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Ⅳ
幕間:出立当夜
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「やあ陛下。夜分に私事でお手を煩わせて大変申し訳ない。伝言を抜かった私の不手際です。だがさすが城勤めの兵士たち、迅速な行動は称賛に尽きますな。陛下にも、私の同伴者にまでご配慮頂いたことは大変感謝しています」
「……お前」
アイザックはジト目になった。先触れを聞いて人払いしていてよかったと思う。ジュストは顔つきこそ殊勝だが、態度そのものが不遜のかたまりだ。跪いていながら偉そうなのはジュストのある意味特技だろう。余人がいれば叱責やらなんやら飛び交っていたはずだ。
ジュストが誘拐されたのは十中八九バルメルク家の後継問題のせいだろう。新たな後継者候補としてヒルダを社交界に連れてきた時点で敵を刺激するのはわかりきっていたことだ。とはいえ、敵の初動のあまりの速さには、感心するよりも呆れた。ヒルダを一緒に誘拐した時点で、ヒルダの素性の調査を怠っているのが丸わかりだったからだ。
(スートライトどころか「落星」まで動いたのは、おれも驚いたが)
ソラリア商会付きの傭兵だからといっても、一方的な命令を聞くような連中ではない。商会付きの秘書アレン・フォードに彼らを動かすに足る能力があると考えるにしても、アレンの護衛を城に丸投げするはずがない。つまり、ヒルダそのものにそれだけの何かがあるということ。……つくづくあの娘は得体が知れない。
だが今はそれを気にしている場合ではない。ジュストは誘拐そのものをなかったことにするつもりらしい。
「当の同伴者は血塗れだったらしいが?」
「突然暴漢が押しかけてきたので。私を庇った本人は怪我をしていないと言うのですが、さすがに無傷とはいかなかったようで。医師を手配してくださったこともお礼申し上げる」
国王へ虚偽の証言をするその罪を、ジュストはよく知っているはずだ。王家主催の夜会で誘拐を許した王家にも多少の瑕疵があろうと、罪は罪だ。それなのに、ジュストは一体なんの目的があってとぼけているのか。
「……以前、スートライトの者がこの城で見た不審者がお前を助けたそうだな」
「不審者云々は知りませんな。ついでにいえば男爵邸にも勝手に侵入したようで、男爵もご存じないようだったが、それでも命の恩人であることに変わりはありません。私も、男爵も」
「暴漢が襲ってきたわけは?」
「そう名のつくからには強盗か身代目的の誘拐かでしょう?」
被害者のくせに他人事に言うジュストの態度が、ほんの少しだけぎこちなくなった。上座から尋問しているからこそ気づけた違和感。……いや、あえてそう見せた。怠け癖がついてるくせに無駄に芸達者な男だ。
自然な流れで、最小限の手間で、なおかつ取り分はがっちり握りながらこちらに優位を譲ってやったのを考えれば、さすがあのドルフの息子ともいえる。
「お前、さっさと次期公爵の椅子に座れ。余計な面倒ばかり引きずってくるな。暴漢の正体には心当たりがあるんだな?」
「脈絡がありませんな」
「少しは文句つけたっていいだろ。で?乗ってやってるんだから答えろ」
「私の同伴者が平民の出であるのはご存じでしょう?なにやら一方的な因縁があったようでしてね。いきなり揉めはじめて、一体何が起こっているのやらと」
「……、……。………………おい」
全力で聞かなかったことにしたいと思ったが、手遅れも手遅れだった。
バルメルク家の後継問題に口を出してくる政敵は、王家にとっても潜在的に敵である。そんな輩とスートライトの結託。
それも王家主催の夜会にてレーウェンディアの獲得を知らしめた直後で。
「暴漢どもはもう口を利けませんので、確かめようがありません。ですので、申し上げるつもりはなかったのですが」
「――お前の同伴者は当面この城で預かることにしよう。もう既に城に入っているのだ。王妃も気に入っている娘だし、事態が見えて安全が確保できるまで、話し相手として側に置かせる」
ここまで来れば、バルメルク家がスートライト家に報復措置を取ることは止めきれない。むしろ王家としても援助したいくらいスートライトの好感度は地の底を突き抜けているが、やり過ぎはいけないのだ。少なくとも今は。
せめてもバルメルク家に多少の抑制をと、ヒルダを人質にと宣言してみれば、ジュストは相変わらず不遜極まりない顔で、「お早いご決断で」と不遜にしかならない相槌を打って肯んじた。寸分もためらいなく、反発すら欠片も見せず。
(こいつ)
つまるところ、バルメルク家もスートライトに終焉をもたらしたいわけではないが、甘い措置は体面的によくない。ならば抑制と仲裁は王家に丸投げすればよいと、そういう依頼だったわけだ。
(だから、頼む体なら、もっと取り繕えっての!!)
