紅月の神話 EP4 黒い悪魔

与那覇瑛都

文字の大きさ
47 / 66
第三章 抗う者達

第二話 作った本人も忘れてた事 下

しおりを挟む
「捜すのは良いけど手がかりはあるの?」
「相手が男ってしか分からないが?」
 リッカとルドルフに聞かれガレックは少し考える。
 全員で動くのは良くないな。というか、こいつら全員足手纏いじゃね。オッサンは真面目出しリッカやトトリも真面目だ。シャーリーや奴隷姉妹は役に立たんしアリーシャやレヴィアはよく分からんし弱そうだ。単独行動が楽か・・・
「問題ない。情報収集は俺がやる。お前等は情報が集まるまで好きにしろ」
 リッカは嘆息して言う。
「あのね、相手が魔神かもしれないのに単独行動を許すわけないでしょ。私も付き合うわよ」
「分かったよ。ただし交渉は全部俺がやる」
「それでいいわ」
「私も一緒に行く」
「あん? 何でオッサンも一緒なんだよ」
「貴様は目を離すと何をしでかすか分からない。貴様の行動でこちらに迷惑が掛からないよう監視させて貰う」
 リッカなら我慢出来るが、邪魔だな。後で退場させるか。
「勝手にしろ。トトリ、今のうちにいろいろ補充しとけ。奴隷姉妹、トトリを手伝え」
 姉妹は頷きアリーシャが尋ねる。
「私達も何か手伝う事はありますか」
「そうだな。二人もトトリを手伝ってくれ。レヴィアは医者だから医薬品は分かるだろ簡単な調合なら出来るだろし、必要な物があったらトトリから買うなり貰うなりしたらどうだ」
 アリーシャとレヴィアの了承の返事を聞きガレックは言う。
「じゃあ早速俺達は行くから、トトリ、こっちは任せるぞ」
「うん。ガッ君も頑張ってね」
 適当に返事をしてガレックは部屋を出てリッカとルドルフは後に続いた。
 部屋を出るとすぐにリッカが尋ねる。
「情報収集って当てでもあるの? それとも当てもなく聞き込み?」
「当ては一人、この村に最初に来て声かけた奴だ。でもその前に・・・足下を固めないとな」
 そう言って首を傾げる二人を連れガレックは一階で受付をしている宿の主人に声を掛ける。
「ちょっといいか?」
「はい。何でございますか?」
「オッサンの部屋の照明が切れてんだ。交換してくんない?」
 そう言ってガレックはルドルフを指した。指されたルドルフは勝手に照明が切れた事にされ少し驚いてガレックを見る。
「申し訳ございません。すぐに交換いたします」
「じゃあ俺達は部屋にいるから」
 そう言ってガレック達はルドルフの部屋へと向かった。
 部屋へと向かうガレックにルドルフが尋ねる。
「勝手に人の部屋を使って、外に出るんじゃなかったのか?」
「足下を固めるって言ったろ。あの親父がグルだったらどうすんだよ」
「それは・・・」
「だいたいこの村怪しすぎだ。裸の女が二人もいたってのにそこまで騒ぎになってねぇ。騒ぎになってねぇって事はそれが当たり前か。騒ぐ事によって何か悪い事が起きるかだ」
 そう言って部屋に辿り着くとガレックはベッドに寝転がりリッカとルドルフは適当な椅子に腰を下ろした。
 それから少しして宿の主人が蛍光灯を持って部屋に来た。
「それでは蛍光灯の交換を行います」
 そう言って脚立の準備をする宿の主人にガレックが尋ねる。
「そういや、うちの連れが昨日誘拐されて今日救出したんだが何か知らないか?」
 脚立に上った主人が言う。
「いえ、私は何も知りません」
「そうか」
 そう言ってガレックは脚立を払い倒した。
 当然脚立は大きな物音を立てて倒れ宿の主人が床に叩きつけられた。
「イタッ!? 何をするん・・・ガハッ!?」
 抗議しようとした宿の主人を蹴り飛ばしガレックは蹴り続けルドルフが慌てて止めに入る。
「こら貴様! いきなり何をするんだ!?」
「あぁん? 邪魔すんな!」
 そう言ってルドルフの顔に裏拳をして振り返り怯んでいるルドルフの顔を殴り飛ばして言う。
「リッカ。邪魔しないように抑えてろ」
「はいはい」
 リッカは嘆息してそう言い魔法でルドルフを拘束する。
「なっ!? 何故止めないんですか!?」
「私はガッ君に全て任せるって言ったからね。それに、荒事はガッ君の得意分野よ」
 そう言ってリッカは魔法でルドルフの怪我を治す。
 リッカにルドルフを抑えるように言った後ガレックはすぐにまた宿の主人を蹴ったり踏みつけたりし始め暫くしてから言う。
「この部屋は防音魔法で部屋の音は外には漏れない。だから助けなんて来ない。だから嘘吐くな。時間の無駄だしもっと痛い目に遭わすぞ!」
 そう言ってガレックは蹴るのを止めてしゃがみ込み宿の主人の前髪を掴み上げ顔を近づけて言う。
「知ってる事を全部吐け。後で忘れてましたは許さん」
 宿の主人はガレックを恐れながらも睨み付ける。
「そういや俺が錬金術師って事は聞いたな?」
 宿の主人が頷きガレックは話を続ける。
「この村のいたる所に爆弾を仕掛けた。当然貴様の子供部屋にもな。さっきも言ったように知ってる事は全部吐け。忘れてましたは許さん。もし忘れてましたをしたらこの宿以外の爆弾が爆発する。俺が泊まる場所だからな。この宿は最後だ。でも、もし誰かに喋ったら、誰かに気付かれたら、全ての爆弾を爆破させる。この村は確実に消し飛ぶな。さあ、みんなのために知ってる事は全部吐け。誰も貴様を責めはせん。貴様は脅されたんだから仕方ない」
「・・・・・・悪魔め・・・この村は若い女を領主であるヌヴェール辺境伯に貢ぐ事で、森に住む魔神黒狼から守ってもらっている・・・」
「女を貢ぐって、いくら魔神が恐いとはいえそこまでやるか?」
「お前達に何が分かる! 魔神は全てを滅ぼすんだぞ! 村を守るためには仕方なかったんだ!」
「知るかそっちの都合なんぞ。それで? その領主はどうやって魔神から村を守っているんだ?」
「・・・分からない」
「あん!?」
「本当だ! 本当に分からないんだ! 数年前、突然領主が替わり領主が村に来た時一年間魔神は来ないと言ったら本当に来なくなった。 その時はみんな新しい領主は優しく強い素晴らしい領主だと思った。だが! 翌年領主が村に来たら若い娘美しい女を捧げろと言った。当然俺達は怒って反発した。そしたらすぐに魔神が村を襲うようになった。そして領主は言ったんだ。助けて欲しければ女を寄こせと。村には小さい子供や年寄りだっている! 仕方なかったんだ!」
「そんなの知るか! 取り合えず方針は決まりだな。俺の女に手を出したんだ。その領主殺すか」
 あっさり殺すと言いルドルフと宿の主人は驚くがリッカは嘆息して聞く。
「簡単に言うわね。今の話しを聞く限り相手は魔神を従えている。もしくは何らかの方法で誘導しているようだけど」
「方針の話しだ。方法はみんなで相談して決める。それよりリッカ。こいつの怪我治してやってくれ」
 リッカは頷くと魔法を使い宿の主人の怪我を治した。
 怪我を治した事で部屋を出ようとするガレック達に宿の主人が言う。
「待ってくれ! 領主を殺したら魔神はどうなるんだ!? 村はどうするんだ!?」
 ガレックはめんどくさそうに振り返って言う。
「うんなの知るか。自分で考えろ」
 そう言って今度こそガレック達は部屋を出て行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

