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【 来栖亜梨亜 】
4人の出会い
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中は外で見た通り、まるでホテルのロビーというか、高級洋館の様な豪華さだ。
赤い絨毯。上へと続く2方向への階段。そして隅には丸いテーブルとそれを囲む優雅なソファー。
しかし数が多いな。奥のテーブルで1組の男女が座っているが、それ以外に20以上あるテーブルは全てが無人だ。
椅子の数から見ると、1セット6人かな。かつてはこれだけのテーブルが埋まる事があったのだろうか?
「向こうで手を振っている人たちが、さっき教官が言っていた二人だね」
男女のペアか。他にいないし、別人だったらちょっと困る。
というか、女性の方がこちらを見ながら手招きしている。間違いはないだろう。
見た所、男の方は俺より年上に見える。二十歳というか、それより少し上か。
まあ同級生のようだから同い年なんだろうけど。
座っているから身長は分からないが、結構高いな。とはいえ俺よりは低いか。
全体的に痩せ型。眼鏡をかけているせいか、インテリタイプに見える。
ただ髪形がごく普通のショートなのはいいとして、色が紫なのは何だ? コスプレ趣味か? 大阪のおばちゃんか? 見た事は無いけど。
しかしそれを言うと来栖亜梨亜の髪もプラチナだし……。
そんな事を考えていても、どうしてももう片方に目が行ってしまう。
こちらは女性だが、髪はライトブルーの短めなボブカット。染めているようには見えないが、なんかものすごく目立つ。
しかも目は碧色。こちらはカラーコンタクトなのかもしれないが、美しくて吸い込まれそうな瞳だ。童顔で少し幼めな感じだが、その概念を破壊するすさまじい球体が2つ。でかい。とにかくでかい。
というか机の上に乗せるとかマジか!?
そういえば店で会計をしている時のあず姉もやっていたように思うが、あまり意識はしていなかったな。あまり異性としてまじまじと見たりはしなかったからか、あまり意識にない。
しかし、こうも近く――それも正面から見ると何ともすごい。
少し動くたびに、中に別の生き物が入っているかのようにゆさゆさと動く。
いや、いかんいかん。あまり見ては失礼だ。
身長は来栖と同じくらいか? 並べて比べてみないと、どちらが高いか分からない感じだな。
この4人がこの怪しい学校の新入生か。俺を数に入れたくはないが。
しかしやっぱり少ない。異常だ。
まあその辺りは詳しく聞いてみれば分かるだろう。
などと考えている間に来栖はさっさと行ってしまったし、俺もそのまま付いて行こう。
駅の時も思ったけど、こいつ結構社交的で物怖じしないな。少し失礼な奴だが。
「こんにちは。さっき軍曹に紹介された人は貴方たちかしら」
もうごく自然に軍曹と呼んでいる。
俺はまだ悩んでいたが、まあ彼女に合わせて軍曹で良いか――いや、やっぱり何処か引っかかるから教官と呼ぼう。
「ああ、聞いていたよ。自分たち4人が新入生だ」
「人材不足も深刻ね……あっと、自己紹介がまだだったわね。あたしは高円寺円。普通に円って呼んでくれていいわ」
ちらりと見た時は大人しいお嬢様的な印象を受けたが、結構ハキハキとして芯も強そうだ。
何と言うか、見た目の雰囲気はまるで違うが来栖とキャラが被っているな。
というか当たり前だな。まだよくわからないが、ここはなんだか士官学校のような雰囲気だ。
そんな所に、一般人が紛れ込むわけがないか。
「自分は杉林ポレンだ。よろしく……ではあるが」
すげーキラキラネーム。というより、一部の人が聞いたら無条件で殴りたくなるような名前だな。親の顔が見たいもんだ。
「何故一般人がこんな所にいるんだ?」
肘をつき、手の上に顎を乗せ、何処か呆れたような、それでいて無関心であるかのような微妙な表情で聞いてきた。
というか俺を見ている。俺か? 俺の事か? そりゃまあ一般人ではあるが……。
「確かに見た所一般人だけど、彼、群馬県民よ」
一瞬にして空気がピリつく。
ここまで来ると、もう洒落や冗談じゃすまないぞ。
俺と同世代の人間はここまでアホか。ネットに毒されるにも限度というものがある。
ここはぴしっと言ってやろう――と思いとっさにスマホを取り出そうとしたが、ポケットに手を入れた姿勢で体が止まる。
そういえば、さっき来栖が見せたあれは何だ?
