紅月の神話 EP4 黒い悪魔

与那覇瑛都

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第二章 戦場に舞う天使の涙

第十一話 むーかし昔の話です 下

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 暫くして捕らわれた天使達が一斉に叫び声を上げシャル以外が驚き叫び終えるとまた天使達は気を失いガレイクは一人驚かなかった原因であろうシャルに尋ねる。
「お前一体何したんだ?」
「一通り分かったから支配解除したの」
 金髪の美女が解除したと聞きシャルに詰め寄って尋ねる。
「それは本当か!? 彼らは解放されたのか!?」
「ちょっ、焦るのは分かるけど落ち着いて」
「あ、ああ。すまん」
 金髪の美女は一歩退き少し冷静になって再び尋ねる。
「それで、彼らは大丈夫なのか?」
「さっきの叫び声で分かると思うけどかなり精神的にきてるはずだよ。何せこれは意思を封じる物であって意識を封じる物じゃない」
「つまり自分が何をやってたかを覚えてるって事か」
 ガレイクの言葉にシャルは頷き正義の名の下に天使が行ってきた非道を知る全員が眼をふせた。
 数分後一柱ずつ天使達は意識を取り戻しユーリが意識を取り戻すと力無くすぐに尋ねた。
「君達は何者なんだ?」
 ユーリの問いにガレイクが言う。
「全員が起きてから話をしよう。少し待て」
 ユーリは頷き程なくして天使は全員意識を取り戻しガレイクが言う。
「全員起きたな。じゃあ話し合うか。その前に自己紹介だな。そっちはお前だけでいい」
 ユーリは頷いて言う。
「風の天族。ユーリ・ラファル。今は風の熾天使ユーリ・ラファエルと呼ばれている」
 ユーリは悔しそうに自己紹介し終えると金髪の美女が少し大きめの声で言う。
「では、こちらは私から自己紹介しよう。私は光の天族エルザ・ガブールだ」
「ガブール?」
「やはり知ってるか。そうだ。私は同じ光の天族、今では光の熾天使、神の代弁者とまで言われているエリック・ガブリエルの妹だ」
 妹がいる事は知っていたがまさかここにいるとは思っていなかったため天使達は驚いた。
 エルザが話し終えるにシャルに替わる。
「次は私だね。私は電脳の女神シャルロット・オガム・紅月」
「一体どうやって天使の輪を?」
「天使の輪って言っても所詮機械でしょ。それなら簡単だよ」
 ユーリは電脳とは分からなかったが機械に強いと言う事が解った。
 続いて紅髪の微へと替わる。
「次は私だな。私は愛と情熱の女神レベッカ・フレア・エロースだ」
 レベッカは少し嫌そうに自己紹介した。
 何故ならとある世界で自身の名前であるエロースが略されエロスと蔑称になっていたからだ。初めてそれを聞いた時怒りで暴れ回ったのは言うまでもない。
 エロースと聞き驚く天使達を無視してレティが話す。
「では、次は私ですね。私は時と叡智の女神レティシア・ミョゼ・クロノス」
 クロノスと聞き更に驚きが増す。
 何故ならエロースとクロノスは原初の神、信仰する者がいなくても大神に匹敵し時に大神をも超える古神だからだ。
 そして銀髪の美女が話す。
「次は私ね。私はカミーラ・リリス・紅月。彼、断罪の戦神ガレイクの第一使徒よ」
「し・・と・・・?」
 ユーリは今まで一番驚いた。
 何故なら神族と天族の力関係は本来は同じである。支配され力が少し劣ったとはいえ最上級天使、上級神並みの力はあるのだ。
 その上級神並みである自身を圧倒する力、大神や原初神レベルの使徒なんて聞いた事がなかった。
 驚くユーリに気まずそうにガレイクが言う。
「驚くのは無理ないが俺の自己紹介するぞ。ふむ。久々に正式な自己紹介するか」
 そう言うと口を閉じ空気がピンッと張り詰める。
 そしてガレイクは背筋を伸ばし優雅な仕草で自己紹介する。
「お初にお目に掛かる。私の名はガレイク。闇夜の女神カオス・ルシスの第一使徒であり力を継承し神に至った混沌の戦神カオス・ゼロ、そのカオス・ゼロと正義の戦女神アストリアが禁術を用いて生まれたカオス・ゼロの転生神、裁けぬ者を裁く神殺しの神、断罪の戦神である」
「君があのカオス・ゼロなのか?」
「転生したがな」