演技する時と場合は考えても人のことは考えないジュストは、結局そこのところでコミュニケーションを破綻させているのだ。アイザックだから「不遜」で目こぼししているが、先王の代だと投獄ものか、少なくとも中央から遠ざけられる。本人もわかっているから、国が一番に揉めるアイザック立太子の頃に隣国に出たのだろうが。要領がいいところを発揮するタイミングもかなりずれている。
有り余る演技力使ってもっと殊勝にしろ。せめて申し訳ないくらい棒読みでも言え。
という文句を飲み込んだアイザックは非常に寛大な国王である。自画自賛でもしないとやってられない。
「他におれに申すことはあるか」
「恩人には最大限の寛恕を。それから、これからやって来るスートライトの若君に、ぜひ私も挨拶をしておきたい。同席を許可願えますかな?」
「は?」
確かにセシルにはヒルダを預かる件と、バルメルク家が制裁に動くから大人しくしておけと釘を刺すのをするつもりだった。しかしそれは翌日だ。夜も深く、セシルとアデルももう内宮に部屋を用意している。一応客人なのだ。それを……これから?
明日では遅いから、セシルは今からやって来るのか。なにをしに?
(今頃『秘宝』と会っていたはずだ)
思わず立ち上がっていた。蹴倒された椅子が立てた音は柔らかい絨毯が受け止めた。
「リサ、もういい。こっちに来い」
続き部屋に声をかけると、妻がすぐに出てきた。強張った顔からして、まだ状況を把握しきれていないものの、嫌な予感はしているのだろう。しかも、まだ放置しておきたいスートライトへの制裁を許す以上の嫌な予感だ。盗み聞きされていたと知ったジュストに動揺はなく、無言でアイザックを見上げている。試しているような態度が腹立つ。
「アーロンとオルトスはまだ起きているか」
「恐らくは。今日はアーロンも、オルトスに付き合ってお昼寝してましたから、普段と同じならまだ眠れていないはずです」
「わかった」
アイザックは片手を振ってジュストを立たせ、リーシャン共々そこら辺の椅子に座らせた。奥のテーブルに置いていた呼び鈴を取って鳴らせば、国王付きの侍従ヨハン・デルクスがすぐさま顔を見せた。
「ヨハン。適当に口実を付けてアーロンとオルトスを正服でここへ連れてこい。今すぐにだ。近衛兵団長と宰相は待機。第一師団で今すぐ動かせる騎士に出動用意させろ」
「かしこまりました。緊急招集はかけさせますか」
「却下だ。抜けた穴は別の師団で埋めさせろ。全てにおいて派手な動きは認めない」
「近衛兵団長に確認をお願いしてまいります」
一礼して立ち去ったヨハンが出ていってすぐに、マリーナがやって来た。セシルの謁見の先触れであり、監視の報告だ。……そんなつもりでリーシャンは送り出したわけではなかったが。
ヨハンがついでに戻していった椅子に座って、別の侍従が運んできた茶を飲みながら報告を聞いたアイザックは、片手で顔を覆って天井を仰いだ。
「……うっそだろおい……」
手配しながらも信じたくなかったのに本当だった。というか予想の更に斜め上をいった。なんだ産み腹って。勘当を撤回するわけでなく?
