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スキルアップ

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二人はスキルアップをすべく、準備を始めた。

  「ミーノ、食料はこれくらいでいい?」
  「十分じゃあないかな。2週間分もあれば。もしも足りなければ、いくらでも採取すればいいし。でも、塩や砂糖、小麦粉、他の調味料だけは余分に買っておこう。」
  「そうね。いくら野菜とかお肉があっても、調味料がなければおいしくないもんね。」

それらのものをごっそりと購入し、陰で『ゴミ箱』に投入していく。

  「本当に便利だな、このスキル。」
  「ミーノ様々ね。普通の冒険者や商人は、大変でしょうね。」
  「じゃあ、持っていくものはそろったことだし、スキルアップの旅に、レッツラゴー!」
  「? 何それ?この前も言ってたけど?」
  「よくわかんないけど、出かけるときの呪文?ヘレンだって、摩訶不思議な言葉を言ってたじゃあないか。」
  「もしかして、うちの村全体が変?」
  「うーん。どうだろう。他の人が言ってた言葉を覚えてるわけじゃあないし。でも、うちの父さんが”剣士”だったのも、そもそもおかしい。」
  「そう?うちのお母さんだって、”魔術師”だったわよ?」
  「え?初耳。普通の村って、そんなもん?」
  「どうかな。他の村の事なんか、ほとんど耳にしないから。ま、いいんじゃあない?分かるときゃ分かるんだし。」

  (出た。ヘレンのお気楽さ。でもこのおかげですくわれるんだよなあ)

  「そういう事で、行きましょう。楽しい旅へ!」

ミーノたちは、森へと向かう。

  「ヘレン、魔物だ!」
  「うぇ、蛇じゃん。うねうね系、キモイ。」
  「大丈夫、僕の後ろでフォローしてもらえれば。」
  「まかした。しかし、大きいわね、この蛇。なんて種類?」
  「多分、フォレストスネーク。そして、スキル持ち。」
  「なんのスキル?」
  「『熱感知』と『麻痺』。『真実の目』でそう出た。」
  「へえ、便利そうね。ゲットしちゃいますか。」
  「うん。スキルもおいしいけど、肉もすこぶる付きのうまさ。あっ、よだれが。」
  「本当においしいの。キモイけど。」
  「保証する。うちでは父さんが、たまにとってきてた。」
  「なんかキモイのが薄れてきた感じ。最早、食材にしか見えない。」
  「流石食いしん坊。行くぞ。」

と、言っている間に瞬殺。

  「うーん、ミーノのスキル、便利すぎる。『必殺』と『一撃』、『瞬歩』だっけ?」
  「そう。このスキルの組み合わせで、大抵の魔物は瞬殺できる。」
  「で、新しいスキル、ゲット出来たの?」
  「出来た。これで、草陰に隠れた動物も分かるし、『麻痺』を使えば動けなくすることもできるしね。」
  「すご。万能じゃん。」
  「万能に見えるけど、どんな魔物に効くか分かんないよ。取り敢えず、試すほかない。」
  「じゃあ、今回の旅は、スキルアップもそうだけど、スキルの限界を確認する旅でもあるわけね。」
  「ヘレン、胡麻化してもだめだ。なんか忘れてない?」
  「え、な、何のこと?」

明らかにそっぽを向き、口笛を吹くヘレンである。

  「ヘレンのステータスだよ。特に!」
  「わ、忘れてたわけじゃあないわよ、忘れてた訳じゃ。」

  (隠し事が下手だなあ。言葉もそうだけど、態度で丸わかり。)

  「よし、少し走りながら魔物を狩っていこう!」
  「お、お手柔らかにお願いいたします。」

魔物を狩りつつ、スキルアップ、ステータスの補強を行っていった。そうこうする内、あたりが薄暗くなり始めたころ、

  「随分と奥地まで来たし、そろそろ野営の準備をしようか。」
  「ミーノ、あれ出してよ、アレ。」

ヘレンに言われる通り、アレを出す。

  「《おうち》!」
  「やったー。お風呂だ!これよこれ。町のおうちにはないもんね、お風呂。うふっ、ミーノ?」

  (なにやら艶っぽいんですが?)

  「お風呂、一緒に入る?それともご飯?」

お約束か。

  「お、お風呂でお願いいたします。」

森奥深くで、堪能したミーノであった。
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