キャンピングカーで、異世界キャンプ旅

風来坊
ファンタジー
東京の夜を走り続けるタクシードライバー、清水翔。 ハンドル捌きと道の知識には自信があり、理不尽な客にも笑顔で対応できる――不器用ながらも芯の強い男だ。 そんな翔が、偶然立ち寄った銀座の宝くじ売り場で一人の女性・松田忍と出会う。 彼女との再会をきっかけに、人生は思いもよらぬ方向へ動き出した。 宝くじの大当たり、そして「夢を追う旅」という衝動。 二人は豪華にバスコンをカスタムしたキャンピングカー「ブレイザー」を相棒に、日本一周を計画する。 ――だが、最初のキャンプの日。 雷の直撃が二人を異世界へと連れ去った。 二つの月が照らす森で、翔は持ち前の度胸と行動力を武器に、忍を守りながら立ち向かう。 魔力で進化したブレイザー、忍の「鑑定スキル」、そして翔の判断力と腕力。 全てを駆使して、この未知の世界を切り開いていく。 焚き火の炎の向こうに広がるのは、戦いと冒険、そして新しい絆。 タクシードライバーから異世界の冒険者へ――翔と忍のキャンピングカー旅が、今始まる。

エレンディア王国記

火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、 「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。 導かれるように辿り着いたのは、 魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。 王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り―― だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。 「なんとかなるさ。生きてればな」 手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。 教師として、王子として、そして何者かとして。 これは、“教える者”が世界を変えていく物語。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...