「なぜあの子を止めなかったの、公子」
「止めたのでこうなったのですよ。本来なら今頃一人でスートライト領です。ぜひとも陛下方にもご尽力いただきたい」
「当たり前だろうが」
アイザックは吐き捨てるように即答した。リーシャンとマリーナも言外の意図を察して表情を歪ませている。先駆けてセシルへ侯爵家当主就任を祝いだならば、ヒルダの目的はあまりにも明確だ。彼女の能力を知っているとはいえ、単身でスートライトを落とすなど、あまりに無謀、あまりに無茶だ。それが捨て身のなせる技だと思い至らないわけがない。
相討ちでもスートライトを叩きのめすつもりで、うまく本人が生き延びたらそのまま姿を消すつもりだったのだ。バルメルク家も、商会も、なにより愛しい兄妹すらも置き去りにして。――第二の「落星」になり果てようとも。
一気にそこまで思い詰めた。たったの一晩、たったの数時間で。
(これまで溜まっていたものが破裂したってわけだ。今夜だけのことではない……十七年分、スートライトがあの娘に押し付けた負債が)
それを止めろというのが無茶ぶりなのは自覚する。だが言いたい。なぜなら、眼前では諸々の衝撃を一足先に克服し、優雅に茶をすすり茶菓子を食べている傲岸不遜な男がいるからだ。
「まさに藪をつついて蛇を出す、ですな」
ジュストのしたり顔を無性に殴りたくなった国王と王妃と侍女だった。
☆☆☆
泣き腫らしたアデルの目元を、起こさないようにそっと撫でた。
柔らかい寝台は、振動が伝わりやすいということでもある。ヒルダは細心の注意を払ってアデルの隣から抜け出し、寝台から降り立った。姉妹で揃って眠るなんて……フォード家以来だ。意外に最近だったなと微笑する。領地では全くそんなことなかったから。
毛布をかけ直してから寝室を出た。
仮眠を少し取っただけでも、ずいぶんと気分が違う。傷の手当を受けた時に一緒に按摩を施術されたことも、効果がかなりあったように思う。気が利きすぎて驚きだが、さすが王家と思っておく。休息のために内宮へヒルダを通してくれたし、こうして客室を開放してもくれた。
「……ヒルダ」
居間には兄とニーナがいた。兄もアデルのように目が赤い。心配顔のニーナが、スートライト別邸から取ってきてくれた護衛服を差し出してきたので受け取って、用意されていた衝立の向こうに回った。
「兄上、寝ないの?」
「君が戻ってくるまで、寝ない」
「いくら兄上でも倒れちゃうわよ。休める時に休んでおかないと」
「どうせ城に留め置かれるんだ。アデルも妃殿下のお言葉で、王妃宮に部屋を用意されると決まった。倒れたって特に問題はない」
「おおありだわよ」
明るい室内にいながら、夜を憚るように密やかに言葉を交わす。
ヒルダは思わず笑いをこぼしながらドレスを脱ぎ、下着を寛げた。ヒルダがアデルを寝かしつけついでに休んでいる間に、兄は王家へ交渉に出向いていた。この分だときっちり取り引きは成立したようだが、ヒルダが不在の間も城に居残るとは……兄のせめてもの意趣返しか、王家が最低限ヒルダに手綱をつけようとして兄妹の身柄を預かることにしたのか。はたまた、ヒルダが戻ってくるまでスートライトの動向を鑑みて保護する意図か。
全部かな、と一人頷き、胸周りをきゅっと布で押さえ、シャツを着る。ニーナは頼んでいた通りに商会にも寄ってくれたようで、傭兵らが用意しただろう防具が揃えて台の上に並べていた。
そして、その隣に当然のように短剣と長剣が一振りずつあった。どちらもひどく見覚えがある。兄とセットで。
「……兄上、あたし、内宮で武器携帯の許可を頂いていないんだけど」
「私の分の目こぼしだ。今夜もらった特権を早速使わせてもらった」
「使うって、本来なら取り締まる側でしょうに。そういうの乱用って言わない?」