ここでスマホとか出していいのか?
「しかも持っているのよ、タヌキ弾を! タヌキ弾よ!」
硬直していた二人が僅かに退く。というより――、
「神弾だ、し・ん・だ・ん! その失礼な名前は止めろ」
「……タヌキ弾」
今度は高円寺さんまで呟き始めた。
そもそもなんで神弾をそのタヌキ弾とやらと間違えたのやら。似ているのか?
「勘違いしている様だが、本当に俺が彼女の前で使ったのは神弾。神の祝福を受けた特殊な弾だ」
「ふむ……まあこの際それで良いよ。本当に普通の人間なら、そう長い付き合いにはならないだろうしね。もっとも、群馬県から来たというのが事実なら……どうだろうね」
腹が立つからこの件はもう気にしない事にしよう。
「それで、そちらは?」
「私は来栖亜梨亜。16歳よ。元々は和歌山戦線で戦っていたけど……」
「あの激戦区で? あ、でも……」
「いいわよ、事実だし。その後は御所攻防戦、豊橋城塞戦を経てこっちにね」
話がまるで見えない。
というか16歳? 入る学校を間違えていないか?
「よく生き延びたものだ。尊敬に値するよ」
「私はこれでもTYPE―Eだしね。なーんて、自慢にもならないか。同期のTYPE―Eも、ハイモデルで指揮官だったTYPEーGも戦死したもの。私がここまでこられたのは、単に運が良かっただけね」
「運だけでここまでは来られないわ。わたしはTYPE―D、そちらの彼はTYPE―Cよ」
「TYPEーC? じゃあ――」
「ああ、これでも24歳だよ。我ながら無駄に生き残ったものだと思う」
ますます話が見えなくなってきた。
というか、3人の輪の中に入れる自信がない。
タイプ? まるで人造人間に付ける記号の様だ。
だけどまあ無いな。そんなSFの世界じゃないんだから。
いや、静岡人だと言われたら信じたかもしれない。ここにはどれだけの科学力が集約されているのか分からないしな。
赤い絨毯。上へと続く2方向への階段。そして隅には丸いテーブルとそれを囲む優雅なソファー。
しかし数が多いな。奥のテーブルで1組の男女が座っているが、それ以外に20以上あるテーブルは全てが無人だ。
椅子の数から見ると、1セット6人かな。かつてはこれだけのテーブルが埋まる事があったのだろうか?
「向こうで手を振っている人たちが、さっき教官が言っていた二人だね」
男女のペアか。他にいないし、別人だったらちょっと困る。
というか、女性の方がこちらを見ながら手招きしている。間違いはないだろう。
見た所、男の方は俺より年上に見える。二十歳というか、それより少し上か。
まあ同級生のようだから同い年なんだろうけど。
座っているから身長は分からないが、結構高いな。とはいえ俺よりは低いか。
全体的に痩せ型。眼鏡をかけているせいか、インテリタイプに見える。
ただ髪形がごく普通のショートなのはいいとして、色が紫なのは何だ? コスプレ趣味か? 大阪のおばちゃんか? 見た事は無いけど。
しかしそれを言うと来栖亜梨亜の髪もプラチナだし……。
そんな事を考えていても、どうしてももう片方に目が行ってしまう。
こちらは女性だが、髪はライトブルーの短めなボブカット。染めているようには見えないが、なんかものすごく目立つ。
しかも目は碧色。こちらはカラーコンタクトなのかもしれないが、美しくて吸い込まれそうな瞳だ。童顔で少し幼めな感じだが、その概念を破壊するすさまじい球体が2つ。でかい。とにかくでかい。
というか机の上に乗せるとかマジか!?
