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三十八話
三人は、慎重に洞窟の出口へ向かって歩き出した。
先頭はカイル。
その半歩後ろにエルサ。
さらに後ろを、ミリアがついてくる。
足音は小さく、しかし確実に岩肌へ反響していた。
エルサは歩きながら、結界の張り具合を細かく調整する。
外敵の侵入遮断。
瘴気の再流入防止。
そして――
ミリアの胸元の、あの微細な反応の観測。
(……やっぱり)
意識を澄ませるほどに、はっきりしてくる。
ミリアの内側にある微弱な魔力は、完全な異物ではない。
むしろ。
自分の結界に、ゆっくり“馴染もうとしている”。
普通ならあり得ない現象。
結界は、本来、外界と遮断するもの。
人の内側に残留して同調するなど――
(……でも、もし)
ふと、胸の奥に小さな仮説が浮かぶ。
その瞬間。
前を歩くカイルが、不意に足を止めた。
ぴたり、と。
「……カイル様?」
エルサが小声で呼ぶ。
カイルは振り向かないまま、低く告げた。
「気配がある」
空気が一変した。
ミリアが小さく息を呑む。
「え……?」
カイルの右手が、ゆっくりと剣の柄にかかる。
視線は、洞窟の横穴――
先ほどまで完全に静まり返っていた暗がりへ。
エルサも即座に結界の密度を上げた。
光が、わずかに強まる。
その時。
――ぞわり。
岩陰の奥から、何かが這うような気配が滲み出した。
重い。
湿った。
先ほどの瘴気とは、明らかに“質”が違う。
ミリアが震える声を漏らす。
「な、なに……これ……」
次の瞬間。
暗闇の奥で――
ぎち、と。
硬質な音が、鳴った。
何かの殻が、軋むような。
カイルの声が、低く落ちる。
「……下がれ」
言葉と同時に、彼の魔力が一段階跳ね上がった。
そして。
横穴の闇が――
ゆっくりと、“こちらを見た”。
先頭はカイル。
その半歩後ろにエルサ。
さらに後ろを、ミリアがついてくる。
足音は小さく、しかし確実に岩肌へ反響していた。
エルサは歩きながら、結界の張り具合を細かく調整する。
外敵の侵入遮断。
瘴気の再流入防止。
そして――
ミリアの胸元の、あの微細な反応の観測。
(……やっぱり)
意識を澄ませるほどに、はっきりしてくる。
ミリアの内側にある微弱な魔力は、完全な異物ではない。
むしろ。
自分の結界に、ゆっくり“馴染もうとしている”。
普通ならあり得ない現象。
結界は、本来、外界と遮断するもの。
人の内側に残留して同調するなど――
(……でも、もし)
ふと、胸の奥に小さな仮説が浮かぶ。
その瞬間。
前を歩くカイルが、不意に足を止めた。
ぴたり、と。
「……カイル様?」
エルサが小声で呼ぶ。
カイルは振り向かないまま、低く告げた。
「気配がある」
空気が一変した。
ミリアが小さく息を呑む。
「え……?」
カイルの右手が、ゆっくりと剣の柄にかかる。
視線は、洞窟の横穴――
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エルサも即座に結界の密度を上げた。
光が、わずかに強まる。
その時。
――ぞわり。
岩陰の奥から、何かが這うような気配が滲み出した。
重い。
湿った。
先ほどの瘴気とは、明らかに“質”が違う。
ミリアが震える声を漏らす。
「な、なに……これ……」
次の瞬間。
暗闇の奥で――
ぎち、と。
硬質な音が、鳴った。
何かの殻が、軋むような。
カイルの声が、低く落ちる。
「……下がれ」
言葉と同時に、彼の魔力が一段階跳ね上がった。
そして。
横穴の闇が――
ゆっくりと、“こちらを見た”。
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