断罪のアベル

都沢むくどり

文字の大きさ
52 / 190
新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌

秩序で守られる肯定された殺戮 1

しおりを挟む
 チュンチュン。

小鳥のさえずりと窓から射し込む太陽の光。

 さらに掛け布団と腹部の間にある物体のせいで重さと妙な生暖かさを感じたため、意識が覚めてくる。

 ん? ちょっと待て。前にも似たようなシチュエーションがあった気が……………………。

 目を開け、おそるおそる掛け布団を上げると…………、

「zz…zzzzzzzzzzzz……………………」

 なんでまたいるの? 鍵はちゃんと掛けたはずなんだが…………。

 この前壊され、修復された真新しいドアの位置に視線を向ける。

 新品に取り替えたことで、色彩が古びた周りと合わせてみると変に見えるが、まあ、しょうがない。ひとつ気になる点としては、何で壁と繋ぐ金具の部分が4倍近くついてるのかだが。

 さて、そんな新しいドアだが、鍵の所はいかほどに。

「外れてる、外れちゃってる、外されてる…………」

 何気なく出てしまった三段活用。

 周りは静寂だ。スベった。しかし誰も聞いてない。つまりこれはカウントされないよね。

 なぜか鍵のロックが外されてるし、クラリーチェは鍵開けの才能があるようだ。恐ろしい。俺のプライバシーが危険にさらされる。別にやましいものは持ってないけどね。

 あれ、クラリーチェが来てると言うことはカレンとの用事があるような気が。

「…………」

「zzzzzzzzz」

「…………」

「zzzzzzzzz」

「今日仕事じゃないか!!!」

「キャウゥッ!?」

 一気に起き上がる。クラリーチェは、咄嗟の出来事に驚くも、悲鳴をあげたあと軽やかに着地。前にも思ったが、猫みたいな身のこなし。

 それにしてもすっかり忘れてた。盗賊退治。一角兎スティングラビットを狩ってから数日間、金策だけに奔走していた俺は、疲れと現実逃避から、自分が約束した(自然現象を利用した半ば強引な方法で約束させられた)ことを忘却していたのだ。

 急いで支度をしなければならない。

 あらかじめベルトポーチにエイドマッシュルームなどの小道具は入れてあるし、剣もすでに身に付けているので、準備といってもローブを着るくらいだ。

 さて、フードも被ったし、いざ行かん。

「ガルルルルルルッッッッッッ!」

「あ、そうだ。おいでクラリーチェ。ご主人様の元に行こう」

「グルァァァィッッッッ!!!」

 そして、お約束の、体が物理的な力でドアの方に飛ぶ。鍵が開いていたドアは背中がぶつかると勢いよく開き、オレの体はそのまま後方に吹っ飛ばされる。前回と同じ場所にぶつかった。角度的にも当たり前のことだがな。骨に届くほどの強烈な衝撃と共に目の前が真っ白になる。

「カハッッッ…………!」

 赤い霧が口から噴射された。血だね。どう見ても。

 

 ドアがあんなに補強されていた理由、分かった気がする。

 さすがだよ、あの店員さん。またこうなることを見越してたんだ。グフッ……!
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...