「そうか。取り締まられたいんだね」
「ありがとう兄上。特権万歳」
ニーナがくすりと笑みをこぼし、慌てて「申し訳ありません」と口元を押さえていた。ヒルダもひっそり笑いながらズボンを履き、軍用の長靴に足を突っ込んだ。傭兵御用達、革製の胸当てと籠手はルーアン公爵家では着けなかったものだ。ベルトで固定して動作を確認する。
調整が終わったら上着を羽織って、ボタンを留めた。
「別邸からアズリーも連れてきたんだってね。近衛の厩舎で預かっているよ。糧食などもそこで用意してもらっている」
「あたしの方には近衛の監視がつくってこと?」
剣帯を締め、剣を差す。儀礼用でもない武骨な造り。王都でも基礎的な鍛錬は欠かさなかったが、腰に提げるには久しぶりの重さだ。
「素性のわかるものはつけさせず、君の従者に徹するようだ」
「王家の直臣が従者なのは心強いわね。ゆっくり見守ってもらいましょう」
「陛下は手を貸してやってもいいとお考えだけどね」
「兄上は?」
衝立から顔を出すと、兄の真顔とかち合った。
「君が無傷で帰ってくるなら、それだけでいい」
ヒルダは決めた。スートライトに下手な足掻きをさせず、王家に手出しもさせず。全て、ヒルダ自身が無傷の上で成し遂げること。
こんなに困難でやりがいのある仕事を任せられるとは。緩む頬の内側を噛んでなんとかしかつめらしい表情を作る。兄が夜会の広間でやったように、剣を抜いて水平に掲げ、跪いた。騎士服だと様になっていい。
「しかと承りました。我が主の命、必ず果たしてご覧にいれましょう」
「……その剣、その手で、私に返すように」
「必ずや」
ものすごく嫌ぁな声に吹き出しそうになるのを堪えて返事をした。顔を上げると、声の通りに渋っしぶな顔の兄がいる。ダダ漏れもダダ漏れ。けれど、もう行くなとは言わない。
剣を収めたヒルダは破顔して、その懐に飛び込んだ。
「行ってきます、兄上」
「……行ってらっしゃい、ヒルダ。気をつけて」
「うん」
結局はこのやり取りが一番しっくりくるんだなと、ヒルダは兄の胸に頬を擦り寄せ、束の間を微睡んだ。
ーーー
ジュストって実は有耶無耶に言葉を扱っているだけで、嘘は言ってない。具体的なことはろくに言ってないけど相手に勝手に想像させるような言葉選び。
ヒルダがジュストを庇ったのは(見方によっては)本当だしニコラスが恩人なのも(ヒルダを結果的に留めてくれたので)本当。暴漢が(城に)押しかけたのも本当。
国王や王太子を化け物と呼ぶジュストは自分が凡人だと思っているけど、ジュストも心臓に毛が生えてる点で人外。
アーロンがセシルを毛嫌いしているように、アイザックもジュストが若干苦手。なんでこいつらこんなに偉そうなの。
ちなみにリーシャンの弟メイソンはジュストとは決定的に反りが合わない。ばったり出会せば舌戦が始まる。
セシルとアデルは安定の大号泣。マリーナが先触れだったけど、泣き止ませるので少し時間を食ったので、その間に王家側の準備が間に合った。アーロンとオルトスは後学のため同席許可。
オルトスは体質的に一度睡魔がやって来ると即座に寝落ちする。改善の目処が立っておらず、地味に病弱設定が付けられている。
「……お前」
アイザックはジト目になった。先触れを聞いて人払いしていてよかったと思う。ジュストは顔つきこそ殊勝だが、態度そのものが不遜のかたまりだ。跪いていながら偉そうなのはジュストのある意味特技だろう。余人がいれば叱責やらなんやら飛び交っていたはずだ。
ジュストが誘拐されたのは十中八九バルメルク家の後継問題のせいだろう。新たな後継者候補としてヒルダを社交界に連れてきた時点で敵を刺激するのはわかりきっていたことだ。とはいえ、敵の初動のあまりの速さには、感心するよりも呆れた。ヒルダを一緒に誘拐した時点で、ヒルダの素性の調査を怠っているのが丸わかりだったからだ。
