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健ver
付き合い始め
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幼馴染の女の子と付き合って一年が過ぎた。
幼馴染―――詩織を女性として見始めたのは、彼女が高校生になったころ。
詩織が高校生になると、周りに男の影が見え始めた。どうやら告白などされているらしかった。
五つも下の、可愛い女の子だった詩織の周りに見える男の影。
それに異様にむかむかして、「まだ高校生だろ」と父親のようなことを言ったことを思いだす。
「もう、高校生。でしょ?」
イライラしながら発した健の言葉に、詩織は笑いながら答えた。
無邪気に可愛らしく、危ういような色香を感じさせて。
二十一歳が十六歳に恋をする。
「ロリコン」
詩織の兄、翔太の首を絞めながら思う。今のところ、この想いは伏せておいた方がいいと。
「俺は年上が好きだ。ものすごい年上が」
詩織の耳には入らないようにしながら、女性の好みを聞かれたら年上が好みだと答えるようにしていた。
「おい、お前の好みが熟女になっているぞ」
翔太が報告してきたが、そこらへんは別にどうでもいい。
気持ちを隠しながらも、軽い束縛はしていた。
休日は一緒に出掛けたり、男友達には必ず紹介させたり。
「お前が兄か」
翔太の突っ込みを聞かないふりをして、詩織と『仲の良い幼馴染のお兄ちゃん』を続けた。
だけど、詩織は日に日にきれいになっていくし、健は忙しくなる。
大学四年、詩織は高校二年生。
このまま健が就職して、すれちがいの生活になってしまったら、今度会ったときに、いきなり詩織に彼氏ができていたらどうする。
―――死にそうなほど辛いだろう。
「抹殺するかもしれない」
「おい、健。本音の方が口に出てるぞ」
やっぱり、告白しかない。
「想いを隠すとか言ってた期間、短っ!」
突っ込みながらも、「友達と妹が付き合うのって、なんかすげー嫌」と嘯く翔太を無視して、大学卒業の日、詩織に告白した。
「これからも、ずっと一緒にいよう?」
「うん!」
ハッピーエンド―――の、はずだった。
詩織が高校を卒業して、行きたがっていた大学にも合格した。
詩織が受験生の間は、なかなか一緒に出掛けられなくて辛かったけれど、それももう終わった。
詩織の十九歳の誕生日。
これで晴れて『青少年』の域からは脱したのだ。何をしても淫行条例には引っかからない。
キスくらいはいいんじゃないかと試みたことはあるが、詩織のきょとんとした表情に断念した。
全くそういうことを考えていない顔をしていた。
この一年は、手をつなぐだけだ。小学生か。
今日からは―――笑顔の下で邪なことを考えていると、急に真面目な顔をした詩織が言った。
「好きです。付き合って下さい」
……正直、詩織が何を言っているのか分からなかった。
好きですっていうのはいいだろう。そういえば、初めて言われたような気もする。健も言ったことがないような気もしないではない。
だけど、付き合ってくださいって、なんだ?
すでに付き合ってるのに、頼む必要なんてないだろう?
詩織の恥ずかしそうな、潤んだ瞳を見て、遅ればせながらに理解した。
―――今、告白されている。
告白されて、ここまでショックなことってあるだろうか。
どういうつもりだと叫び出したい気持ちが湧き上がってきたが、詩織の不安気に揺れる視線に、短く返事をした。
それでも、不安気にするから、無理矢理笑顔を作ってやった。
今はこれ以上は無理だ。
この一年を振り返って、恥ずかしさに悶絶しそうだ。
翔太に「付き合うようになった」と言ったとき、妙な顔をしていた。
「本当に?」と聞いてきたときも、失礼なことを聞くと思っていた。「妹と付き合うって微妙」だと言っていたから、その延長なのだろうと理解していた。
対外的にも、高校生と付き合っているというのは外聞が悪いから内緒にしつつも、家族には伝えたはずだ。
隣の女の子と付き合っていると。
勘違いで付き合っていると言いふらすやつって―――ストーカーの一種じゃなかったか?
