紅月の神話 EP4 黒い悪魔

与那覇瑛都

文字の大きさ
42 / 66
第二章 戦場に舞う天使の涙

サイドストーリー 大掃除するとたまに欲しい物が見つかる

しおりを挟む
 一年に一回が必ずやる事だが何時やるかは特に決まっておらず一般には年末などに行われるもの、そう大掃除。
 楓が旅立った後息抜きをかねてキャンベル家は大掃除を始めた。
 手始めにエドガーはアッシュと力自慢の部下達を連れ離れの倉庫から始める事にする。
「エドガー様! この鎧はどうなさいますか!?」
「ああ? 鎧なんて今時使わんだろ。全部売り飛ばすから外に!?」
 それを聞いてアッシュが命じる。
「ああっ! 一番状態がいいのは残しておいて! いつか高値で売れるから!」
「いやゴミだろ!」
「今はゴミでも百年、二百年先は宝だよ」
「俺等死んでるじゃん」
「子孫への遺産と思えばいいじゃん」
「そうか。まあ置き場所はあるしいいか。一つくらい。じゃあ一つ残して残りは外に!」
「既に運んでます」
「あれ!? 当主俺だよ! 何でアッシュ優先!?」
 部下達は足を止め気まずそうに顔を合わせて言う。
「いや、だって、なぁ」
「ああ」
「ああ! 言わないで! 言いたい事判ったから!」
「遊んでねぇで働けぇ」
『はい!』
「もうアッシュが当主でいんじゃねぇ」
「エドガーも働けぇ」
「はいはい」
 そんなやり取りをしつつ倉庫を片付けアッシュは黒く細長いアタッシュケースを見付け中を確認するために開けようとするがケースは開かなかったためアッシュはエドガーを呼ぶ。
「エドガーこのケース開かないんだけど・・・」
 エドガーはケースの前に行きめんどくさそうな顔をして言う。
「そりゃ開かねぇだろ。こりゃ特定の魔力を注ぐ事で鍵が開く仕組みだ」
「よく知ってるね」
「似たような物持ってるからな」
「魔力を込めればいいんだね」
「特定の魔力だ。鍵を掛けた本人以外が注ぐと痛い目見るぞ」
「えっ、もう注いだよ」
「何ともないのか? 壊れてるのかな。防犯のために注いだ魔力の分だけ攻撃魔法として反射するよう出来てるはずなんだが・・・」
「いっ!? 先言ってよ! 結構注いだよ!」
 ガチャッ・・・
「鍵開いた?」
「お前鍵掛けたの?」
「そんなわけないじゃん。初めて見たのに」
「だよな」
「取り合えず開けよっか」
 そう言ってアッシュはケースを開いた。
 ケースの中には二振りの太刀があった。
「使えるのかな?」
 そう言ってアッシュは太刀を取り鞘から抜く。
 刀身全てが黒く染められた太刀を見てアッシュは呟く。
「良い刀だね」
「ああ」
「こっちはどうかな?」
 そう言って太刀を置きもう一振りの太刀を抜く。
 もう一振りの太刀は先程の黒い太刀と対を成すような白い太刀だった。
「こっちも良い刀だ」
「光と闇の属性を感じるな。後、炎と水」
「闇と炎に光と水。見た目通り対を成してるね」
「刀なら銘を書かれてないか?」
「ちょっと待って確かめてみる」
 そう言ってアッシュは銘を確かめるため両方の柄を外した。
「黒鐵(クロガネ)、白銀(シロガネ)・・・見たまんまだね」
「これを作った者はめんどくさかったのかね?」
「でもシンプルで分かり易い。気に入った。アッシュ。今日から僕これ使うよ」
「まあ使いたいなら使えばいい」
 アッシュは柄を付け直すと立ち上がり両方の刀に魔力を注ぎ込む。
「ちょっと待て! いったい何する気だ!?」
「何って試し斬り」
「何を?」
「こいうのって何て言うのかな? 空間? 次元?」
「お前それ斬っていつも武器壊してるじゃねぇか!」
「今回は大丈夫だって」
「いいからやるな!」
「大丈夫と思うんだけどねぇ」
 そう言うと魔力を引っ込め太刀を鞘に戻して言う。
「じゃあこれ部屋に置いてくるから」
「ああ」
 そう言ってアッシュは自室へと向かい自室で一人っきりになると急に持っていた太刀が手元を離れる。
「あれ?」
 そして刀は人の姿へと変わった。
 黒鐵は黒い和服を身に纏う壮年の男性に白銀は白い和服を身に纏う美女に・・・
 そして二人はアッシュの前で片膝をつき男性がアッシュに言う。
「お久しぶりです。長い間放置されてたゆえ、忘れ去られたかと思いました」
「無事の転生なによりです」
「転生?」
 二人は顔を少し驚いたように顔を上げ美女が言う。
「お忘れですか?」
「えっ? 僕って転生してるの?」
「はい。エルヴィンから聞いてませんか?」
「何にも。十八になったら何か教えるって言ってたけど教える前に戦場で流れ弾が当たって急死したからね」
「そうですか・・・でしたら・・・」
 私が説明しますと美女が言う前に男性と美女は命令される。
 忘れろ。
 それは二人を黒鐵と白銀を作った人物からの命だった。
 たった一言の命で二人はアッシュの前世を忘れてしまった。
「どうかした?」
「すいません。私達も忘れてしまいました」
「はい? まぁ、忘れたならしょうがないか。取り合えず僕は転生していて君達は僕の物っていうか家臣?」
「どちらでも構いません」
「そう。じゃあ家臣って事で何て呼べばいい」
「黒鐵と白銀で構いません」
「そう。じゃあよろしく。黒鐵、白銀」
 こうして黒鐵と白銀はアッシュの家臣となり二人の事情をエドガーにも説明して二人はキャンベル家で受け入れられ人型で生活するようになった。

 常夜の楽園にてルシスがレイジに尋ねる。
「本当に良かったの?」
「ああ。これからが面白くなるんだ。フェリスに邪魔されたらかなわん」
 そう言ってレイジは嗤いルシスとアリアは困った笑みを浮かべた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

キャンピングカーで、異世界キャンプ旅

風来坊
ファンタジー
東京の夜を走り続けるタクシードライバー、清水翔。 ハンドル捌きと道の知識には自信があり、理不尽な客にも笑顔で対応できる――不器用ながらも芯の強い男だ。 そんな翔が、偶然立ち寄った銀座の宝くじ売り場で一人の女性・松田忍と出会う。 彼女との再会をきっかけに、人生は思いもよらぬ方向へ動き出した。 宝くじの大当たり、そして「夢を追う旅」という衝動。 二人は豪華にバスコンをカスタムしたキャンピングカー「ブレイザー」を相棒に、日本一周を計画する。 ――だが、最初のキャンプの日。 雷の直撃が二人を異世界へと連れ去った。 二つの月が照らす森で、翔は持ち前の度胸と行動力を武器に、忍を守りながら立ち向かう。 魔力で進化したブレイザー、忍の「鑑定スキル」、そして翔の判断力と腕力。 全てを駆使して、この未知の世界を切り開いていく。 焚き火の炎の向こうに広がるのは、戦いと冒険、そして新しい絆。 タクシードライバーから異世界の冒険者へ――翔と忍のキャンピングカー旅が、今始まる。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

エレンディア王国記

火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、 「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。 導かれるように辿り着いたのは、 魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。 王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り―― だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。 「なんとかなるさ。生きてればな」 手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。 教師として、王子として、そして何者かとして。 これは、“教える者”が世界を変えていく物語。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

処理中です...