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第1章  中々無い出会い方

第28話  こんな人が

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「どういうこと? アリシアがおかあさんみたいにながくいきたから、しっかりしたってこと?」

 おいおい、ミリア? 何を言っているんだ? なぜフォローどころか、火に油を注いでいるんだ?
 ほら見てよ、また見るからに怒りだしたじゃん。


  ■  □  ■  □  ■


 結局、俺は気まずいままに夕食を食べ始めた。
 イリシアはそれ以降、話すこともなければ、目も合わせようとしなかった。

 さてさて、そんな状況下のミリアはというと……

「ねーねー、ミズキー。このおにくおいしいねー」

 ――――。

「ミズキー。どうしたのぉ?」

 一切、空気を読むなんていう気配はなかった。

「ああ、おいしいな。さすがって感じだよなぁ」

 返事をした水城に対して、アリシアがにらんだような気がした。

 うわぁ~~。食べづらい。なんか話を切り出すか、それともこのまま無言を貫き続けるか。どうしよう。

 そんなことを水城が悩んでいると、状況を察していた王様が口を開いた。

「そういえば、どうして水城とミリアは同時に来たのじゃ? 一緒にいたのか?」

「は、はい。えっと、かくれんぼをしてました」

 アリシアが睨んだ気がした。

「どうじゃったか?」

「たのしかったー」

「ミリアが隠れたんですが、危うく制限時間内に見つけられないところでした」

「ということは――」

「ミー、見つかっちゃったのー」

 王様の言葉をミリアが引き継いだ。すると、アリシアが驚いたようで、目を見開いていた。

「こんな人がミリアの事を見つけたというのですか?」

 『こんな人』ね。アリシアさんはで俺のことをけなしてくるのね。泣くぞ。

「そーだよー」

「何でそんなに驚いた様子なんですか? 何か変なことでも?」

「いや、だって……」

 どうかしたんだろうか?

「水城、教えておくぞ。今までたくさんの人がミリアと1対1でかくれんぼ勝負をしたことがあるが、初戦で見つけられた者は今までおらんのじゃ。大抵が、どこにいるのか全く分からずに終わり、透明になっていることが分かった者でも、ミリアを捕まえる前に制限時間を迎えておるのじゃ」

 へーー、そうなんだ。

「ミリアはかくれんぼにとっても強いんだな」

「えへへー、そんなことないよー」

「いや、それを捕まえる貴方だったて相当強いってことでしょうが。それにミリアは魔法とアビリティーボーナスを使っているのだから、強くて当然です」

「いやいや、俺も魔法を使っているので、条件は対等ですよ」

「魔法? いったいどんな魔法を使ってミリアに勝ったというのですか? 鑑定系の魔法ですか?」

 やはり、鑑定系スキルも存在するのか。定番だよな。いつか欲しい。

「いえ、『籠絡ろうらく』を使いました」

「――?」


  ■  □  ■  □  ■


 アリシアさんが疑問符ぎもんふを浮かべているので、解説をした。すると、

「そんな魔法が!? ミリア、大丈夫なのですか?」

 その言葉を聞いて水城は直感した。

「アリシアさんって、いい人なんですね。だって、俺の話を聞いたときに、真っ先にミリアのことを心配するんですから」

「そんなことはありません」

 口ではそう割り切っているようだったが、頬が少し赤くなっているような気がした。

 やっぱりいい人なんだろうな。

 水城はただただそう思った。


  ■  □  ■  □  ■


「そういえば水城、明日のことを話しておらんかったのぅ」

 食事を終えた俺に対して、王様が唐突にそういった。
 その前の会話の中で、場の空気は初めに比べよくなっていた。

「明日……ですか? 何処どこかへ行くんですか?」

「明日は、まず、会わせたい人がいるのじゃ。その人との用事が済んだら、――


――ダンジョンに行ってもらおうと思っておる」

 やったぁ、初ダンジョンだ!!



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