染みて、布越しに触られるだけで新たに溢れてくる。
秘裂をなぞられるだけで腰が震えるが、その上にある花芯をかりかりと引っ掻かれ、思わずビクビクと腰が跳ねる。
「あぁっ!…あんっ!」
「随分と感度がいいな、これは楽しめそうだ…」
さっきまでは見えなかった雄の欲望を瞳に灯し、腰を押し当ててくる。
太ももに重い熱を感じ、期待から熱い息が漏れる。
「…はぁっ、もう、脱がせて…」
お互い全裸になり、ようやく直に触れあった肌は吸い付くようで、抱き合っているだけで気持ちが良い。
ただ、太ももに強く押し当てられ、小刻みに揺れている熱が、
身体の中の欲望を呼び起こす。
思わず手を伸ばし、触れると、青年が息を詰める。
「っ、はっ…!」
制止されないのをいいことに、握り、先端を撫で、手を上下に擦ると、気持ちよさそうにするのが嬉しい。
「…っ、いい…が、今度は俺の番だな」
そう言うと私の両足を持ち上げ割り開いて…あろうことか秘部に口を近付け…
「っダメ!汚い…!」
「こんなにウマそうな蜜を垂らしてるのに、汚い訳がない」
お風呂も入ってないし、何言ってるの!って反論したかったのに!その隙もなく口付けられ…
「…はあっ!ああっ…あっ…!」
秘裂を丹念になぶられてから、中に舌を捩じ込まれぐっちょぐっちょと出し入れし、快楽で跳ねる腰を押さえつけられながら、ついには剥かれた花芯を舌先で強く転がされ、私はあえなくイッた。
「あぁぁぁぁあんっ!!」
「上手にイケたな、次はこっちだ」
「…はぁっ、はあっ…、まって、イッてる、からあぁぁっ!?」
私の中を慣らすため、間髪入れずに指が1本入れられる。
確かにご無沙汰で少し締まってたから、慣らしてくれるのはありがたいが、少し待って欲しい…と視線を動かせば、
青年の股間に、お腹につくほど反り返り、先端から滴を垂らしたペニスが見えた。
「…悪いな、早く入れたくて気が狂いそうだ…」
「…っ!」
「締まったな。俺のを見て期待したか?」
舌なめずりしそうなギラギラした目で、指を増やしていく。
雄を目の当たりにして、早く欲しいと言わんばかりに私の中がうごめいている。
指が敏感な場所を掠めるたびに、腰が跳ねる。
中も外も、もう制御出来ない。
「ああっ、もう、欲しい…!」
「…っ、はっ…!」
秘裂に熱が当てられ、慣らすように入り口に蜜を塗り広げられるだけで、気持ちよくて腰が揺れる。
青年がグッと腰を突きだし、先端がぬぷりと入ってくると、待ちわびていた中が絡み付く。
「…はぁぁんっ!」
「…っ、持っていかれそうだ…」
ぬぷぬぷと小刻みに出し挿れしながら、ゆっくりと腰を押し進め、最後は少し勢いを付けてどちゅりと最奥を押す。快楽で目の奥がチカチカする。ざらっとした下生えが当たるのすら気持ちがいい。
「あああぁぁっっっ…!」
「…くっ…、軽くイッたか…?」
「はあっ、あっ、あっ、」
「俺の魔力を感じるだろ?いつもよりイイはずだ…っ、すまん、もう動くぞっ…」
入れられただけでイッてしまったらしい。
確かに、身体に何かが流れ込んで来るようで、たまらなく気持ちいい。
青年も切羽詰まってるらしく、息を詰めながら腰を動かし始めた。
大きなペニスで中を満遍なく擦られると腰が蕩けそうになるし、先端やくびれで良いところをゴリゴリ攻められると腰がビクビク動いてしまう。
そしてストロークの度に最奥をどちゅどちゅ突かれると快楽で何も考えられなくなる。
「…ぁあっ…!っあっ…、はっ…、やっ…!」
「…っ、中がうごめいて…搾り取られそうだ…」
「あっ!ああっ!もう…っ、イキそ…っ、ああぁぁっ…!」
「俺も…、もう、っ…!」
一段と腰の動きが早くなり、最奥をこじ開ける勢いで打ち付けられるのが気持ち良すぎる。
痛みすら快楽に変換され、中に子種が欲しいとキュウキュウ吸い付けば、一番奥で熱が弾けた。
「…くっ、ぐうぅっっ…!」
「…っぁは、っあああぁぁぁあああっ!!!!」
全てを中に注ぎ込むように最奥で止まった後、残滓を出す為にまたゆるゆると動く。
その動きですら気持ち良くて。
「…っあっ、だめ…動かないで…」
おそらく魔力が入ってきたのだろう、温泉に浸かってるような暖かく心地好い気が身体を満たす。
このまま眠気に身を委ね…と思った矢先、
「…1回で止めてやろうと思ったが、無理なようだな」
「なんで!?…あっ!」
また芯を持ち始め、動き出した。