(スートライトどころか「落星」まで動いたのは、おれも驚いたが)
ソラリア商会付きの傭兵だからといっても、一方的な命令を聞くような連中ではない。商会付きの秘書アレン・フォードに彼らを動かすに足る能力があると考えるにしても、アレンの護衛を城に丸投げするはずがない。つまり、ヒルダそのものにそれだけの何かがあるということ。……つくづくあの娘は得体が知れない。
だが今はそれを気にしている場合ではない。ジュストは誘拐そのものをなかったことにするつもりらしい。
「当の同伴者は血塗れだったらしいが?」
「突然暴漢が押しかけてきたので。私を庇った本人は怪我をしていないと言うのですが、さすがに無傷とはいかなかったようで。医師を手配してくださったこともお礼申し上げる」
国王へ虚偽の証言をするその罪を、ジュストはよく知っているはずだ。王家主催の夜会で誘拐を許した王家にも多少の瑕疵があろうと、罪は罪だ。それなのに、ジュストは一体なんの目的があってとぼけているのか。
「……以前、スートライトの者がこの城で見た不審者がお前を助けたそうだな」
「不審者云々は知りませんな。ついでにいえば男爵邸にも勝手に侵入したようで、男爵もご存じないようだったが、それでも命の恩人であることに変わりはありません。私も、男爵も」
「暴漢が襲ってきたわけは?」
「そう名のつくからには強盗か身代目的の誘拐かでしょう?」
被害者のくせに他人事に言うジュストの態度が、ほんの少しだけぎこちなくなった。上座から尋問しているからこそ気づけた違和感。……いや、あえてそう見せた。怠け癖がついてるくせに無駄に芸達者な男だ。
自然な流れで、最小限の手間で、なおかつ取り分はがっちり握りながらこちらに優位を譲ってやったのを考えれば、さすがあのドルフの息子ともいえる。
「お前、さっさと次期公爵の椅子に座れ。余計な面倒ばかり引きずってくるな。暴漢の正体には心当たりがあるんだな?」
「脈絡がありませんな」
「少しは文句つけたっていいだろ。で?乗ってやってるんだから答えろ」
「私の同伴者が平民の出であるのはご存じでしょう?なにやら一方的な因縁があったようでしてね。いきなり揉めはじめて、一体何が起こっているのやらと」
「……、……。………………おい」
全力で聞かなかったことにしたいと思ったが、手遅れも手遅れだった。
バルメルク家の後継問題に口を出してくる政敵は、王家にとっても潜在的に敵である。そんな輩とスートライトの結託。
それも王家主催の夜会にてレーウェンディアの獲得を知らしめた直後で。
「暴漢どもはもう口を利けませんので、確かめようがありません。ですので、申し上げるつもりはなかったのですが」
「――お前の同伴者は当面この城で預かることにしよう。もう既に城に入っているのだ。王妃も気に入っている娘だし、事態が見えて安全が確保できるまで、話し相手として側に置かせる」
ここまで来れば、バルメルク家がスートライト家に報復措置を取ることは止めきれない。むしろ王家としても援助したいくらいスートライトの好感度は地の底を突き抜けているが、やり過ぎはいけないのだ。少なくとも今は。
せめてもバルメルク家に多少の抑制をと、ヒルダを人質にと宣言してみれば、ジュストは相変わらず不遜極まりない顔で、「お早いご決断で」と不遜にしかならない相槌を打って肯んじた。寸分もためらいなく、反発すら欠片も見せず。
(こいつ)
つまるところ、バルメルク家もスートライトに終焉をもたらしたいわけではないが、甘い措置は体面的によくない。ならば抑制と仲裁は王家に丸投げすればよいと、そういう依頼だったわけだ。
(だから、頼む体なら、もっと取り繕えっての!!)
