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決着
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「くそっ! 何なんだこれは……!?」
休めることなく顔の前で手を振り回しながら、片桐が苛ついたような声を吐き出す。
「これ……虫か?」
無数の羽音が向かう先は、前方に立つ片桐の元。よく目を凝らせば大小様々な羽虫たちが、片桐を取り囲むようにして飛び回っていた。
それらから主を守ろうとサンドワームも必死に動き回っているようだが、いかんせん虫の数が多すぎる。防ぐよりも遥かに圧倒的な勢いで、さらにその数は増え続けていた。
無意識に、口元が綻ぶ。まさか、ここまでやるとは。
周りの木々や草むらが、激しく音を立てる。続いて、小動物や鳥の無秩序な鳴き声が空気を震わせる。
「……勝った」
虫の羽音と獣の声による不快音としか呼べないコーラスを聞きながら、俺は呟いた。
「雄治!!」
背後の茂みから一際高い音を立てて飛び出してきた少女が、ぶつかるような勢いで腕に抱きついてきた。
「……遅ぇよ、死ぬかと思っただろが」
憎まれ口をたたきながら、間近に現れた桜の頭に手をのせる。
「あたしだって結構大変だったんだから。いきなり目の前にガーディアン降ってくるし。やられちゃうかと思った」
不満気に口を尖らせる桜。
「ガーディアンに見つかったのか?」
だとしたなら、ここに生きて合流できたのは奇跡に近い。そう思いながら訊ねると、桜はふるふると首を横に振る。
「ギリギリセーフ。ちょうどこっちに背中向けてたから、振り返られる直前に逃げたよ。かなり危なかったけど」
「そ、そうか……」
ホッと安堵の息をついて、俺は片桐へ視線を移す。
「で、あれは? あんなちっこい虫まで操ったのか?」
今や虫にまとわりつかれた状態の敵を見つめたまま問うと、桜が自慢するように大きく頷いた。
「そうだよ。どうせなら数が多い方が良いって思ったから。どう? これって作戦成功? あたしたちの勝ち?」
「まだだろ。別に頼んでおいたやつはどうなってんだ?」
確認するように言うと、桜は
「それなら、そろそろ来るんじゃないかな」
そう言って、近くの茂みを指差した。
そちらを向いて待つこと数秒。桜が示したまさにその場所から、二匹のネズミが飛び出してくる。
「あれに任せてみた」
飛び出したネズミは、真っ直ぐに片桐へと突進していくと、そのまま羽虫たちに紛れて見えなくなる。
「ところで、ガーディアンは?」
油断なく成り行きを見守りながら問うと、桜はさぁ、と首を捻る。
「まだ森の中探してるんじゃない?」
「気楽に言うなよ。万が一ここに戻ってきたらアウトだ。その前にケリをつけねぇと……」
言って、焦らされる心地で片桐を注視していると、飛び込んでいった二匹のネズミが撤退するようにこちらへ走り寄ってきた。
段々と近づくにつれ、その小さな口にそれぞれ何かをくわえているのが確認できる。
「成功だね」
嬉しそうに言う桜に小さく頷いてから、俺はしゃがんでネズミが側に来るのを待つ。二匹のネズミは俺の前で止まり、それぞれ口にくわえていた物を足元へ置いた。
「でかしたぞ」
置かれたのは、片桐が所持していたライターと手帳。全ての元凶を反映させてきたその一冊を、俺は手に取った。
休めることなく顔の前で手を振り回しながら、片桐が苛ついたような声を吐き出す。
「これ……虫か?」
無数の羽音が向かう先は、前方に立つ片桐の元。よく目を凝らせば大小様々な羽虫たちが、片桐を取り囲むようにして飛び回っていた。
それらから主を守ろうとサンドワームも必死に動き回っているようだが、いかんせん虫の数が多すぎる。防ぐよりも遥かに圧倒的な勢いで、さらにその数は増え続けていた。
無意識に、口元が綻ぶ。まさか、ここまでやるとは。
周りの木々や草むらが、激しく音を立てる。続いて、小動物や鳥の無秩序な鳴き声が空気を震わせる。
「……勝った」
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「雄治!!」
背後の茂みから一際高い音を立てて飛び出してきた少女が、ぶつかるような勢いで腕に抱きついてきた。
「……遅ぇよ、死ぬかと思っただろが」
憎まれ口をたたきながら、間近に現れた桜の頭に手をのせる。
「あたしだって結構大変だったんだから。いきなり目の前にガーディアン降ってくるし。やられちゃうかと思った」
不満気に口を尖らせる桜。
「ガーディアンに見つかったのか?」
だとしたなら、ここに生きて合流できたのは奇跡に近い。そう思いながら訊ねると、桜はふるふると首を横に振る。
「ギリギリセーフ。ちょうどこっちに背中向けてたから、振り返られる直前に逃げたよ。かなり危なかったけど」
「そ、そうか……」
ホッと安堵の息をついて、俺は片桐へ視線を移す。
「で、あれは? あんなちっこい虫まで操ったのか?」
今や虫にまとわりつかれた状態の敵を見つめたまま問うと、桜が自慢するように大きく頷いた。
「そうだよ。どうせなら数が多い方が良いって思ったから。どう? これって作戦成功? あたしたちの勝ち?」
「まだだろ。別に頼んでおいたやつはどうなってんだ?」
確認するように言うと、桜は
「それなら、そろそろ来るんじゃないかな」
そう言って、近くの茂みを指差した。
そちらを向いて待つこと数秒。桜が示したまさにその場所から、二匹のネズミが飛び出してくる。
「あれに任せてみた」
飛び出したネズミは、真っ直ぐに片桐へと突進していくと、そのまま羽虫たちに紛れて見えなくなる。
「ところで、ガーディアンは?」
油断なく成り行きを見守りながら問うと、桜はさぁ、と首を捻る。
「まだ森の中探してるんじゃない?」
「気楽に言うなよ。万が一ここに戻ってきたらアウトだ。その前にケリをつけねぇと……」
言って、焦らされる心地で片桐を注視していると、飛び込んでいった二匹のネズミが撤退するようにこちらへ走り寄ってきた。
段々と近づくにつれ、その小さな口にそれぞれ何かをくわえているのが確認できる。
「成功だね」
嬉しそうに言う桜に小さく頷いてから、俺はしゃがんでネズミが側に来るのを待つ。二匹のネズミは俺の前で止まり、それぞれ口にくわえていた物を足元へ置いた。
「でかしたぞ」
置かれたのは、片桐が所持していたライターと手帳。全ての元凶を反映させてきたその一冊を、俺は手に取った。
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