様々な―――本当にいろいろな予定を取りやめて、おとなしく帰路についた。
手をつないで歩く際中、「付き合ってない時も手は繋いでたな」と関係ないことを考えた。
幼馴染―――詩織を女性として見始めたのは、彼女が高校生になったころ。
詩織が高校生になると、周りに男の影が見え始めた。どうやら告白などされているらしかった。
五つも下の、可愛い女の子だった詩織の周りに見える男の影。
それに異様にむかむかして、「まだ高校生だろ」と父親のようなことを言ったことを思いだす。
「もう、高校生。でしょ?」
イライラしながら発した健の言葉に、詩織は笑いながら答えた。
無邪気に可愛らしく、危ういような色香を感じさせて。
二十一歳が十六歳に恋をする。
「ロリコン」
詩織の兄、翔太の首を絞めながら思う。今のところ、この想いは伏せておいた方がいいと。
「俺は年上が好きだ。ものすごい年上が」
詩織の耳には入らないようにしながら、女性の好みを聞かれたら年上が好みだと答えるようにしていた。
「おい、お前の好みが熟女になっているぞ」
翔太が報告してきたが、そこらへんは別にどうでもいい。
気持ちを隠しながらも、軽い束縛はしていた。
休日は一緒に出掛けたり、男友達には必ず紹介させたり。
「お前が兄か」
翔太の突っ込みを聞かないふりをして、詩織と『仲の良い幼馴染のお兄ちゃん』を続けた。
だけど、詩織は日に日にきれいになっていくし、健は忙しくなる。
大学四年、詩織は高校二年生。
このまま健が就職して、すれちがいの生活になってしまったら、今度会ったときに、いきなり詩織に彼氏ができていたらどうする。
―――死にそうなほど辛いだろう。
「抹殺するかもしれない」
「おい、健。本音の方が口に出てるぞ」
やっぱり、告白しかない。
「想いを隠すとか言ってた期間、短っ!」
突っ込みながらも、「友達と妹が付き合うのって、なんかすげー嫌」と嘯く翔太を無視して、大学卒業の日、詩織に告白した。
「これからも、ずっと一緒にいよう?」
「うん!」
ハッピーエンド―――の、はずだった。
詩織が高校を卒業して、行きたがっていた大学にも合格した。
詩織が受験生の間は、なかなか一緒に出掛けられなくて辛かったけれど、それももう終わった。
詩織の十九歳の誕生日。
これで晴れて『青少年』の域からは脱したのだ。何をしても淫行条例には引っかからない。
キスくらいはいいんじゃないかと試みたことはあるが、詩織のきょとんとした表情に断念した。
全くそういうことを考えていない顔をしていた。
この一年は、手をつなぐだけだ。小学生か。
今日からは―――笑顔の下で邪なことを考えていると、急に真面目な顔をした詩織が言った。
「好きです。付き合って下さい」
……正直、詩織が何を言っているのか分からなかった。
好きですっていうのはいいだろう。そういえば、初めて言われたような気もする。健も言ったことがないような気もしないではない。
だけど、付き合ってくださいって、なんだ?
すでに付き合ってるのに、頼む必要なんてないだろう?
詩織の恥ずかしそうな、潤んだ瞳を見て、遅ればせながらに理解した。
―――今、告白されている。
告白されて、ここまでショックなことってあるだろうか。
どういうつもりだと叫び出したい気持ちが湧き上がってきたが、詩織の不安気に揺れる視線に、短く返事をした。
それでも、不安気にするから、無理矢理笑顔を作ってやった。
今はこれ以上は無理だ。
この一年を振り返って、恥ずかしさに悶絶しそうだ。
翔太に「付き合うようになった」と言ったとき、妙な顔をしていた。
「本当に?」と聞いてきたときも、失礼なことを聞くと思っていた。「妹と付き合うって微妙」だと言っていたから、その延長なのだろうと理解していた。
対外的にも、高校生と付き合っているというのは外聞が悪いから内緒にしつつも、家族には伝えたはずだ。
隣の女の子と付き合っていると。
勘違いで付き合っていると言いふらすやつって―――ストーカーの一種じゃなかったか?
様々な―――本当にいろいろな予定を取りやめて、おとなしく帰路についた。
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