そういえば店で会計をしている時のあず姉もやっていたように思うが、あまり意識はしていなかったな。あまり異性としてまじまじと見たりはしなかったからか、あまり意識にない。
しかし、こうも近く――それも正面から見ると何ともすごい。
少し動くたびに、中に別の生き物が入っているかのようにゆさゆさと動く。
いや、いかんいかん。あまり見ては失礼だ。
身長は来栖と同じくらいか? 並べて比べてみないと、どちらが高いか分からない感じだな。
この4人がこの怪しい学校の新入生か。俺を数に入れたくはないが。
しかしやっぱり少ない。異常だ。
まあその辺りは詳しく聞いてみれば分かるだろう。
などと考えている間に来栖はさっさと行ってしまったし、俺もそのまま付いて行こう。
駅の時も思ったけど、こいつ結構社交的で物怖じしないな。少し失礼な奴だが。
「こんにちは。さっき軍曹に紹介された人は貴方たちかしら」
もうごく自然に軍曹と呼んでいる。
俺はまだ悩んでいたが、まあ彼女に合わせて軍曹で良いか――いや、やっぱり何処か引っかかるから教官と呼ぼう。
「ああ、聞いていたよ。自分たち4人が新入生だ」
「人材不足も深刻ね……あっと、自己紹介がまだだったわね。あたしは高円寺円。普通に円って呼んでくれていいわ」
ちらりと見た時は大人しいお嬢様的な印象を受けたが、結構ハキハキとして芯も強そうだ。
何と言うか、見た目の雰囲気はまるで違うが来栖とキャラが被っているな。
というか当たり前だな。まだよくわからないが、ここはなんだか士官学校のような雰囲気だ。
そんな所に、一般人が紛れ込むわけがないか。
「自分は杉林ポレンだ。よろしく……ではあるが」
すげーキラキラネーム。というより、一部の人が聞いたら無条件で殴りたくなるような名前だな。親の顔が見たいもんだ。
「何故一般人がこんな所にいるんだ?」
肘をつき、手の上に顎を乗せ、何処か呆れたような、それでいて無関心であるかのような微妙な表情で聞いてきた。
というか俺を見ている。俺か? 俺の事か? そりゃまあ一般人ではあるが……。
「確かに見た所一般人だけど、彼、群馬県民よ」
一瞬にして空気がピリつく。
ここまで来ると、もう洒落や冗談じゃすまないぞ。
俺と同世代の人間はここまでアホか。ネットに毒されるにも限度というものがある。
ここはぴしっと言ってやろう――と思いとっさにスマホを取り出そうとしたが、ポケットに手を入れた姿勢で体が止まる。
そういえば、さっき来栖が見せたあれは何だ?
ここでスマホとか出していいのか?
「しかも持っているのよ、タヌキ弾を! タヌキ弾よ!」
硬直していた二人が僅かに退く。というより――、
「神弾だ、し・ん・だ・ん! その失礼な名前は止めろ」
「……タヌキ弾」
今度は高円寺さんまで呟き始めた。
そもそもなんで神弾をそのタヌキ弾とやらと間違えたのやら。似ているのか?
「勘違いしている様だが、本当に俺が彼女の前で使ったのは神弾。神の祝福を受けた特殊な弾だ」
「ふむ……まあこの際それで良いよ。本当に普通の人間なら、そう長い付き合いにはならないだろうしね。もっとも、群馬県から来たというのが事実なら……どうだろうね」
腹が立つからこの件はもう気にしない事にしよう。
「それで、そちらは?」
「私は来栖亜梨亜。16歳よ。元々は和歌山戦線で戦っていたけど……」
「あの激戦区で? あ、でも……」
「いいわよ、事実だし。その後は御所攻防戦、豊橋城塞戦を経てこっちにね」
話がまるで見えない。
というか16歳? 入る学校を間違えていないか?
「よく生き延びたものだ。尊敬に値するよ」
「私はこれでもTYPE―Eだしね。なーんて、自慢にもならないか。同期のTYPE―Eも、ハイモデルで指揮官だったTYPEーGも戦死したもの。私がここまでこられたのは、単に運が良かっただけね」
「運だけでここまでは来られないわ。わたしはTYPE―D、そちらの彼はTYPE―Cよ」
「TYPEーC? じゃあ――」
「ああ、これでも24歳だよ。我ながら無駄に生き残ったものだと思う」
ますます話が見えなくなってきた。
というか、3人の輪の中に入れる自信がない。
タイプ? まるで人造人間に付ける記号の様だ。
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