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第三章:藤花に消えた死体
第三章:藤花に消えた死体 37
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「……」
薄ら笑いを貼り付ける部長をしばらく見つめてから、由奈さんは廊下へ出ていく。
「……さて、どうしようかな」
約十秒の間をあけて、再び部長が口を開いた。
「もし、竜久さんを殺したのが身近な人物の仕業だとしたなら、完全なアリバイが成立する不可能犯罪だ。なかなかミステリアスな展開になってきてるね」
「そんなお気楽に言われても困りますよ。でも、藤美荘と村長の家に関係する人たちは安全ってことは、ほぼ確実っすよね。少なくとも、ここにいる限りは安心できるわけですし」
危機感を見せない部長に呆れた視線を送りつつ、俺は身体の力を抜く。
それから、桜の様子を確認しようと首を向けかけ、蓮田がこちらを見つめていることに気がつき動きを止めた。
「どうした、蓮田? 俺に何か付いてるのか?」
「……いえ、そうではないのですが。ただ、本当にこの宿と村長の家にいる人たちが無関係と言ってしまって良いのか、疑問に思いました」
視線を外すことはせず、蓮田は一度だけ物憂げな瞬きをする。
「……犯人は何故、竜久さんを吊るさなかったのでしょうか?」
「異常性を演出するため、とかか?」
何となく思いついた回答を述べてみるが、蓮田は大して反応を示さない。
「演出する理由が思いつきません」
静かに突っぱねられ、俺は口をつぐみ頭を掻く。
犯人が竜久さんを、これまでとは違うやり方で遺棄した理由。
指摘されれば確かに気にはなるが、それを解き明かすほどの情報や検証は不十分だ。
自分だけの世界に閉じこもるかのようなオーラを纏い思案する後輩から意図的に意識を逸らし、桜を見やる。
視線を察した幼なじみが、不安そうにこちらを見返してきた。
今にも何かを言いたげな表情を浮かべながら、それでも言葉を発してはこない。
叶うことなら、今すぐにでもこんな事件とは無関係な場所へ連れ出してやりたくなるが、無力な自分にできるようなことではない。
気分が沈みかけるのをごまかそうと、壁にかけられた時計へ目を向ける。
それを待っていたかのように長針が九を指し示し、時刻が三時四十五分になったことを無言で告げた。
薄ら笑いを貼り付ける部長をしばらく見つめてから、由奈さんは廊下へ出ていく。
「……さて、どうしようかな」
約十秒の間をあけて、再び部長が口を開いた。
「もし、竜久さんを殺したのが身近な人物の仕業だとしたなら、完全なアリバイが成立する不可能犯罪だ。なかなかミステリアスな展開になってきてるね」
「そんなお気楽に言われても困りますよ。でも、藤美荘と村長の家に関係する人たちは安全ってことは、ほぼ確実っすよね。少なくとも、ここにいる限りは安心できるわけですし」
危機感を見せない部長に呆れた視線を送りつつ、俺は身体の力を抜く。
それから、桜の様子を確認しようと首を向けかけ、蓮田がこちらを見つめていることに気がつき動きを止めた。
「どうした、蓮田? 俺に何か付いてるのか?」
「……いえ、そうではないのですが。ただ、本当にこの宿と村長の家にいる人たちが無関係と言ってしまって良いのか、疑問に思いました」
視線を外すことはせず、蓮田は一度だけ物憂げな瞬きをする。
「……犯人は何故、竜久さんを吊るさなかったのでしょうか?」
「異常性を演出するため、とかか?」
何となく思いついた回答を述べてみるが、蓮田は大して反応を示さない。
「演出する理由が思いつきません」
静かに突っぱねられ、俺は口をつぐみ頭を掻く。
犯人が竜久さんを、これまでとは違うやり方で遺棄した理由。
指摘されれば確かに気にはなるが、それを解き明かすほどの情報や検証は不十分だ。
自分だけの世界に閉じこもるかのようなオーラを纏い思案する後輩から意図的に意識を逸らし、桜を見やる。
視線を察した幼なじみが、不安そうにこちらを見返してきた。
今にも何かを言いたげな表情を浮かべながら、それでも言葉を発してはこない。
叶うことなら、今すぐにでもこんな事件とは無関係な場所へ連れ出してやりたくなるが、無力な自分にできるようなことではない。
気分が沈みかけるのをごまかそうと、壁にかけられた時計へ目を向ける。
それを待っていたかのように長針が九を指し示し、時刻が三時四十五分になったことを無言で告げた。
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