 カオス・ゼロは転化したてでありながら大神を殺した後、世界を渡り数多の神々や魔王など多くの者を殺した神である。
「そうだったね。何故転生したか聞いても?」
「それは言えねぇな」
「そう。それで、どうして僕達を解放したの?」
「エルザの目的は天族の解放だ。ただそれを手伝うためにはまず天使の輪について知らなければならない。だから捕らえてシャルに調べさせたんだが、まさかこの場で解放するとは思わなかった。だから何故解放したかはシャルに聞いてくれ」
 そう言ってガレイクはシャルロットを見てシャルロットは言う。
「解放された天族がどうなるか解らなかったからね。言っちゃ悪いけど実験。でも気を付けないといけないね。力が弱い天族なら廃人になるとこだった」
 その一言に解放された天族はゾッとする。
「それで、僕達をどうするの?」
「問題はそこだ。まず俺達はこの世界にきたばかりで拠点がない。この数だとどうするべきか・・・」
 レティシアがガレイクに近付き話す。
「いいですか。兄さん?」
「うん?」
「この数を纏めて引き取るなんて無理です。それにいきなり天使が、それも熾天使が消えたとなれば今度は大隊が来ます。今天上と戦うのは拙いです。だからユーリさん。全ての天族のためにお戻り下さい。もちろん今すぐではありません。シャル、天使の輪の機能は意思を封じる以外ありますか?」
「うん。あと二つ、位置を特定する機能と自爆機能。自爆機能はヤバイよ。周囲を巻き込んで大爆発するから。これ特攻させるために付けたんじゃないかな」
「ちょっと待って下さい! シャル! 全ての機能を停止してるんですか!?」
 突然の大声にシャルは驚いて頷く。
「馬鹿シャル! 兄さん時間がありません。今すぐ隠蔽します」
「だな」
 そう言うとガレイクはレティシアに自身の神力を全て送りレティシアは特大の時空震を起こした。
「こんな所に長居は無用です。ユーリさん。電脳魔法は使えますか?」
「そもそも電脳って何ですか?」
「めんどくさいですね。時間が無いので簡単な方法を叩き込みます」
 そう言ってレティシアはユーリの頭に手を置くと強烈な頭痛が一気に襲いユーリは思わず頭を抱え身をすくめて離れた。
「今のは?」
「これで電脳魔法が解ったはずです」
「・・・本当だ。分かる」
「ならメールとかも大丈夫ですね。シャル、今すぐ位置特定の機能だけ戻しなさい。ユーリ危険ですが全ての天族のため内側から解放し仲間を増やして下さい。私達は天族を捕らえて解放していきます。これが私の連絡先です」
 そう言ってレティシアは一枚の紙を渡しユーリはそれを受け取ると力無く言う。
「また、あそこに戻るのか」
「すいません。他の天族なら連れて行けましたが貴方は熾天使は強すぎます」
「分かってるいきなり僕が消えるわけにはいかない。それに、僕だって天族を解放したい」
「ご理解ありがとうございます。落ち着いたら連絡下さい。天使の輪の解除法を教えます」
「ありがとう。最後に一ついい?」
「何ですか?」
「ここにいる天族を引き取ってくれないか?」
 天族が驚く中レティシアはガレイクに眼を向けガレイクは頷くのを見て言う。
「分かりました」
「すいません。いいですか」
 一柱の天族が話し掛ける。
「何ですか?」
「そちらに行くのは希望者のみでいいですか? 私はもちろん私達の中にだって同族を解放したいと思う者は多いし・・・」
「話は分かりました。ただ時間が無いのですぐ決めて下さい」
「はい!」
 結果、運良く家族や恋人同士だった者のみがガレイク達に付いて行き他の者はユーリと戻っていった。

 そしてユーリは目を覚ました。
 現在クラフト王国にいるユーリの部下は全て解放した天族であり、たまに行方不明や戦死の名の下にアルバ帝国へと逃亡させている。
 いつものように電脳魔法を使いアルバ帝国上層部からの連絡があるか確認する。
 そしているはずのない人物からの連絡を見た。ここ千年近く連絡がなかった人物。紅月玲司。
 その名を見てユーリは喜び泣きそうになった。
 そして今度こそと願う。全ての天族解放を・・・・
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