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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
口封じの重要さ 1
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「親分から村の様子を偵察しろって言われて7時頃から見張ってたけどよぉ………」
「まともに戦えそうな奴はいねぇな」
「とっとと親分に報告しにいこうぜ」
畑近くの石垣の裏で隠れつつ、三人の男が話し合っていた。毛皮の服に少しばかり錆び付いた剣。頭は薄汚れた巾着で覆っている。
「隣の村を襲った時でさえ兵士が一人もいなかったんだ。今回もうまくいくだろ」
「あー、なんか隣とここの村っておんなじ貴族の家がもってんだよな」
「俺達は貧しいから、富める奴から奪っても何も悪いこたぁねぇ」
畑も、正当な人脈もない彼らにとっての生命線は、奪うことでしか賄えない。
故に悪びれるそぶりすら見せないのである。
「にしてもここの村、警戒心がねぇよなぁ」
「むしろそれがありがたいだろ。望遠鏡でさっき村の中央見てたけど、マルドラフやってるなんて呑気なやつらだ。ま、少しでも抵抗するんならガキだろうと殺すし、しょんべんくさい年端もいかない女もさらうがな。特に親分なら済ました顔でやるだろうし。よし、引き上げるぞ」
三人は村の方角を背に向け、ぞろぞろと歩きだした。
こうして、偵察を任された彼らにとって、最高に楽な仕事を完遂する。
「ふぅあ~~、なんか安心して眠くなってき…………グブッッッッ!!」
はずだった。
「恨むなよ」
冷徹な声と共に、血飛沫が空を舞う。出所は最後尾にいる盗賊の首元からだった。
濁流のように止めどなく赤い液体が流れ出す。
それが前にいる盗賊にかかってようやく事態が動き出した。
「なっ、なんだ!?!?」
残された二人の賊が、状況を把握できぬまま振り返る。
しかし、
「これで二人」
血しぶきをもろに受けた近くの一人が、腹部を剣で貫かれる。
そしてすぐさま刺した者は刺された賊を容赦なく蹴り飛ばし、剣を引き抜いた。
「く、くそがぁぁぁぁっっ!」
ただ一人残された賊が、錆び付いた剣を抜刀する。
だが恐怖からか手の震えが収まらない。
「安心しろ、お前は殺さない。聞きたいことがあるしな」
「ふっざけんな!」
恐怖、困惑、怒りの混じった裏返り声をあげながら、賊は剣を振り回す。
縦に降り下ろし、横に薙ぎ払い、斜めに切り上げる繰り返し。
もはや賊の頭では目の前の敵に対し、恐怖と殺意で満たされており、考える行為を忘れていた。
「死ねっ、死ねっっ! 死ねよぉぉ!!」
一撃一撃が重くとも、攻撃が単純化してしまえば先を予測されてしまう。
賊の攻撃は相手にかすりすらしなかった。
それでも賊の攻撃は止まらない。
「その様子だと、お前は何も重要な情報を持っていないな。残念だよ」
次の瞬間、
「グッ……!?」
賊の攻撃が停止する。正しくは賊が剣を握っていた右手の手首を切り落とされ、無理矢理攻勢を封じ込まれた。
「手がっっ!? 俺の手がぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっっ!?」
「すまないな」
次に、磁石に吸い寄せられるような、正確で高速な小型の投擲剣が、賊の気道を切り裂く。
「これで三人」
そして苦しみ、もがいているところに胴体を斬られ、最後の賊は絶命した。
「まともに戦えそうな奴はいねぇな」
「とっとと親分に報告しにいこうぜ」
畑近くの石垣の裏で隠れつつ、三人の男が話し合っていた。毛皮の服に少しばかり錆び付いた剣。頭は薄汚れた巾着で覆っている。
「隣の村を襲った時でさえ兵士が一人もいなかったんだ。今回もうまくいくだろ」
「あー、なんか隣とここの村っておんなじ貴族の家がもってんだよな」
「俺達は貧しいから、富める奴から奪っても何も悪いこたぁねぇ」
畑も、正当な人脈もない彼らにとっての生命線は、奪うことでしか賄えない。
故に悪びれるそぶりすら見せないのである。
「にしてもここの村、警戒心がねぇよなぁ」
「むしろそれがありがたいだろ。望遠鏡でさっき村の中央見てたけど、マルドラフやってるなんて呑気なやつらだ。ま、少しでも抵抗するんならガキだろうと殺すし、しょんべんくさい年端もいかない女もさらうがな。特に親分なら済ました顔でやるだろうし。よし、引き上げるぞ」
三人は村の方角を背に向け、ぞろぞろと歩きだした。
こうして、偵察を任された彼らにとって、最高に楽な仕事を完遂する。
「ふぅあ~~、なんか安心して眠くなってき…………グブッッッッ!!」
はずだった。
「恨むなよ」
冷徹な声と共に、血飛沫が空を舞う。出所は最後尾にいる盗賊の首元からだった。
濁流のように止めどなく赤い液体が流れ出す。
それが前にいる盗賊にかかってようやく事態が動き出した。
「なっ、なんだ!?!?」
残された二人の賊が、状況を把握できぬまま振り返る。
しかし、
「これで二人」
血しぶきをもろに受けた近くの一人が、腹部を剣で貫かれる。
そしてすぐさま刺した者は刺された賊を容赦なく蹴り飛ばし、剣を引き抜いた。
「く、くそがぁぁぁぁっっ!」
ただ一人残された賊が、錆び付いた剣を抜刀する。
だが恐怖からか手の震えが収まらない。
「安心しろ、お前は殺さない。聞きたいことがあるしな」
「ふっざけんな!」
恐怖、困惑、怒りの混じった裏返り声をあげながら、賊は剣を振り回す。
縦に降り下ろし、横に薙ぎ払い、斜めに切り上げる繰り返し。
もはや賊の頭では目の前の敵に対し、恐怖と殺意で満たされており、考える行為を忘れていた。
「死ねっ、死ねっっ! 死ねよぉぉ!!」
一撃一撃が重くとも、攻撃が単純化してしまえば先を予測されてしまう。
賊の攻撃は相手にかすりすらしなかった。
それでも賊の攻撃は止まらない。
「その様子だと、お前は何も重要な情報を持っていないな。残念だよ」
次の瞬間、
「グッ……!?」
賊の攻撃が停止する。正しくは賊が剣を握っていた右手の手首を切り落とされ、無理矢理攻勢を封じ込まれた。
「手がっっ!? 俺の手がぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっっ!?」
「すまないな」
次に、磁石に吸い寄せられるような、正確で高速な小型の投擲剣が、賊の気道を切り裂く。
「これで三人」
そして苦しみ、もがいているところに胴体を斬られ、最後の賊は絶命した。
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