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第一章
鏡に映った私
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ふと、目を開けると、鏡に自分の姿が映っていた。
丁度、侍女が口紅を塗り終わって、下がっているときだった。
「あら・・・?私、こんな顔だったかしら?」
自分の顔に違和感を覚え、鏡の中の顔を触ってみる。
髪を結っている途中の侍女が、びくりと、揺れたのが分かった。
「ひっ……!?」
かしゃん。
悲鳴と軽い音に目を向けると、真っ青な顔をした侍女が、紅刷毛を取り落して震えていた。
そのおびえように、目を向けて、首を傾げる。
その動作にさえ、恐ろしいもののように、すぐさま膝をつき、額を床にこすりつけんばかりに頭を下げた。
「お化粧がお気に召さなかったのでございますか?お許しください!すぐにやりなおしま・・・」
「ああ、違うの。気にしないで」
今にも気絶しそうなほど震えながら言うので、何でもないと、軽い口調をわざと装って声をかけた。
お化粧が違うとか、そういうことではないのだ。
なんだか、きれいすぎると言うか、美人だなあというか?
髪結いを一旦中断させ、頭をあげそうにない侍女の元へ行き、手を取った。
「大丈夫よ、ありがとう」
そのまま、立つように促し、安心させるように微笑むと、部屋にいた侍女全員が驚いたようにこちらを見てくるのが分かった。
あら?また何かしてしまったかしら。
どうしても、自分に違和感がある。
ああ、なんだろう、この、自分であって自分でないような感覚。
髪が結いあがって、鏡で確認すると、繊細な編み込みで、どこもきれいに仕上がっていた。
こんな髪型、したことない。すごい。
そんな思いが湧き上がって、そんなわけがないと、直後に否定する。
毎日のように違う髪型をしているではないか。
ドレスは、瞳とおそろいのグリーンで、その上に、人房だけ垂らした金髪が揺れる。
胸元は、豊満な胸がこぼれんばかりに・・・・・・。
「あの、ごめんなさい。胸元を、もう少し隠したいのだけど」
またもや、驚かれてしまったが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
なんで、こんなに強調してるのよ。
ようやく、着替えが終わり、胸元も、繊細なレースがあしらわれたストールで覆われた。
「今日の予定は何だったかしら?」
道具の片づけをしている侍女に話しかけると、びくっと肩を揺らしてしまった。
私はしゃべってはいけなかっただろうか。
「あら、驚かせてしまったわね、ごめんなさい」
「い、いえっ?ブランデル様をお呼びしてまいります!」
私が話しかけるだけで、あんなにおびえなくてもいいと思う。
でも、そりゃそうよね、おびえるわ。
なんて?納得する自分もいる。
すぐに姿勢を正して出ていく侍女を見送って、仕事中に申し訳ないことをしたと思う。
侍女を見送って、鏡台に視線を落とすと、片付け途中の道具が散らばっていた。
驚いて、さらにバラバラにしてしまったようだ。
この片づけは、私がしておこうかしら。
ひょいと、手を出して刷毛をまとめ始めると、驚いたような慌てた声があがった。
「お、お嬢様!?そのようなこと、私どもが致しますので、どうぞ、こちらに」
顔を上げると、別の侍女が紅茶を準備してくれていた。
ティーセットに、小さなケーキが揃えられていて、とてもかわいい。
必死にテーブルに誘導しようとする様子に、これ以上ここにいても、邪魔になるだけだなと判断した。
「おいしそうね。ありがとう」
「は、はい!」
……どうしたのかしら。
今日はずいぶん、みんな驚くわね。お礼を言っただけじゃない。
というか、私がおかしいのかしら。ああ、なんだかとっても違和感があるのよ。
丁度、侍女が口紅を塗り終わって、下がっているときだった。
「あら・・・?私、こんな顔だったかしら?」
自分の顔に違和感を覚え、鏡の中の顔を触ってみる。
髪を結っている途中の侍女が、びくりと、揺れたのが分かった。
「ひっ……!?」
かしゃん。
悲鳴と軽い音に目を向けると、真っ青な顔をした侍女が、紅刷毛を取り落して震えていた。
そのおびえように、目を向けて、首を傾げる。
その動作にさえ、恐ろしいもののように、すぐさま膝をつき、額を床にこすりつけんばかりに頭を下げた。
「お化粧がお気に召さなかったのでございますか?お許しください!すぐにやりなおしま・・・」
「ああ、違うの。気にしないで」
今にも気絶しそうなほど震えながら言うので、何でもないと、軽い口調をわざと装って声をかけた。
お化粧が違うとか、そういうことではないのだ。
なんだか、きれいすぎると言うか、美人だなあというか?
髪結いを一旦中断させ、頭をあげそうにない侍女の元へ行き、手を取った。
「大丈夫よ、ありがとう」
そのまま、立つように促し、安心させるように微笑むと、部屋にいた侍女全員が驚いたようにこちらを見てくるのが分かった。
あら?また何かしてしまったかしら。
どうしても、自分に違和感がある。
ああ、なんだろう、この、自分であって自分でないような感覚。
髪が結いあがって、鏡で確認すると、繊細な編み込みで、どこもきれいに仕上がっていた。
こんな髪型、したことない。すごい。
そんな思いが湧き上がって、そんなわけがないと、直後に否定する。
毎日のように違う髪型をしているではないか。
ドレスは、瞳とおそろいのグリーンで、その上に、人房だけ垂らした金髪が揺れる。
胸元は、豊満な胸がこぼれんばかりに・・・・・・。
「あの、ごめんなさい。胸元を、もう少し隠したいのだけど」
またもや、驚かれてしまったが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
なんで、こんなに強調してるのよ。
ようやく、着替えが終わり、胸元も、繊細なレースがあしらわれたストールで覆われた。
「今日の予定は何だったかしら?」
道具の片づけをしている侍女に話しかけると、びくっと肩を揺らしてしまった。
私はしゃべってはいけなかっただろうか。
「あら、驚かせてしまったわね、ごめんなさい」
「い、いえっ?ブランデル様をお呼びしてまいります!」
私が話しかけるだけで、あんなにおびえなくてもいいと思う。
でも、そりゃそうよね、おびえるわ。
なんて?納得する自分もいる。
すぐに姿勢を正して出ていく侍女を見送って、仕事中に申し訳ないことをしたと思う。
侍女を見送って、鏡台に視線を落とすと、片付け途中の道具が散らばっていた。
驚いて、さらにバラバラにしてしまったようだ。
この片づけは、私がしておこうかしら。
ひょいと、手を出して刷毛をまとめ始めると、驚いたような慌てた声があがった。
「お、お嬢様!?そのようなこと、私どもが致しますので、どうぞ、こちらに」
顔を上げると、別の侍女が紅茶を準備してくれていた。
ティーセットに、小さなケーキが揃えられていて、とてもかわいい。
必死にテーブルに誘導しようとする様子に、これ以上ここにいても、邪魔になるだけだなと判断した。
「おいしそうね。ありがとう」
「は、はい!」
……どうしたのかしら。
今日はずいぶん、みんな驚くわね。お礼を言っただけじゃない。
というか、私がおかしいのかしら。ああ、なんだかとっても違和感があるのよ。
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