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結局、魔力を受け取る方も渡す方も「魔力酔い」という酩酊状態に陥り、前後不覚ながら何度も繋がり、気絶と同時に眠りにつき、気が付いたのは次の日の昼だった。
(青年は魔力を渡すセックスを何度もしてきたが、渡す方が魔力酔いをしたのは初めてらしい)
もちろんベッドも服も床もぐちゃぐちゃ、色々ぬるぬるカピカピだけど、お風呂は一度外に出ないといけないから、こんな状態では行けない。
何より無断で定食屋を休んだのがショックだった。
「…悪い。魔力を渡したら終わるつもりだったんだが…」
ずっと傲慢な態度だった青年が反省しているのを見ると、こっちも楽しかったしまぁいいかと思う。
お姉さんだし、許してやろう。
仕方ないので気持ちを切り替え、今日は魔力を使う練習をしてみる。
魔道具は魔力があるだけで使えるので、こちらは問題なさそう。
が、魔術となると、属性や術師と技の相性などもあり、簡単に使えるものではないみたい。詠唱すれば使えるとかだったら良かったのに。
勇者と聖女は能力としては全属性・全技を使えるポテンシャルはあるものの、使うためには訓練してコツを掴まないとダメなんだとか。
8ヵ月訓練した青年ですら、使えるのは全体の2割ほどなんだって。
軽く身を浄めるための水を出そうと、初めての魔術を使ってみる…が、もちろん1滴も出ない。
「もっと水が湧くところを想像しろ。清流の起点のような、清涼な水を…「スプラッシュ」」
青年の掌から、透き通った水が静かに流れ落ちる。
「すごーい!!裏の湖よりずっと綺麗な水ね!!」
「今では魔術は攻撃に特化しているが、本来は生活に密着した物だったそうだ。しかしそれでは自分に適性のない分野は使えない。だから魔道具が普及した。これなら汎用性はないが、魔力さえあれば誰でも使えるからな」
「…あなた、そんなに話せる人だったのね?」
身体を繋げた事で、心を開いてくれたのだろうか。
懐かない動物と距離を縮めたようで、その変化が少し嬉しかった。
指摘に少しムスッとしたものの、その後も魔術の使い方を教えてもらったが…どの属性も発動する事はなかった。
「ここまで使えないとは…いや、魔術が使えると魔物討伐に駆り出される可能性がある。今回の目的は魔力を返す事だから、使えなくて正解かもな」
確かに、私はこの暮らしを続けたいのであって、聖女になりたい訳じゃない。
むしろ魔力を返してもらって、現状の生活を続けながら、プラス魔道具バンバン使えるとかラッキーだよね!
これで人を雇わなくても済むし、魔力コンロを室内で使えるから、料理の幅も広がりそう!
魔術に夢中になっていると、いつの間にか窓の外が暗くなっていた。
「仲間を待たせ過ぎた。乗り込まれると厄介だ。何か困った事があれば、王都に来るといい」
そう言い残し、青年は振り返る事なく去って行った。
あ、そういや名前聞くの忘れてたな…。
まぁ王都に行けば「勇者」で通じるか…。
急に一人きりのこの家が、寂しいと思った。
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魔力のおかげで日常生活も楽々!日本の電化製品…とは比べ物にならないけれど、でも魔道具が使えるだけで私の生活水準は格段に上がった。
厨房内のコンロもフル稼動できて、現在のレパートリーでは客数も横ばいで、なんとか一人で回していける。
でも次のレシピ開発や、新しい食材確保もしたいし、その間は休むしかないか…?とか考えていた矢先。
「あれ…?コンロが点かない…?」
朝の仕込み時間なのに、不調とか困ったな…と思いながら水道の魔道具を触るも、こちらも出ない。
えっ、これって、デジャヴ…?
家中の魔道具を触るが、どれも反応しない。
全身の毛穴から冷や汗が吹き出す。
うそでしょ!?どうしよう…!
呆然としていた私の前に、つむじ風が吹いた…と思ったら、直後に現れたのは覚えのある顔。
室内なのに風?とか、どこから入ったの?とか疑問はよぎるが形にならない。
「お前の魔力が俺に戻った」
ですよねー!!!!そうだと思った!!!!
「討伐中だ、悪いが時間がない」
一方的に告げると、私を小脇に抱え寝室に向かう。
…私の異世界のんびりライフは、前途多難なようです…。
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