反撃の王

くっきー

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戦火から生き延びろ

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金曜日の夕方でした。
シルバ村の中はいつものように賑やか、間断なくあっちこっち行き来する人たち。10代に見える女のこは彼氏と覚えている人物と一緒に花畑を眺めている。そのちょっと離れたところには50代の女性は店屋の前に野菜を買ってる、彼女の後にいるちょっと30才に見える男性が不満な顔で女性を促す。村の中央から離れると障壁がある。その障壁は村と釣り合う形で木製。隣接に位置する酒場から、ある兵士がある女性の前に土下座していた。
「あんたね!まだ仕事中なのになんで酒臭いよ!」
「すいみません!」怒鳴る女性にひたすら謝るぎっしりとくたびれた軍服を装う男性。おそらく夫婦だな。壁の上にいる兵たちは下の様子を苦笑で見守っていた。
「まだやったのかな!アハハハ」
「おい隊長なさけねぇハハハ」
「うるせぇお前ら!」

シルバの村にとって日常の風景。この村はルプス大王国の東側に存在する。国境までわずか2キロなのに、王国から応援などない。そう、金銭、食べ物、肥料など、普通は王国から貰えるんだ、税は払ってんだもんな。税金を徴収しても大王国は貴族社会ので政府の人たちは自分の身の上にかまけて、庶民のことなどどうでもいいだと思えるのだ。しかし、彼が知る由もないに彼らの怠惰な態度がゆえに、近い未来にとんでもない犠牲を払うことになる。

壁の上にいるのは兵たち。身に纏うのは大王国の軍服。緑色のパンツにカーキだけど灰色っぽい上着。携行する三十年式小銃はスリングで背中にかかる。腰には王国の象徴でもあるサーベルを携わる。最後には腕章、王冠をかぶっている狼、ルプス大王国の国章である。

壁から見えるのは大きいな自然。むらに比べて森閑な森林、潤沢な翠緑が視界が届くまで景色を覆う。広葉樹の濃緑の群は木枯らしに揺れます。賑やかな金曜日に不釣り合い、静かな木々。それは日常だ。なんの異変もなかった。

気を休めた兵たちはあくびをする。何も起きない日常に酔っ払っている兵士もいる。

パカラッパカラッパカラッパカラッ…
遠くから聞こえる駈歩の音とともに草木がバサバサと揺るぐ。大勢の小鳥たちは森林から空を目かけるように悲鳴をあげる。

「お、おい!あれはなに?」

非凡な出来事に驚きながら、自然の中に立っていたのは黒っぽいな洋式鎧を装う騎士を見据える。騎士は躊躇うことない右手を空高くのびる、剣を振りかざす。大きな声で叫ぶ。

『すすめ!!!』

声と友に、森林からバンと銃声が割響いた。鉛の雨が壁に振り下ろす。慌てて中を装填する兵たちは大勢の弾の群に飲み込まれて、肉の破る音と同時に死にました。死を免れた数少ない兵たちは錆びついた警鐘を鳴らす。

「にげろーーー!帝国の野蛮どもだーーー!!!」

バンバーン今度は大砲が唄えます、死の旋律の開幕から重砲の弾は村の家々に落ちました。土煙と爆音が村の賑やかな光景を血に染める。夕日が夜に変える頃だから火は暗くなる空と対照的に鮮やかに輝く。村全体を飲み込む炎。

…その日俺、呉羽裕翔 (くれはゆうと)、は家族と一緒に夕飯を食べていた。初冬の夜には父の特別料理を食べる日ので朝から気分がよかった。壁時計を一瞥すると時間はちょうど6時半頃だった。バーーーン。爆発。途端、俺たちの家の窓は全てガラス割れました。食テーブルは震える。陶磁器がぽろっと床に落ちた。父は慌てて外の様子を見ようと食テーブルの席から立ち上がる、一気に玄関へ急いで扉を開け放す。俺はお父さんの後を追った。

「来るな!」

父は強い声で俺を止めた。母も慌てて俺の腕を捕まえて引っ張り始めた。母の表情は今まで見たことはなかった慄然なものだった。お母さんの体が…震えてる……。

「早く逃げよう!」

それはお父さんの最後の言葉だった。俺たちに向かえようとしたその時に、バーンと凄まじい音につれて、父が…消えた。いや、家の半分が消えた。地響きと一緒に轟く爆音に衝撃波、お母さんは俺をかぶるよう、身を投げました。目の前にあったはずの玄関と父は土煙となって舞い上がる。道に大きいなクレーターに一本の足、肉、血。血腥い光景。

瓦礫になった家、その瓦礫から上半身だけが見えるお母さんはかすか、弱いな声で
「ゆうと…」と俺の名を呼ぶ。力のない声はどんどん弱まる、彼女はまだ残っている力を絞り出す、笑顔をつくる。

「は…はやく…にげ(ゴホゴホ)」

形相は一瞬苦しくなったが、すぐ笑顔に戻りました。一方俺はなにもできなかった。僕は意地っ張りで、不器用、何より現状を把握することができなった。いや、違う。平和しか知らない俺は襲撃という非道行為で脳がショックと恐怖に溺れていた。ただ、お母さんをここに置いたら、一人でやれる自信がない。自分のお母さんを置いている息子はその時点から人間じゃない!

「いやだ!いやだよ!お母さん!」

「はよ…いきなよ(ゴホゴホ)お母さんの頼み…だから」

彼女の手は咳のついでに血で染みる。母の目は偽りのない、単純で素直で。断末魔の苦しみにも息子の無事を祈っている。しかし、こんな時に気を使わせるわけには行かない!

「いやだ!お母さん!ね、なんでお母さんも一緒に行かないの?」

「…頼んだよ…」

弱い声が絶えた途端、お母さんの体がまるで力が抜けていったにそこから動くことはない。母が帰らぬ人となりました。

「お母さん!!!お母さん!!!お母さん!!!」

喉が痛くなっても、呼び続けましたけど、結局再び起きることはなかった。俺が弱いから。もし俺がお父さんみたいに強かったなら、それなら、きっとお母さんはこんな目に遭うことなんてなかった。



バーンバーンバーン。
連発する爆音で我に返る。村中に駈ける敵兵は村人を躊躇なく斬っていく。
「お母さん…お父さん…」俺は腹をくくった。俺は両親の仇をとるために強くなる!こんな、俺の村を灰燼にしたやつを!俺は裏庭から逃げた、全速で森林を目指して、走り続けた。両足の痛みを飲み込む、疾走しづけた。行き先不明、ただ走り続けた。
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