演技する時と場合は考えても人のことは考えないジュストは、結局そこのところでコミュニケーションを破綻させているのだ。アイザックだから「不遜」で目こぼししているが、先王の代だと投獄ものか、少なくとも中央から遠ざけられる。本人もわかっているから、国が一番に揉めるアイザック立太子の頃に隣国に出たのだろうが。要領がいいところを発揮するタイミングもかなりずれている。
有り余る演技力使ってもっと殊勝にしろ。せめて申し訳ないくらい棒読みでも言え。
という文句を飲み込んだアイザックは非常に寛大な国王である。自画自賛でもしないとやってられない。
「他におれに申すことはあるか」
「恩人には最大限の寛恕を。それから、これからやって来るスートライトの若君に、ぜひ私も挨拶をしておきたい。同席を許可願えますかな?」
「は?」
確かにセシルにはヒルダを預かる件と、バルメルク家が制裁に動くから大人しくしておけと釘を刺すのをするつもりだった。しかしそれは翌日だ。夜も深く、セシルとアデルももう内宮に部屋を用意している。一応客人なのだ。それを……これから?
明日では遅いから、セシルは今からやって来るのか。なにをしに?
(今頃『秘宝』と会っていたはずだ)
思わず立ち上がっていた。蹴倒された椅子が立てた音は柔らかい絨毯が受け止めた。
「リサ、もういい。こっちに来い」
続き部屋に声をかけると、妻がすぐに出てきた。強張った顔からして、まだ状況を把握しきれていないものの、嫌な予感はしているのだろう。しかも、まだ放置しておきたいスートライトへの制裁を許す以上の嫌な予感だ。盗み聞きされていたと知ったジュストに動揺はなく、無言でアイザックを見上げている。試しているような態度が腹立つ。
「アーロンとオルトスはまだ起きているか」
「恐らくは。今日はアーロンも、オルトスに付き合ってお昼寝してましたから、普段と同じならまだ眠れていないはずです」
「わかった」
アイザックは片手を振ってジュストを立たせ、リーシャン共々そこら辺の椅子に座らせた。奥のテーブルに置いていた呼び鈴を取って鳴らせば、国王付きの侍従ヨハン・デルクスがすぐさま顔を見せた。
「ヨハン。適当に口実を付けてアーロンとオルトスを正服でここへ連れてこい。今すぐにだ。近衛兵団長と宰相は待機。第一師団で今すぐ動かせる騎士に出動用意させろ」
「かしこまりました。緊急招集はかけさせますか」
「却下だ。抜けた穴は別の師団で埋めさせろ。全てにおいて派手な動きは認めない」
「近衛兵団長に確認をお願いしてまいります」
一礼して立ち去ったヨハンが出ていってすぐに、マリーナがやって来た。セシルの謁見の先触れであり、監視の報告だ。……そんなつもりでリーシャンは送り出したわけではなかったが。
ヨハンがついでに戻していった椅子に座って、別の侍従が運んできた茶を飲みながら報告を聞いたアイザックは、片手で顔を覆って天井を仰いだ。
「……うっそだろおい……」
手配しながらも信じたくなかったのに本当だった。というか予想の更に斜め上をいった。なんだ産み腹って。勘当を撤回するわけでなく?
