センゴクゲーム

サウンドキラー

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駄目な戦国のいい例

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  心地のよいそよ風と、優しく包み込む日の光…そして天国と呼ぶのにふさわしい気温……は!!….危うく本当に召されるところだった…でも…それでもいい…このまま…心地のよいまま…

  
  おーい…

  ん?誰かが俺を呼んでる、そうか天使か…天使が俺を呼んでるんだ…きっとそうだ…

  おーい…

  はいはい今行きますよ~

  おーい…

  ははは、天使さんはせっかちだな~

  おーい…早く…

  ん?だんだん目の前が真っ暗に… 

  うわあああああああああ!!


  「いい加減起きろ!授業始まるぞ!」
  はっ!……ゆ……夢……?ここは…学校か…
  「やっと起きた~ったく、授業始まるぞ!」
  「その…えっと…だっ、だだ…大丈夫……ですか?保険室とかに行った方が…」
  何かと思ったら、マユミとルリさん…そうか、あまりにいい天気だったものだからつい居眠りに時間を捧げていたのか…んで、次の授業は…

  社会か…


   社会は嫌いだ。特に歴史に対して酷くつまらなさを感じる。織田信長は、豊臣秀吉は、徳川家康は、勿論話したこともなければ、メアドも交換していない。かといって、テレビで突撃取材を受けているのも見たことがないし、一発芸をやってるのもみたことない。つまり、現在では、社会科という体のなかでしか生きられない空想上の人物であって、テスト以外の需要がない。さらに、テストでも彼らが登場するのはどれだけ多くても全教科の5分の1に満たない、さらに、彼らの当時の生き筋を一時記憶して、ペーパーに記す以外の用途はなく、記憶力だけの目的であったら理科や英語で十分過ぎると思うからだ。従って、俺は、特に社会の時間は居眠りに没頭することにしている。さて、今日もいつも通りのパターンで…
  「起立!気をつけ!例!着席!」
  「はーい、じゃあ教科書の28ページを開いて~、今日は戦国時代についてやりま~す………

  即座に居眠りの世界へと旅立った



  
  …………………か!?…だ…………………


  「ん……またマユミか……」
  「マユミぃ?あぁ、いつも一緒にいる娘のことか…ほれ、さっさと起きんかい!!」
  「!?……アンタだれだ!!それにここは……」
  「ようやく気がづいたわい…説明するからちぃーっとばかり待っとれ」
  そう言うと、謎のじーさんはゆっくりと立ち上がり、ゆっくりと黒板を運んできて、ゆっくりと老眼鏡を装備し、コホンと一息ついて、今身の回りに起こっていること、これから僕は何をさせられるのか、この先に、何がおきるのか、説明し始めた。
  「ま、要は創造神じゃよ」
  説明の中に必要のない内容がパラダイスしていたので簡潔にまとめるとする。
  

  日本の戦国時代を創造していた神が死んだ。

  抽選的に偶然、俺が次の戦国の神に任命された。

  時代の法の決め方は「ルールカード」と呼ばれる紙にその内容を書くこと。

  ルールカードの枚数は5枚が限度であること。

  決めた法は一度だけ改変することができるが、ただし、元の内容に関連する範囲内に限る。


  大雑把に、分かりやすく説明すると以上のようになる。ちなみに、目の前のじーさんが全てを取り締まる神らしい。証拠として、友達の家に行くように空を飛び、部屋の明かりをつけるように雷を降らせる様を目の前で見せてくれた。

そして、時代の作り方の基本となる力、「想像力」

例えば、自分の部屋を創造するには、自分の部屋を強く想像することが必要になり、創造に必要なのは単純にそれだけ…ということを説明の追記として説明した。

  「これからお主には日本の戦国を造ってもらう訳じゃが、残念ながら先代の神が作っていたデータは残っておる。そのため、中途半端な所から始まることになるじろうが…ま、がんばってくれたまえ」
  「そーかい、とりあえず疑っても仕方が無さそうなことは分かったぜじーさん。気は向かないが戦国を始めるにはどうしたらいい?」
  「直接わしが転送するんじゃが…その前に準備しといたほうがよさそうじゃな…」
  「準備?っ…て、何を持って行くんだ?」
  「テキトーじゃよ。ま、退屈しないような装備じゃな」
  「……ってことは向こう側に戻れるのか!?」
  「当たり前じゃよ。お前さんがあっちの歴史上で寝てる時にこっちの世界で戦国を造ってもらう…ま、大雑把に言うとそんなかんじゃな」
  「そうか…疲れそうだな。…精神的に」
  「ま、そこは馴れじゃよ。実際、お前さんの先代も最初は辛いって言っておったわい」
  「そっか…じゃあもうひとつ質問していいか?」
  「なんじゃ?」
  「その戦国での時間を自分の中の現実に換算するとどうなるんだ?」
  「そうじゃな~ま、だいたい現実での一時間はこっちでの3時間くらいだと思うぞ~」 
  「3時間か…せんきゅーなじーさん、じゃあ戻してくれ」
  「おーけーじゃ。あ、それと最後にじゃが…」
  「まだあんのか?」
  「お前さんの言う現実も、一番上にはお主みたいな神がおる…」
  「それは何となく分かってたよ…」
  「それでじゃ、お前さんの時代のその神は昔の記録を偽装して、適当な記憶を造り、今お前さんの住んでる現実を作ったのが、お前さんの現実の時間にして一昨日になるのじゃ」
  「…どういうことだ……?」
  「ま、つまりはこちらの世界では、時間の区切りが異なるのと、お主の記憶や肉体は一昨日創造されたものだ…ということじゃ」
  「なるほど、つまり俺は一昨日に、その前までの人生の記憶をもって創造された肉体ってことか…」
  「その通りじゃ」
  「ま、アンタの話を信じるとしたら何一つ不自然ではないし…成る程、想像にはそんな使い方もできるもんな。」
  「そこはお前さん次第じゃよ。…話が長くなってしまったの。どうも年寄になると話好きになるようじゃ…そろそろ現実に戻すから、しっかりと支度をしてくるのじゃぞ」
  「わかった…飛ばしてくれ!」
  「承知じゃ!!」


……


  「いい加減起きろ!授業中だぞ!」
  んっ、ふあぁぁ…んん?…あぁ、戻って来たのか…
  「だっ…大丈夫…ですが…?」
  「大丈夫ですよ、ルリさん…お気遣い、感謝します!」
  俺は感謝の意味を込めてルリさんに握手の手を差し出す。ルリさんはタコに育てられた天女のように赤面して、手を差しのべた。
  そんなルリさんの顔をじっくりと鑑賞する暇もなく、次のステップに進むとする。
  「先生、頭が悪いので早退します!」
  「何ふざけてるんだ!?……って!!ちょっと待てーぃ!!!」
俺は学校を後にした。
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