「なぜあの子を止めなかったの、公子」
「止めたのでこうなったのですよ。本来なら今頃一人でスートライト領です。ぜひとも陛下方にもご尽力いただきたい」
「当たり前だろうが」
アイザックは吐き捨てるように即答した。リーシャンとマリーナも言外の意図を察して表情を歪ませている。先駆けてセシルへ侯爵家当主就任を祝いだならば、ヒルダの目的はあまりにも明確だ。彼女の能力を知っているとはいえ、単身でスートライトを落とすなど、あまりに無謀、あまりに無茶だ。それが捨て身のなせる技だと思い至らないわけがない。
相討ちでもスートライトを叩きのめすつもりで、うまく本人が生き延びたらそのまま姿を消すつもりだったのだ。バルメルク家も、商会も、なにより愛しい兄妹すらも置き去りにして。――第二の「落星」になり果てようとも。
一気にそこまで思い詰めた。たったの一晩、たったの数時間で。
(これまで溜まっていたものが破裂したってわけだ。今夜だけのことではない……十七年分、スートライトがあの娘に押し付けた負債が)
それを止めろというのが無茶ぶりなのは自覚する。だが言いたい。なぜなら、眼前では諸々の衝撃を一足先に克服し、優雅に茶をすすり茶菓子を食べている傲岸不遜な男がいるからだ。
「まさに藪をつついて蛇を出す、ですな」
ジュストのしたり顔を無性に殴りたくなった国王と王妃と侍女だった。
☆☆☆
泣き腫らしたアデルの目元を、起こさないようにそっと撫でた。
柔らかい寝台は、振動が伝わりやすいということでもある。ヒルダは細心の注意を払ってアデルの隣から抜け出し、寝台から降り立った。姉妹で揃って眠るなんて……フォード家以来だ。意外に最近だったなと微笑する。領地では全くそんなことなかったから。
毛布をかけ直してから寝室を出た。
仮眠を少し取っただけでも、ずいぶんと気分が違う。傷の手当を受けた時に一緒に按摩を施術されたことも、効果がかなりあったように思う。気が利きすぎて驚きだが、さすが王家と思っておく。休息のために内宮へヒルダを通してくれたし、こうして客室を開放してもくれた。
「……ヒルダ」
居間には兄とニーナがいた。兄もアデルのように目が赤い。心配顔のニーナが、スートライト別邸から取ってきてくれた護衛服を差し出してきたので受け取って、用意されていた衝立の向こうに回った。
「兄上、寝ないの?」
「君が戻ってくるまで、寝ない」
「いくら兄上でも倒れちゃうわよ。休める時に休んでおかないと」
「どうせ城に留め置かれるんだ。アデルも妃殿下のお言葉で、王妃宮に部屋を用意されると決まった。倒れたって特に問題はない」
「おおありだわよ」
明るい室内にいながら、夜を憚るように密やかに言葉を交わす。
ヒルダは思わず笑いをこぼしながらドレスを脱ぎ、下着を寛げた。ヒルダがアデルを寝かしつけついでに休んでいる間に、兄は王家へ交渉に出向いていた。この分だときっちり取り引きは成立したようだが、ヒルダが不在の間も城に居残るとは……兄のせめてもの意趣返しか、王家が最低限ヒルダに手綱をつけようとして兄妹の身柄を預かることにしたのか。はたまた、ヒルダが戻ってくるまでスートライトの動向を鑑みて保護する意図か。
全部かな、と一人頷き、胸周りをきゅっと布で押さえ、シャツを着る。ニーナは頼んでいた通りに商会にも寄ってくれたようで、傭兵らが用意しただろう防具が揃えて台の上に並べていた。
そして、その隣に当然のように短剣と長剣が一振りずつあった。どちらもひどく見覚えがある。兄とセットで。
「……兄上、あたし、内宮で武器携帯の許可を頂いていないんだけど」
「私の分の目こぼしだ。今夜もらった特権を早速使わせてもらった」
「使うって、本来なら取り締まる側でしょうに。そういうの乱用って言わない?」
「そうか。取り締まられたいんだね」
「ありがとう兄上。特権万歳」
ニーナがくすりと笑みをこぼし、慌てて「申し訳ありません」と口元を押さえていた。ヒルダもひっそり笑いながらズボンを履き、軍用の長靴に足を突っ込んだ。傭兵御用達、革製の胸当てと籠手はルーアン公爵家では着けなかったものだ。ベルトで固定して動作を確認する。
調整が終わったら上着を羽織って、ボタンを留めた。
「別邸からアズリーも連れてきたんだってね。近衛の厩舎で預かっているよ。糧食などもそこで用意してもらっている」
「あたしの方には近衛の監視がつくってこと?」
剣帯を締め、剣を差す。儀礼用でもない武骨な造り。王都でも基礎的な鍛錬は欠かさなかったが、腰に提げるには久しぶりの重さだ。
「素性のわかるものはつけさせず、君の従者に徹するようだ」
「王家の直臣が従者なのは心強いわね。ゆっくり見守ってもらいましょう」
「陛下は手を貸してやってもいいとお考えだけどね」
「兄上は?」
衝立から顔を出すと、兄の真顔とかち合った。
「君が無傷で帰ってくるなら、それだけでいい」
ヒルダは決めた。スートライトに下手な足掻きをさせず、王家に手出しもさせず。全て、ヒルダ自身が無傷の上で成し遂げること。
こんなに困難でやりがいのある仕事を任せられるとは。緩む頬の内側を噛んでなんとかしかつめらしい表情を作る。兄が夜会の広間でやったように、剣を抜いて水平に掲げ、跪いた。騎士服だと様になっていい。
「しかと承りました。我が主の命、必ず果たしてご覧にいれましょう」
「……その剣、その手で、私に返すように」
「必ずや」
ものすごく嫌ぁな声に吹き出しそうになるのを堪えて返事をした。顔を上げると、声の通りに渋っしぶな顔の兄がいる。ダダ漏れもダダ漏れ。けれど、もう行くなとは言わない。
剣を収めたヒルダは破顔して、その懐に飛び込んだ。
「行ってきます、兄上」
「……行ってらっしゃい、ヒルダ。気をつけて」
「うん」
結局はこのやり取りが一番しっくりくるんだなと、ヒルダは兄の胸に頬を擦り寄せ、束の間を微睡んだ。
ーーー
ジュストって実は有耶無耶に言葉を扱っているだけで、嘘は言ってない。具体的なことはろくに言ってないけど相手に勝手に想像させるような言葉選び。
ヒルダがジュストを庇ったのは(見方によっては)本当だしニコラスが恩人なのも(ヒルダを結果的に留めてくれたので)本当。暴漢が(城に)押しかけたのも本当。
国王や王太子を化け物と呼ぶジュストは自分が凡人だと思っているけど、ジュストも心臓に毛が生えてる点で人外。
アーロンがセシルを毛嫌いしているように、アイザックもジュストが若干苦手。なんでこいつらこんなに偉そうなの。
ちなみにリーシャンの弟メイソンはジュストとは決定的に反りが合わない。ばったり出会せば舌戦が始まる。
セシルとアデルは安定の大号泣。マリーナが先触れだったけど、泣き止ませるので少し時間を食ったので、その間に王家側の準備が間に合った。アーロンとオルトスは後学のため同席許可。
オルトスは体質的に一度睡魔がやって来ると即座に寝落ちする。改善の目処が立っておらず、地味に病弱設定が付けられている。
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死なないためにどんなに辛くても笑顔でいても無駄だった。
死なないために何をされても怒らなかったのに⋯⋯
だったら⋯⋯もう誰にも媚びる必要も、気を使う必要もないでしょう?
だから虚しい希望は捨てて生きるための準備を始めた。
二度目は、自分らしく生きると決めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
いつも稚拙な小説を読んでいただきありがとうございます。
私ごとですが、この度レジーナブックス様より『後悔している言われても⋯⋯ねえ?今さらですよ?』が1月31日頃に書籍化されることになりました~
これも読んでくださった皆様のおかげです。m(_ _)m
これからも皆様に楽しんでいただける作品をお届けできるように頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします(>人<;)
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